【埼玉県】世界初!有機フッ素化合物(PFAS)分析用標準試薬の専用保存容器を開発しました

埼玉県

開発したPFAS分析用保存容器

 有機フッ素化合物(PFAS)は、かつて撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の有用な特性から幅広く使用されてきましたが、自然環境中や体内で分解されにくく、健康への影響が懸念されています。

 PFASの中でも、有害性のほか、難分解性、高蓄積性などの特性があるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、国内では製造・輸入等が原則禁止されています。 

 PFASの分析には、あらかじめ濃度がわかっている標準試薬が必要ですが、これまで分析に使用していた標準試薬の保存容器は、試薬の揮発やフッ素化合物の溶出など、長期間の安定的な保存に課題がありました。 

 そこで、当センターでは民間企業との共同研究により、これらの課題を解決した保存容器を世界で初めて開発しました。このことにより、PFASの正確な測定を可能にし、自然環境中の実態解明に大きく 貢献します。9月の国際学会で世界に向けて発信していきます。

1 PFAS(ピーファス)とは 

 有機フッ素化合物の総称で、撥水・撥油剤、界面活性材や消防機関などの消火装置で使用される泡消火剤など、幅広く使用されてきました。PFASの中でも、有害性のほか、難分解性、高蓄積性などの特性があるPFOS、PFOAは、環境や食物連鎖を通じて人の健康や動植物の生息・生育に影響を及ぼす可能性が指摘されていることから、それぞれ2009年、2019年に世界的に輸出入、製造、使用が禁止、制限されています。 

 また、国内においても、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づき、製造・輸入等を原則禁止されています(PFOSは2010年、PFOAは2021年)。 

 現在、日本の河川・地下水等の水環境では、PFOS、PFOAの暫定指針値(PFOSとPFOAの合計濃度:50ng*/L)が設定されています。また、水道水についてもPFOSとPFOAの合計濃度が 50ng/L 以下とするよう暫定目標値が設定されています。 

 *ng(ナノグラム):10億分の1グラム。東京ドームいっぱいの水に角砂糖1個を溶かしたときの濃度が ng/L 相当。

2 開発した保存容器の特徴 

 通常、化学物質の濃度測定には標準試薬**が必要で、それを保管する保存容器が市販されています。しかし、PFAS分析用の標準試薬の保存に関しては、以下の課題がありました。これらの課題は、分析対象が、ng/L 単位の濃度を分析するため、分析値に大きな影響を与えます。 

  1. 容器の気密性

    蓋に隙間があるとPFASを溶かしている液(溶媒)が蒸発して標準試薬の濃度が変わる

  2. 容器の素材からの PFAS の混入

    フッ素樹脂が使用されている市販の容器では、PFASが混入するおそれがあり、保存容器中の標準試薬の濃度が変わる

 当センターは、有限会社ラブディポット(東京都墨田区)と PFAS分析用標準試薬の専用保存容器に関する共同研究を行い、これらの課題を解決する保存容器を開発しました。 

 開発した保存容器は製品化され、2024年7月に販売が開始されました。 

 **標準試薬:あらかじめ濃度がわかっていて、濃度を測定するときに基準となる液のこと

3 当センターの役割 

 有限会社ラブディポットと共同研究契約を締結し、今回の保存容器の開発にあたり、デザインの提案、材料の選定、並びに標準液の保存性の評価を行いました。

問合せ先 

環境科学国際センター 

 化学物質・環境放射能担当 竹峰  電話 0480-73-8372 

 土壌・地下水・地盤担当 髙沢 電話 0480-73-8368

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会社概要

埼玉県

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URL
https://www.pref.saitama.lg.jp/
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
埼玉県さいたま市浦和区高砂3-15-1
電話番号
048-830-2070
代表者名
大野元裕
上場
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資本金
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設立
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