耐候性を従来品より大幅に向上させた外装用化粧シートを開発
住宅・非住宅用部材の長寿命化を実現し、省資源・環境負荷軽減にも貢献
DNPは、市場からの高い評価を長年獲得しているEBコーティング＊2技術を応用・発展させて、生活空間のさまざまな課題を解決する「空間ソリューション」に取り組んでいます。その一環で今回、耐候性の向上によって、住宅や各種施設等の非住宅の長寿命化を実現し、省資源化による環境負荷の軽減などで地球環境にも配慮した外装用化粧シートを開発しました。
耐候性を向上させた外装用化粧シート
【開発の背景】
近年、気候変動の影響などもあり、豪雨や高い気温、強い日差しなど自然環境がより過酷になる中で、一層の耐候性が外装材に求められています。また、循環経済（サーキュラーエコノミー）の実現や住宅・非住宅の長寿命化というニーズに対し、長期間使用できる製品・サービスの開発と、それによる原材料や使用エネルギーの削減など、省資源化・環境負荷軽減の取り組みが企業に求められています。
こうした課題に対してDNPは今回、約20年にわたって提供している「外装用化粧シート」について、表面保護層の耐候剤の工夫、耐傷性や加工性等の塗膜性能の向上、EBコーティング技術の応用によって、大幅に耐候性を向上させました。
【耐候性を向上させた新「外装用化粧用シート」の特長】
屋外環境の気候への耐性を有する「耐候剤」の設計と配合の最適化、DNP独自のEBコーティング技術によって、シート表面の“塗膜”を改良しました。これによって、紫外線による劣化を防止する機能を高め、当社従来製品と比較して約1.25倍の耐候性の向上を実現しました。機能評価の際には、紫外線のエネルギーが太陽光よりも数倍以上高い光源のサンシャインカーボンアーク灯と水噴霧機を使用して、屋外の条件を人工的に再現しました。その中で、製品・材料の寿命を予測するサンシャインウェザーメーター（SWOM）による促進耐候性試験を実施し、12,000時間が経過した後でも、著しい変化が起きないという結果が確認できました。（当社選定のカラー、エンボス仕様による）
本製品の開発にあたり、一定の張力で繰り返し折り曲げてシートの耐久性を調べる「耐折（たいせつ）強度試験」や、シート折り曲げ時の割れの防止状況を調べる「エリクセン試験」等の加工適性評価も行っています。折り曲げなどの加工時に、熱硬化型の製品と比較して、シートがより割れにくいことが確認できました。
表面をより美しく・より長期にわたって保つため、EBコーティング技術の応用・展開によって、耐傷性や耐汚染性を向上させています。
サンシャインウェザー（SWOM）による促進耐候性試験結果。赤枠の試験体に剥離・変色発生が見られる。
【今後の展開】
DNPは、本製品をエクステリア等のメーカーを中心に提供し、2025年度までに累計36億円の売上を目指します。また、今後さらに厳しくなると想定される自然環境に適応したエクステリア製品の開発も進め、住宅市場だけでなく、公共・インフラ市場や海外市場への展開も検討していきます。
＊1 DNPにおける予測シミュレーションによる実測値
＊2 EB（Electron Beam：電子線）コーティング ： 塗工した樹脂を電子線の照射で硬化させる技術。ウレタンやUV樹脂をコーティングした製品に比べ、傷・汚れ・日光等に強く、高い耐久性と実用性能、品質安定性を確保できます。製造工程での省エネルギー化やCO2排出量削減、無溶剤塗工も可能な環境対応技術です。
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