2023年時代小説ベスト10 堂々、第1位! 大注目の“奉行所小説”がおもしろい!「北の御番所 反骨日録」シリーズ/芝村凉也(双葉文庫)
時代小説を紹介しているwebサイト『時代小説SHOW』が、2023年に発売された作品の年間ベスト10を発表。芝村凉也の「北の御番所 反骨日録」シリーズが[文庫書き下ろし]部門で第1位を獲得した。
『北の御番所 反骨日録』とは
本シリーズは、北町奉行所の用部屋手附同心・裄沢広二郎が主人公。用部屋手附同心というあまり耳慣れない役職だが、その仕事内容は、町奉行の執務室である御用部屋に詰めて、内与力(町奉行の秘書官)を補佐して各種文書の作成や案件の下調べをする事務職、地味なデスクワークだ。
定町廻り同心のように事件現場に駆けつけ、下手人を追って江戸の町を奔走するような派手な役職では決してない。だが裄沢は、人間の心理を読み論理的思考を駆使して事件の真相を見破り、時に奉行所内の不正や暗部をも炙り出す。つまり、事件捜査を描いた捕物帳とは一線を画す、内勤役人が主人公の新しい時代小説なのだ。
主人公の魅力
主人公の裄沢は、出世欲がなく、いつ役人を辞めても構わないと思っている“やさぐれ同心”だ。故に上役に媚びへつらうことなく、道理に合わなければ相手が誰であろうと言うべき事をはっきり口にする真っ直ぐな性分。その気性が災いしてか、上役からは煙たがられ同僚からも距離を置かれているような存在だ。そんな裄沢であるから、厄介ごとに巻き込まれたくないと思うものの、一方的に裄沢を目の敵にして奉行所から排除しようと画策する上役や同僚まで現れる。だが裄沢は、舌鋒鋭く相手を論破し、返り討ちにしてしまうのだ。
読者の感想
読者からは「知恵も回れば弁も立つキレキレの裄沢が上役をやり込めるシーンが痛快」「屁理屈のように見えて、核心を突く正論で相手を黙らせる姿が小気味いい」といった感想が寄せられるように、権威や権力に屈しない主人公の姿に魅了されているようだ。
今後の楽しみな展開
2021年にスタートしたこのシリーズは、既に第9巻まで刊行され、2024年4月には第10巻の刊行も控えている。巻を重ねるにつれて、奉行所内で裄沢の立場も変化していく。変わり者扱いされている裄沢を高く評価している北町奉行の小田切土佐守や、幼馴染みの同心・来合轟次郎をはじめとした数人の理解者を得て、不本意にも栄転していく裄沢。それがまた新たな軋轢を生んでいく──。
組織とは何か、その組織の中で生きる個人はどうあるべきなのかを問いかける奉行所小説(江戸版の警察小説)といえる作品だ。
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『北の御番所 反骨日録』第1巻冒頭よりお楽しみください!
https://colorful.futabanet.jp/articles/-/2843
作品概要
【タイトル】北の御番所 反骨日録 【一】 春の雪(きたのごばんしょ はんこつにちろく はるのゆき)
【著者名】芝村凉也
【発売日】2021.04.15
【定価】748円 (本体680円)
【判型】A6判(双葉文庫)
【ISBN】9784575670509
https://www.futabasha.co.jp/book/97845756705090000000
著者プロフィール
芝村凉也(しばむら・りょうや)
1961年宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。二十数年のサラリーマン生活を経て著述活動に入る。2011年「返り忠兵衛 江戸見聞」シリーズにてデビュー。重厚な筆致と優れた人物描写で話題となり、大きな注目を集める。主な著書に「御家人無頼 蹴飛ばし左門」シリーズ、「長屋道場騒動記」シリーズ(ともに双葉文庫)、「素浪人半四郎百鬼夜行」シリーズ(講談社文庫)、「討魔戦記」シリーズ(祥伝社文庫)、『風燃ゆる』(角川文庫)などがある。
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