ちあきなおみのコンセプトアルバム『微吟』が異例の1万枚超えのヒット!昭和・平成・令和・・・と愛され続ける歌声の魅力とは?
ちあきなおみのコンセプトアルバム『微吟(びぎん)』がメディアでの報道を通じ、日を追って評判が高まり、4月に発売されて以来、Amazonミュージックの歌謡曲・演歌部門ではたびたび1位を獲得。また、東京の山野楽器銀座本店では、今なおトップ10を維持するなど、7/末までの時点でトータルセールスで1万枚を超え、CD不況と言われる中、異例のロングセラーとなっておりさらに上昇しそうな勢いだ。
1969年にデビューしたちあきは『喝采』(72年)で日本レコード大賞を受賞。昭和から平成にかけて、比類なき歌唱力で不動の地位を確立するが、92年に活動を休止した。それから27年、本人不在の状況で、これほどのヒットを記録するのは異例の現象といえる。デビュー時から彼女を知る音楽プロデューサーの東元晃氏に、今回のアルバムの企画意図を聞いた。
「最近は歌とダンスを融合したグループが人気を集めていますが、長年ソロの世界を作り上げてきた私には『ソロヴォーカルの真髄を届けたい』という、使命感のようなものがありましてね。『微吟』に関しては、ギリギリの状況にあっても優しさを捨てきれない、いじらしい女性を描いた『朝日のあたる家』や『ねえあんた』を柱にして、心の内を繊細に表現する彼女の歌声の魅力を感じていただけるアルバムになったのではないかと思います」
ちなみに『微吟』とは「小さな声で詩歌を歌うこと」「低くかすかに吟ずること」。等身大の世界を歌うシンガーソングライターや、ダンス&ヴォーカルで魅せるグループ型のアイドルが主流を占める昨今、聴き手の心を揺さぶる、ちあきの抑制されたヴォーカルは、往時を知らない世代にも新鮮な感動を与えている。代表曲『喝采』や、彼女の歌唱によってスタンダードとなった『黄昏のビギン』が、毎年のように様々なジャンルのアーティストにカバーされているのは、その証しといえるだろう。
「ちあきさんは幼少期からステージに立ち、歌はジャズからスタートした人ですが、ジャンルで縛られる活動はしていません。私とは80年代にシャンソンやジャズ、ファドのアルバムを作りましたが、どんな歌に対しても彼女ならではの感性で自分の世界を作り上げていた。あえて言うなら、彼女の歌は“ちあきなおみ”というジャンルなんです」(東元氏)
今年でデビュー50年。すでに活動休止期間の方が長くなっているちあきだが、『微吟』のヒットは、唯一無二の表現力を備えた歌姫であることを改めて実証した。その歌声は、令和の時代も人びとを魅了し続けるに違いない。
(濱口英樹)
■ちあきなおみ コンセプトアルバム「微吟」好評発売中
TECE-3529 価格2,800円+税
<収録曲>
1.星影の小径
作詞:矢野 亮 作曲:利根一郎 編曲:倉田信雄 *ビクター音源
2.イマージュ
作詞・作曲:飛鳥 涼 編曲:瀬尾一三
3.冬隣
作詞:吉田 旺 作曲:杉本眞人 編曲:倉田信雄
4.雨に濡れた慕情
作詞:吉田 央 作曲:鈴木 淳 編曲:森岡賢一郎 *コロムビア音源
5.四つのお願い
作詞:白鳥朝詠 作曲:鈴木 淳 編曲:小谷 充 *コロムビア音源
6.紅とんぼ
作詞:吉田 旺 作曲:船村 徹 編曲:南郷達也
7.矢切の渡し
作詞:石本美由起 作曲:船村 徹 編曲:蔦 将包
8.すり切れたレコード/LE DISQUE USE
作詞・作曲:M.Emer 訳詞:来生えつこ 編曲:安川ひろし *ビクター音源
9.朝日のあたる家(朝日楼)/House of the Rising Sun *ライブ音源
作詞・作曲:アメリカ民謡 訳詞:浅川マキ 編曲:篠崎秀樹
10.ねえあんた
作詞:松原史明 作曲:森田公一 編曲:服部隆之
11.夜へ急ぐ人
作詞・作曲:友川かずき 編曲:内堀まさる
12.祭りの花を買いに行く
作詞・作曲:友川かずき 編曲:倉田信雄
13.かもめの街
作詞:ちあき哲也 作曲:杉本眞人 編曲:倉田信雄
14.嘘は罪
作詞:水谷啓二 作曲:杉本眞人 編曲:服部隆之
15.黄昏のビギン
作詞:永 六輔 作曲:中村八大 編曲:服部隆之
16.喝采
作詞:吉田 旺 作曲:中村泰士 編曲:高田 弘 *コロムビア音源
17.紅い花
作詞:松原史明 作曲:杉本眞人 編曲:倉田信雄
18.そ・れ・じゃ・ネ
作詞:吉田 旺 作曲:倉田信雄 編曲:倉田信雄
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