1月の個人消費の景況感が5カ月ぶりに悪化 2022年の家計消費支出は前年比3.6%増を見込むも、2019年の水準に届かず

家計消費支出の動向と2022年の見通し

株式会社帝国データバンク

2021年10~12月期のGDP速報によると、個人消費は前期比2.7%増(年率11.2%増)となりました。一方で、2022年1月以降はオミクロン株を中心に新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染者数の急増で、再び小売業や個人向けサービス業の景況感が大きく悪化してきました。
そこで帝国データバンクは、家計支出の動向および2022年の見通しについて分析しました。
<調査結果(要旨)>
  1.  個人消費関連の景況感が5カ月ぶりに悪化、オミクロン株の感染拡大で個人向けサービスが大きく下押し
  2. 名目家計消費支出、新型コロナショックで二極化傾向が顕著
  3. 2022年の実質家計消費支出は前年比3.6%増、サービス消費がけん引し2年連続で増加すると予測

個人消費関連の景況感が 5 カ月ぶりに悪化、オミクロン株の感染拡大で個人向けサービスが大きく下押し 

 

個人消費 DI の推移個人消費 DI の推移

 

帝国データバンク「TDB景気動向調査」で算出している2022年1月の個人消費DI1は32.5となり、5カ月ぶりに景況感が悪化しました。特に、オミクロン株の感染が拡大し人流抑制策が一部地域で再び発出されたなかで、「旅館・ホテル」や「飲食店」などを含む個人向けサービス業のほか、外出機会の減少で婦人・子供服などアパレル小売の景況感が大きく下押しする形となりました。
  • 「新型コロナの感染拡大によるキャンセルの増加で、予約のない月日が多い」(旅館)
  • 「在宅勤務の増加で社員食堂の食数が減少している。さらに歓送迎会などイベントの中止も追い打ちになっている」(一般食堂)
  • 「百貨店を中心に展開しているが、目に見えて来店客数が減少した」(婦人・子供服小売)


名目家計消費支出、新型コロナショックで二極化傾向が顕著

家計消費支出(2021 年)家計消費支出(2021 年)

 

2021年の名目家計消費支出は前年比0.4%増と2年ぶりに増加しました(総務省「家計調査」)。自宅内消費に関連した冷凍調理食品、マスクやガーゼを含む保健用消耗品などは新型コロナ前の2019年を大きく上回っています。他方で、宿泊料やパック旅行費、遊園地の入場料のほか、食事代や婦人服などは大幅に減少した状況が続いています。


2022 年の実質家計消費支出は前年比3.6%増、サービス消費がけん引し 2 年連続で増加すると予測

 

実質家計消費支出についてTDBマクロ経済予測モデルでシミュレーションを実施したところ、2022年は1~3月期がオミクロン株の感染拡大にともない前期比でマイナスの伸びになるものの、4~6月期以降はリベンジ消費や旺盛な自宅内消費の継続などもありプラスで推移すると見込まれます。

その結果、通年では前年比3.6%増の約289兆9,060億円となり、2年連続で増加すると予測しています。同モデルのシミュレーション結果を形態別にみると、耐久財消費は自動車の挽回生産にともなう販売増などで前年比3.8%増と見込まれます。半耐久財消費は衣服などで外出機会の増加もあり同4.1%増、非耐久財消費は活発な自宅内消費の継続で食料などが旺盛で同1.9%増、サービス消費は新規感染者数の落ち着きが期待されることから対面型サービス需要の拡大などにより同4.4%増になると見込まれます。

しかし金額面では、2022年に新型コロナ拡大前である2019年の水準を上回るのは非耐久財消費のみにとどまり、家計消費支出全体が新型コロナ拡大前の水準を回復するのは2023年になるとみられます。



家計消費支出は需要項目で最大のウェイトを占めており、 その動向は経済活動に大きく影響します。2022年の家計消費支出はサービス消費がけん引し2年連続で増加するとみられますが、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準(2019 年)に達するのは、2023年頃になると見込まれます。

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業種
サービス業
本社所在地
東京都港区南青山2-5-20
電話番号
03-5775-3000
代表者名
後藤 信夫
上場
未上場
資本金
9000万円
設立
1987年07月