ブッキング・ドットコム、大阪・関西万博 オランダパビリオンにてシンポジウム「オーセンティックジャパン」を開催
~ホテル楊貴館・ホテルおかだの代表者をゲストに迎え、全国の旅館関係者が集い、旅館業界が抱える課題と展望、AIが変える旅館の未来について考えるイベント~

【2025年6月17日】
「すべての人に、世界をより身近に体験できる自由を」を企業理念に、多種多様な宿泊施設や旅行体験、フライト、レンタカーを提供する世界最大級のデジタルトラベルプラットフォーマー Booking.com は、2025年5月22日(木)に大阪・関西万博のオランダパビリオンにおいて、全国の旅館施設関係者総勢80名以上を招待し、旅館業界が抱える課題と展望や、AIが変える旅館の未来について考える当社主催のシンポジウム「オーセンティックジャパン」を開催いたしました。
オーセンティックジャパンは、「コモングラウンド(共創の礎)」をテーマとするオランダパビリオンの公式プログラムの一環として、日本の観光業、旅館業への支援を目的に開催されました。
本イベントは、観光復興と地域経済活性化を背景に、ブッキング・ドットコムがこれまで築いてきたグローバルなネットワークと最先端テクノロジーを活用し、地域の宿泊事業者に対してどのように価値を提供できるかを提示する場として企画されたものです。
会場では、生成AI(GenAI)を含むイノベーション技術が旅行者の体験をどのように変革していくかに焦点を当てるとともに、旅館業界の実情に即した支援のあり方や手法について紹介されました。
■開会挨拶と目指すビジョン
冒頭では、ブッキング・ドットコムのアジア太平洋地域マネージング・ディレクターであるローラ・ホールズワースが、同社の今後のビジョンについて発表しました。
日本政府が掲げる「2030年までに訪日外国人旅行者を6,000万人に増やす」という目標に向けて、政府や観光関連業界を含む主要な関係者と連携し、東京や大阪などの有名観光地にとどまらず、まだあまり知られていない地方地域へも旅行者を呼び込んでいきたいと語りました。
ブッキング・ドットコムが毎年実施している「サステナブル&トラベル」に関する調査によると、世界の旅行者のおよそ80%が「本物の文化体験」を求めており、70%以上が「地域社会への貢献」を望んでいます。さらに、2025年の「旅行トレンド予測」に関する調査では、世界の旅行者の約60%が心身の健康を満たす「没入型のリトリート体験」に関心を持っていることも明らかになっています。
ホールズワースは次のように述べました。
「世界中の人々が、唯一無二の文化、美しい自然、四季の移ろい、温泉などの癒しの体験を求めており、日本はまさにそれを提供できる場所です。だからこそ、ユニークな宿泊体験や文化体験ができる地域の魅力を発信することに力を入れています。
また、注目すべき点として、世界の旅行者の90%以上がよりサステナブルな旅行の選択肢を求めており、実際にそのための行動を起こしています。
私たちは旅行業界のリーダーとして、『誰もが旅したくなるような世界』を守り育てていく責任があり、文化的・環境的・社会的・経済的に、よりサステナブルな旅行業界の実現を推進していきたいと考えています。地域社会や自然環境、生物多様性に配慮した旅行を通じて、人々の視野が広がると信じています。
今後も、旅行者がよりサステナブルな選択をしやすくなるよう支援していくとともに、社内活動にもサステナビリティを積極的に取り入れてまいります。
日本の大都市だけでなく、まだ知られていない地方地域も含め、日本の多様な魅力を世界の旅行者の皆さまに深く知っていただきたいと思っています。」
■生成AIが変える旅行体験と宿泊業の未来
また、ブッキング・ドットコム プロダクト部門 シニアディレクターのエイドリアン・エンギストより、旅行体験における最新のAI活用について発表しました。

「1990年代を振り返ると、旅行先を見つけるにはガイドブックを読むか、旅行代理店に行く必要がありました。しかし、ブッキング・ドットコムのようなOTAの登場によって、行きたい場所を簡単に見つけられるようになりました。旅行者がさまざまな旅行先に気軽に行けるようになった一方で、いくつかの都市ではオーバーツーリズムが発生してしまっています。私たちは、オーバーツーリズムは旅行先がサステナブルに存続できなくなる社会問題だと捉えています。
また、京都のように観光客が集中している一方で、有馬温泉のように人が少ない場所もあり、バランスの悪さが顕在化しています。最近の旅行者の傾向としては、リール動画や30秒程度の短いビデオコンテンツを通じてオンライン上で行き先を発見するケースが増えています。こうしたコンテンツは『行ってみたい』という気持ちをかき立てますが、実際にどうやって行けばいいのか、どのように予定を立てればいいのかが分からない旅行者も多く見られます」と説明しました。
さらに、エイドリアンは今後の旅行体験についてこう語りました。
「世界で2022年から生成AIが活用できるようになり、インターネット上の旅行に関する投稿やガイドをもとにした提案や、多言語対応のリサーチ結果が得られるようになりました。共なってBooking.comでも2023年から英語圏の国々でAIによって言語の壁が取り払われ、これまで知られていなかった秘境なども発見できるようになっています。
ブッキング・ドットコムでは、数ヶ月以内に新しい機能をリリース予定です。その中には、インターネットやSNSに投稿されているビデオをもとに、具体的なルートプランを提案する特別な機能が含まれています。生成AIは従来の検索エンジンに代わり、ユーザーとの会話を通じて好みを理解し、『どんな経験をしたいか』『どんな気持ちになりたいか』という希望に応じて旅行先を提案してくれます。」
ブッキング・ドットコムの生成AIを活用した新機能は、日本でも近い将来に導入される予定です。
「訪れたい場所が複数ある場合でも、各地で体験したい内容を入力するだけで、AIが実際のスケジュールを自動的に組み立ててくれます。そして、それらをひとつの旅行プランとしてまとめてくれる。これが今後の旅行プランニングのあり方になると考えています」と強調しました。
また、生成AIはパートナーである宿泊施設にとっても重要な役割を果たします。
「すでに旅館やホテルから提供されている情報や、カスタマーレビューなどをもとに、生成AIが内容を読み取り、施設に代わって旅行者の質問に回答することができます。この機能により、宿泊施設に過度な負担をかけることなく、旅行者の問い合わせに対応できます。
通常のAIとは異なり、ブッキング・ドットコム独自のAIは非常に高い精度を持っているのが特徴です。旅行者に必要な情報を提供するだけでなく、隠れた名所を発見するきっかけにもなり、魅力的な旅行体験を提供するサポートになると考えています」と話しました。
■パネルディスカッション
トークセッションに続いて、様々な視点から見た旅館の現在と未来に関するパネルディスカッションに登壇したのは、原 洋平氏さん(株式会社ホテルおかだ 常務取締役 営業部長)、岡藤 明史氏さん(株式会社油谷湾温泉ホテル楊貴館 取締役)。

原さんは、祖父と祖母が創業した箱根の温泉旅館を継いでおり、現在と過去の旅行事情について語りました。
「私が旅館に入った2009年当時は、まだ団体旅行が非常に多く、全体のおよそ6割を占めていました。オンライン予約は5%未満で、海外のお客様の割合は1%にも満たない状況でした。
しかし現在では、その頃とは状況が大きく変わり、団体旅行の比率は約2割にまで減少しています。国内からの予約はOTA(オンライン旅行代理店)経由が約5割を占めており、海外からの予約ではブッキング・ドットコム経由が特に多くなっています。こうした変化により、旅行のスタイルも、宿泊施設の運営の在り方も、大きく変わってきています。」
岡藤さんは、山口県長門市にある「油谷湾温泉ホテル楊貴館」の取締役を務めており、近年のインバウンド需要の高まりに対してどのように応えていけるかを語りました。
「新型コロナウイルスの影響で、当時は海外はもちろん、日本国内のお客様もほとんど来られない状況が続いていました。しかし現在では、インバウンドのお客様が大きく増加しています。海外からのお客様が増えたことで、従来の型にはまったおもてなしではなく、お客様がその瞬間に何を求めているのか、どのようなニーズを持っているのかを感じ取る力が、これまで以上に求められていると感じています。」
また、AIの活用について、原さんは、
「当宿では、AIを活用することでシステム構築がしやすくなるため、導入を進めています。具体的には、集客の面で機械学習を活用し、料金のダイナミックプライシングや、プランの出し入れの自動化を行っています。また、お客様向けにはAIによるチャットボットを導入し、社内向けには情報の収集・蓄積にAIを活用しています。
一方で、DMOの視点からは、地域全体を俯瞰しながら、お客様の満足点や不満点を可視化・把握することが重要だと考えています。たとえば箱根では、深夜まで営業している店舗が少ない、交通渋滞が多い、交通情報がわかりづらいといった不満の声が多く寄せられています。これを受けて、箱根DMOがリリースした『箱根デジタルマップ』では、時刻表や現在の運行状況をリアルタイムで表示したり、AIカメラを活用してタクシーの待機状況などを可視化することが可能になりました。
このように、AIを活用して仕組み化を進めることで、国内外問わず観光客の不満をできる限り解消し、快適な旅の体験につなげていきたいと考えています。」と話しました。
岡藤さんは、
「AIを活用することで、オペレーションにもさまざまな変化が生まれています。具体的には、これまでスマートフォンを使ったことのない高齢のスタッフでも操作しやすい仕組みによって、どの客室が現在どういう状態かをリアルタイムで把握・最適化できるようになりました。
また、海外からのお客様をお迎えする際には、お食事に関して宗教的な配慮やアレルギー対応など、日本のお客様以上にきめ細かな対応が求められる場面が多くあります。こうした場面においても、AIを活用することで迅速な判断と、ヒューマンエラーの防止につながる環境を整えることができ、私たちにとって非常に重要な取り組みとなっています。」と説明しました。
■ゲスト登壇者が考える「旅館の未来」とは
原さんは「日本人と海外旅行者では滞在スタイルに違いがあり、日本人に多い一泊二食の温泉旅行のような体験を、海外の方にも楽しんでもらえる工夫が必要です。現在、長時間滞在型の旅行をする海外旅行者はまだ少ないため、ブッキング・ドットコムや地域との連携を通じて、日本のおもてなし文化をより伝えていきたい」と述べました。
岡藤さんは「伝統を“守る”よりも、“生かしてつなぐ”ことが本質だと感じています。たとえば2021年には山口県の日本酒文化を発信する空間を旅館内に設けました。旅館は地域の魅力を伝えるショーケースであり、そこにブッキング・ドットコムのようなOTAを活用して、地域の素晴らしさをより多くの旅行者に届けることが重要です」と語りました。
■オランダパビリオン「コモングラウンド(共創の礎)」をテーマにしたトークセッション
なお、本フォーラムの会場となったオランダパビリオンについてもセッションでは触れ、大阪・関西万博オランダ外務省のアイノ・ヤンセン氏は、オランダパビリオンでの取り組みについて語りながら、「コモングラウンド(共創の礎)」というテーマに込められた意味を次のように強調しました。
「このパビリオンには、毎日約5,500名もの方々が来場され、文化や技術を通じた対話が日々行われています。ここで私たちが最も重視しているのは、“循環”という価値観を共有することです。設計は、循環型建築を専門とするオランダの建築家トーマス・ラウ氏によるものであり、万博終了後には資材を再利用できるように設計されています。これは、サステナビリティに対する私たちの姿勢を象徴しています。」
さらに同氏は、デザインの象徴性についても触れました。
「太陽をかたどったドームはエネルギー、水を象徴する波のモチーフは、オランダと日本の425年にわたる関係性を表しています。この“共通の歴史”もまた、私たちが共有している基盤=コモングラウンドの一部です。そして、中央のリングの上から見ると、日本の国旗のように見えるデザインもあり、視覚的にも両国のつながりを感じる構成になっています。」
彼女はまた、共通の価値を軸とした国際協働の必要性を次のように語りました。
「オランダと日本は、エネルギー、ライフサイエンス、健康、サステナブルな食料など、さまざまな分野で協力関係を深めています。今後、多くの大臣が日本を訪れる予定であり、文化イベントやコンサートも予定されています。こうした一つひとつの交流が、コモングラウンドというテーマを体現するものです。国家単位では達成できない課題も、ここに集う国々が手を取り合えば可能になる。その連帯こそが、私たちがこの場を通じて伝えたいメッセージなのです。」
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Booking.comについて
1996年にアムステルダムにて設立され、Booking Holdings Inc.(NASDAQ:BKNG)の一員として、「すべての人に、世界をより身近に体験できる自由を」を企業理念に掲げています。多種多様な宿泊施設と移動手段を簡単かつワンストップで予約ができるプラットフォームを通して、世界中のお客様に思い出に残る体験を提供しています。また、ブッキング・ドットコムでは、ロイヤルティプログラム「Genius」に登録することで、世界中の数十万軒もの対象施設や対象のレンタカーで割引や旅行特典を利用することができます。詳細については、ブッキング・ドットコムの公式SNSアカウント (@bookingcom_jp)、もしくは https://news.booking.com/ja をご覧ください。
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