文京学院大学、髙島屋とAI活用により伝統工芸・江戸小紋継承を目指す「ヒト×AIの共生による地域産業活性化プロジェクト」発足
図案家激減による分業寸断をAIが補完 新作開発に向け包括連携協定締結
文京学院大学(学長:福井勉)は、2025年9月22日、株式会社髙島屋(代表取締役社長:村田善郎)と産学包括連携協定を締結し、「ヒト×AIの共生による地域産業活性化プロジェクト」を開始することをお知らせいたします。
■株式会社髙島屋との協定締結の背景
本学経営学部のデザインの経営史研究ゼミ(担当教員:川越仁恵教授)では、江戸小紋の古い作例を分析し、その特質をマーケティング調査することで、従来は暗黙知にとどまっていた図案制作理論を2022年4月に体系化することに成功しました。
さらに、図案考案の最大の課題である「ランダム配置」を解決する独自アルゴリズムを開発し、職人が膨大な時間を費やしていた作業の大幅な効率化に貢献するAI生成プログラムを完成させました。このプログラムを活用し、2024年5月には新作江戸小紋「スイーツ尽くし小紋」を商品化しました。2025年には、モチーフ点描化AIシステムの構築を進め、江戸小紋制作において伝承が難しいとされる職人の技をデータサイエンスとデザイン思考で分析・方法化・実証し、伝統工芸の産業活性化を目指していきます。
一方、株式会社髙島屋ではこの理念と本学の研究成果が合致し、地域産業の活性化を目的とした「ヒト×AIの共生による地域産業活性化プロジェクト」がスタートする運びとなりました。
今後は、本学学生と髙島屋社員が協働し、商品開発・店頭展開に加え、江戸小紋に限らない新たな活用方法も模索してまいります。


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大学の研究成果を社会に還元
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ヒト×AIの共生による地域産業活性化(作り手の応援・モノづくり支援)
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産学間の情報交換を通じ、産業・社会の発展と人材育成に貢献
■「江戸小紋」の現状について
着物市場において、特に「けれんもの」と呼ばれるデザイン様式は新作がほとんど見られなくなっています。図案構成が難解で制作が困難であることに加え、熟練職人の減少により、「江戸小紋らしい模様の代表的存在」が失われつつあるのが現状です。
制作工程は図案家・錐彫り職人・型紙彫師・染屋による分業で成り立っていますが、現在、図案家は専業の熟練者が非常に少なく、錐彫り職人も現存図案(従来の図案)の再制作が中心となり、新作に取り組む余力がありません。
また、伝統工芸産業におけるAI活用は依然として遅れており、断絶しかけている分業体制を補完することが重要な課題となっています。本プロジェクトは、AIを「職人の仕事を奪うもの」ではなく「支えるもの」と位置づけ、伝統の継承と産業の未来をつなぐ取り組みです。
■株式会社髙島屋MD本部呉服部バイヤー天沼亜沙子バイヤーコメント
本プロジェクトには、あえて新入社員やきもの販売経験の少ないメンバーも参画いたします。「買いたい」「着たい」立場からの意見を積極的に取込み、業界課題でもある「デザインのマンネリ化の打破」と「遊び心を活かす余裕の具現化」へ挑戦するためです。AIという一見伝統や手仕事とはかけ離れて見える技術の力と、従来にないフレッシュな視点や発想で、着物ユーザーも着物初心者も心躍る商品をご提案し、業界のマインドシフトに貢献できれば幸いです。
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