マンダム、体温調整を担うヒト汗腺において発汗収縮の可視化と数値化により、評価法の確立に成功 ~次世代制汗剤の開発を目指して~
https://www.mandom.co.jp/
株式会社マンダム(本社:大阪市、社長執行役員:西村元延、以下マンダム)は、先端化粧品科学共同研究講座(大阪大学大学院薬学研究科とマンダムとの共同研究講座)において、発汗制御につながる次世代の制汗剤創出に向けた基盤技術の研究開発に取り組んでいます。
今回、大阪大学の薬学研究科、蛋白質研究所、医学系研究科と共同で、発汗時におけるヒト汗腺の収縮を可視化することに成功しました。
今回、大阪大学の薬学研究科、蛋白質研究所、医学系研究科と共同で、発汗時におけるヒト汗腺の収縮を可視化することに成功しました。
汗腺の発汗における収縮のしくみを明らかにするには、汗腺の構造をくわしく理解する必要があります。これまでの研究により、ヒト汗腺の三次元構造解析によって、発汗収縮の解明のヒントとなる汗腺の特徴的な立体構造を明らかにしてきました(2017年6月21日ニュースリリース)。しかし、この汗腺の構造が、どのように収縮して汗を押し出すのかは明らかになっていませんでした。
そこで我々は、発汗収縮を担うヒト汗腺のコイル構造に着目し、3次元構造の時間的な変化の解析に有用な三次元ライブイメージング法(3次元の動きを動画で観る方法)を取り入れ、生体に近い状態の汗腺における発汗収縮の動きを明らかにしました。
この成果により、発汗時の汗腺収縮を抑える次世代型制汗剤が開発されれば、昨今の生活者の悩みである多汗や汗臭の改善に大きく役立つと期待されます。
この研究成果は、2018年9月18日~21日にドイツで開催される「第30回国際化粧品技術者会(IFSCC)ミュンヘン大会」において発表する予定です。
なお、本研究の一部は、日本学術振興会 科学研究費助成事業17K16337(ヒト汗腺の発汗収縮メカニズムの解明-可視化法の改良とそれを用いた動態解析-)の助成を受け実施されました。
1. 次世代デオドラント剤の創出に向けた取り組み
汗腺は片方が閉じた1本のチューブでできています。チューブの開いた方は肌の表面(汗の出口)にあり、もう一方は肌の表面から内部に向かって数ミリ下まで伸び、その先でコイル状に折り畳まれています。この汗腺のコイル領域は、分泌部と一部の導管部で構成されていて、分泌部の一番外側に筋上皮細胞が取り囲んでいます。この筋上皮細胞が発汗時に収縮すると、分泌部でつくられた汗が導管部を通って肌の表面に放出されると考えられています(図1)。
近年、この発汗による生活者の悩み(多汗や汗臭)が、温暖化や社会環境の変化を背景に増えてきています。この悩みを解消するために、塩化アルミニウム等の汗腺の出口にフタをする成分が既存の制汗剤には配合されています。しかし、たくさん汗をかくとフタが取れたり、しっかりフタをすると汗の中に含まれている物質が汗腺の中で炎症を起こしてしまいます。我々は、汗腺の分泌部に直接作用して休眠させるような(汗をかかなくするような)制汗剤が開発できれば、既存の制汗剤では解決できなかった生活者の悩みを解消できると考えました。
2. ヒト汗腺の発汗収縮の観察に成功
発汗収縮を抑える制汗剤を開発するためには、まず、どのように汗腺が収縮しているのか、そのしくみを理解するための観察法が必要になります。そして、その観察法を応用して、収縮を抑える成分を見つけるための評価法が必要となります。そこで、まず、我々の体の中で起こっている汗腺の発汗収縮を生体外で再現することにしました。そのために、実際に汗腺のコイル領域をヒトの皮膚組織(倫理審査承認済み)から取り出し、三次元ライブイメージングという手法を用いて、生体に近い状態での汗腺の発汗収縮の観察を試みました。発汗収縮に適切な試薬やその濃度、収縮が観察できるイメージングの解像度や撮影スピードなど、発汗収縮の観察に必要なさまざまな条件を一から検討しました。その結果、発汗刺激によって、ヒト汗腺が非常にダイナミックに収縮する映像をとらえることができました(図2)。
3. 発汗刺激による汗腺収縮の評価法の確立
我々は更にこの発汗収縮の映像を細かく解析していく中で、発汗収縮している汗腺の内部において、分泌部から順に汗腺のチューブ内のボリュームが汗が押し出されるように順番に大きくなる現象をとらえました。このボリュームの変化を特殊な画像解析ソフトを用いて数値として算出することで、発汗収縮を客観的に評価する方法も確立しました(図3)。
今後は、この評価法を用いて、発汗制御につながる次世代の制汗剤の創出をしていきます。
マンダムは、今後も生活者視点での効果・実感を徹底的に追求し、生活者満足を実現するために、効果の高い制汗剤の開発を行っていきます。
【参照ニュースリリース】
「体温調節を担う汗腺の三次元構造の可視化に成功
―熱中症や多汗症の解明や治療、次世代型制汗剤の開発に期待―」
(2017年6月21日ニュースリリース)
https://www.mandom.co.jp/release/2017/src/2017062101.pdf
そこで我々は、発汗収縮を担うヒト汗腺のコイル構造に着目し、3次元構造の時間的な変化の解析に有用な三次元ライブイメージング法(3次元の動きを動画で観る方法)を取り入れ、生体に近い状態の汗腺における発汗収縮の動きを明らかにしました。
この成果により、発汗時の汗腺収縮を抑える次世代型制汗剤が開発されれば、昨今の生活者の悩みである多汗や汗臭の改善に大きく役立つと期待されます。
この研究成果は、2018年9月18日~21日にドイツで開催される「第30回国際化粧品技術者会(IFSCC)ミュンヘン大会」において発表する予定です。
なお、本研究の一部は、日本学術振興会 科学研究費助成事業17K16337(ヒト汗腺の発汗収縮メカニズムの解明-可視化法の改良とそれを用いた動態解析-)の助成を受け実施されました。
1. 次世代デオドラント剤の創出に向けた取り組み
汗腺は片方が閉じた1本のチューブでできています。チューブの開いた方は肌の表面(汗の出口)にあり、もう一方は肌の表面から内部に向かって数ミリ下まで伸び、その先でコイル状に折り畳まれています。この汗腺のコイル領域は、分泌部と一部の導管部で構成されていて、分泌部の一番外側に筋上皮細胞が取り囲んでいます。この筋上皮細胞が発汗時に収縮すると、分泌部でつくられた汗が導管部を通って肌の表面に放出されると考えられています(図1)。
近年、この発汗による生活者の悩み(多汗や汗臭)が、温暖化や社会環境の変化を背景に増えてきています。この悩みを解消するために、塩化アルミニウム等の汗腺の出口にフタをする成分が既存の制汗剤には配合されています。しかし、たくさん汗をかくとフタが取れたり、しっかりフタをすると汗の中に含まれている物質が汗腺の中で炎症を起こしてしまいます。我々は、汗腺の分泌部に直接作用して休眠させるような(汗をかかなくするような)制汗剤が開発できれば、既存の制汗剤では解決できなかった生活者の悩みを解消できると考えました。
2. ヒト汗腺の発汗収縮の観察に成功
発汗収縮を抑える制汗剤を開発するためには、まず、どのように汗腺が収縮しているのか、そのしくみを理解するための観察法が必要になります。そして、その観察法を応用して、収縮を抑える成分を見つけるための評価法が必要となります。そこで、まず、我々の体の中で起こっている汗腺の発汗収縮を生体外で再現することにしました。そのために、実際に汗腺のコイル領域をヒトの皮膚組織(倫理審査承認済み)から取り出し、三次元ライブイメージングという手法を用いて、生体に近い状態での汗腺の発汗収縮の観察を試みました。発汗収縮に適切な試薬やその濃度、収縮が観察できるイメージングの解像度や撮影スピードなど、発汗収縮の観察に必要なさまざまな条件を一から検討しました。その結果、発汗刺激によって、ヒト汗腺が非常にダイナミックに収縮する映像をとらえることができました(図2)。
3. 発汗刺激による汗腺収縮の評価法の確立
我々は更にこの発汗収縮の映像を細かく解析していく中で、発汗収縮している汗腺の内部において、分泌部から順に汗腺のチューブ内のボリュームが汗が押し出されるように順番に大きくなる現象をとらえました。このボリュームの変化を特殊な画像解析ソフトを用いて数値として算出することで、発汗収縮を客観的に評価する方法も確立しました(図3)。
この結果は、今回我々が確立した観察法が、実際に体の中で起こっている汗腺の発汗収縮を生体外で再現しており、さらには、この観察法によって得られたデータを解析する事で、有効成分(汗腺に直接作用して発汗を抑える)の探索が可能であることも示しています。
今後は、この評価法を用いて、発汗制御につながる次世代の制汗剤の創出をしていきます。
マンダムは、今後も生活者視点での効果・実感を徹底的に追求し、生活者満足を実現するために、効果の高い制汗剤の開発を行っていきます。
【参照ニュースリリース】
「体温調節を担う汗腺の三次元構造の可視化に成功
―熱中症や多汗症の解明や治療、次世代型制汗剤の開発に期待―」
(2017年6月21日ニュースリリース)
https://www.mandom.co.jp/release/2017/src/2017062101.pdf
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