大企業における「副業・兼業に関する人事制度」を調査
~「副業解禁」が過半数、2027年に向けて「外部人材活用」が両輪となるか~
株式会社みらいワークス(本社:東京都港区、代表取締役社長 岡本 祥治、以下「当社」)は、大企業に勤める人事・労務担当者500名を対象とした「副業・兼業に関する人事制度の実態調査」を行いましたので、お知らせいたします。
■ 調査サマリー

■ 調査概要
調査概要 :副業・兼業に関する人事制度の実態調査
調査方法 :インターネット調査
調査期間 :2025年5月29日〜6月3日
有効回答数:500
調査対象 :従業員規模1,000名以上(製造業)または500名以上(その他・サービス業)の企業で、人事や労務管理に関わる会社員(正社員)と会社役員
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
≪利用条件≫
・ 情報の出典元として「株式会社みらいワークス」の名前を明記してください。
・ ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://mirai-works.co.jp/
■ 副業・兼業「禁止」企業は4割超だが、2割が新制度を準備中
「貴社の正社員における副業・兼業制度の現状について、該当するものを1つお選びください」(n=500)と質問したところ、「禁止(副業・兼業を一切認めていない)」が26.0%、「現在は禁止だが、新たな制度を整備中」が18.8%、「例外的許可(特別な事由がある場合のみ個別に許可)」が18.8%、 「条件付き許可(事前に定めた条件を満たせば許可)」が24.6%、「業務委託など非雇用型の副業・兼業のみ許可(雇用による副業・兼業は不可)」が4.4%、「原則自由(法令・社内規定に反しない限り自由)」が7.4%という回答となりました。
大きく分けると、現在、正社員の副業・兼業を禁止している企業は44.8%、認めている企業は55.2%となります。さらに、現在は禁止でも新制度を整備中の18.8%の企業が今後、副業・兼業を解禁すると考えられます。

■ 外部の副業・兼業人材受け入れは6割超、自社制度と異なる対応も
「貴社では他社の従業員(常用労働者)を副業・兼業人材として受け入れていますか」(n=500)と質問したところ、「受け入れていない」が37.6%、非雇用型(業務委託など)のみ受け入れているのが26.4%、雇用型(アルバイトなど)のみ受け入れているのが21.0%、非雇用型・雇用型ともに受け入れているのが15.0%という結果となりました。

■ 自社で副業・兼業を認める企業は外部人材も積極活用:禁止企業でも半数は受け入れ
Q1とQ2の結果をクロス集計したところ、自社の正社員の副業・兼業を「認めている」企業では72.8%が他社の従業員を副業・兼業で受け入れているのに対し、自社の正社員の副業・兼業を「禁止している」企業では、受け入れているのは49.6%でした。
自社の正社員に副業・兼業を「認めている」企業のほうが、外部人材を副業・兼業で受け入れている割合が高くなっています。一方で、自社の正社員の副業・兼業を「禁止している」企業でも、約半分が副業・兼業の外部人材を受け入れている点に注目です。

■ 「規程あり」が6割超:就業規則での対応が主流に
「副業・兼業に関する社内規程の整備状況について、該当するものを1つお選びください」(n=500)と質問したところ、「就業規則に含まれている」が50.0%、「通達・ガイドラインのみ」が19.6%、「独立した規程として存在」が12.8%、「口頭でのルールのみ」が7.2%、「特に定めていない」が7.6%、「現在、新たな規程・規則を準備中」2.8%という回答となりました。

■「就業規則」に定める副業・兼業の方針:禁止企業で約7割、容認企業で約5割に
また、Q1とQ3をクロス集計したところ、独立した規程や就業規則で副業・兼業について定められているのは、正社員の副業・兼業を認めている企業では56.1%だったのに対し、副業・兼業を禁止している企業では71.0%でした。
大企業の多くが、副業・兼業を認めているか否かにかかわらず、社内規程を整備していることを示しています。特に禁止している企業で、その方針を明文化しているケースが多いことがわかりました。

■禁止理由の最多は「本業への支障」、「労務管理」や「情報漏洩」懸念も
「副業・兼業は禁止」と回答した人に、「禁止している理由として、該当するものを3つまでお選びください」(n=224)と質問したところ、「社内業務への支障」が55.4%、「労務管理の困難さ」が40.2%、「機密情報流出のリスク」が36.6%、「従業員の健康・メンタルヘルスへの懸念」が35.7%という回答となりました。

■ 解禁理由トップ3は「自律的キャリア形成」「多様な働き方」「モチベーション向上」
「副業・兼業は可能」と回答した人に、「副業・兼業を認めている理由として、該当するものを3つまでお選びください」(n=276)と質問したところ、「従業員の自律的なキャリア形成」が42.8%、「多様な働き方の実現(ダイバーシティ促進)」が37.7%、「従業員のモチベーション向上」が35.1%という回答となりました。

■ 運用フェーズで生じる課題:情報セキュリティや健康管理のハードル
「副業・兼業は可能」と回答した人に、「副業・兼業制度の運用における特に重要な課題を3つまでお選びください」(n=276)と質問したところ、「情報セキュリティの確保」が40.6%、「健康管理・メンタルヘルス管理」が39.5%、「労働時間の適切な把握」が37.3%、「本業のパフォーマンス維持」が34.4%という回答となりました。

■ 情報管理対策:半数以上が「セキュリティ研修」、4割近くが契約締結も
「副業・兼業は可能」と回答した人に、「情報管理対策について、実施しているものをすべてお選びください」(n=276)と質問したところ、「情報セキュリティ研修の実施」が55.4%、「定期的なモニタリング実施」が41.3%、「機密保持契約の締結」が36.6%、「誓約書の徴収」が30.8 %という回答となりました。

■ 健康管理対策:4割超が「産業医相談」と「ストレスチェック」を実施
「副業・兼業は可能」と回答した人に、「副業・兼業者の健康管理施策について、実施しているものをすべてお選びください」(n=276)と質問したところ、「産業医との定期相談」が43.5%、「ストレスチェックの追加実施」が42.8%、「定期面談の実施」が33.7%という回答となりました。

■ 労働時間管理:デジタル化進む?「システム一元管理」が4割弱
「副業・兼業は可能」と回答した人に、「副業・兼業の労働時間管理方法について、該当するものを1つお選びください」(n=276)と質問したところ、「システムによる一元管理」が37.0%、「表計算ソフト等による管理」が22.1%、「管理していない」が14.5%という回答となりました。

■ まとめ
従業員規模1,000名以上(製造業)、500名以上(その他・サービス業)の大企業に勤める人事担当者500名を対象とした「副業・兼業に関する人事制度の実態調査」を行いました。
正社員の副業・兼業に関して、現在も44.8%の企業が禁止していますが、55.2%の企業が認めていることがわかりました。これは禁止している企業を10.4ポイント上回ります。さらに、現在は禁止しているが新制度を準備中の企業が18.8%あり、副業・兼業を解禁する企業は今後も増えることが予想されます。
一方で、副業・兼業人材を受け入れている企業は62.4%にのぼります。自社の正社員の副業・兼業を禁止している企業でも、約半分が副業・兼業の外部人材を受け入れています。自社の正社員には認めていなくても、副業・兼業人材の活用は進めている、あるいは特定の目的のために受け入れているケースがあることを示唆しています。
副業・兼業を認めている理由として、多くの人事・労務担当者が選んだ選択肢は「従業員の自律的なキャリア形成」(42.8%)でした。自由回答からは「本業では得られない知識やスキルを習得し、キャリア形成につなげる」「個人の自己実現の場を提供」「その経験が本業にも生きることを期待する」といった内容を読み取ることができます。
また、副業・兼業を既に認めている企業の人事・労務担当者は、制度の運用において「情報セキュリティの確保」(40.6%)、「健康管理・メンタルヘルス管理」(39.5%)、「労働時間の適切な把握」(37.3%)を特に重要な課題にあげています。それぞれの課題に対し、「情報セキュリティ研修の実施」(55.4%)、「産業医との定期相談」(43.5%)、労働時間の「システムによる一元管理」(37.0%)といった施策が進められています。
政府の「働き方改革実行計画」(*1)では、2027年度以降に「希望者全員が原則として副業・兼業を行うことができる社会にする」という指標が示されています。厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(*2)を改定し、副業・兼業に関する労働時間管理や健康確保等のルールを示しました。モデル就業規則には詳細が盛り込まれており、企業には従業員の副業・兼業に対して柔軟な姿勢を取ることが期待されています。
2027年度に向け、各企業に合った副業・兼業のルール策定や仕組みづくりが急務です。重要なのは、従業員の自律的なキャリア形成やモチベーション向上を促し、副業・兼業で得た知識や磨いたスキルが本業に還元されることです。副業・兼業の仕組みづくりを通じたリスキリングの促進は、企業の成長や持続可能な組織への発展において、より重要な要素となっていくでしょう。
実践型リスキリングサービス『みらRe-skilling』(https://mirai-works.co.jp/re-skilling/)を運営する当社は、副業・兼業に関する人事課題を抱える企業を支援します。当社が運営する副業マッチングサービス『Skill Shift』(https://www.skill-shift.com/)で得たノウハウを伝える副業実践セミナーやキャリアカウンセリングに加えて、地域企業で副業体験を行う「実践の場」まで一気通貫で提供することで、従業員の皆さまのキャリア自律に貢献してまいります。
*1 政府の「働き方改革実行計画」とは、長時間労働の是正、非正規雇用の処遇改善、多様な働き方の推進などを通じて、労働生産性の向上と個人のより良い将来形成を目指す計画で、2017年に策定されました。
*2 厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」とは、企業と労働者が副業・兼業に安心して取り組めるよう、労働時間管理や健康管理、注意点などを明確化したガイドラインです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
≪株式会社みらいワークス 概要≫
所在地 :東京本社:東京都港区
その他事業所:関西支社/九州支社/東北支社
代表者 :代表取締役社長 岡本 祥治
設立 :2012年3月
証券コード:6563(東証グロース)
資本金 :92,435千円(2025年3月31日時点)
URL :https://www.mirai-works.co.jp/
事業内容 :・プロフェッショナル人材事業
フリーランス・業務委託/副業・業務委託/正社員
登録プロフェッショナル89,000名、クライアント7,700社(2025年5月31日時点)
・コンサルティング事業
・実践型リスキリング事業
・オープンイノベーション事業
・地方創生事業
・サステナビリティ経営支援事業
https://mirai-works.co.jp/service/
子会社 :Greenroom株式会社
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
- 種類
- 調査レポート
- ビジネスカテゴリ
- 経営・コンサルティング就職・転職・人材派遣・アルバイト
- ダウンロード