東京電力福島第一原発の処理済み汚染水(ALPS処理水)の放出案に反対するパブリックコメントを提出しました【生活クラブ生協連合会】
東京電力福島第一原発に貯蔵・蓄積されている処理済み汚染水について、東京電力が環境中への放出に関する処分素案を発表しました。2020年4月、経済産業省が一般からの意見募集を開始し、生活クラブ連合会として意見を提出しました。
生活クラブ連合会が提出した意見
多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の水蒸気放出または海洋放出案には、以下の理由から反対します。
①処分案は放出ありきであり、それ以外の方法は十分な議論がされていないため、結論を出すことは時期尚早である。
処分案として「海洋放出」「水蒸気放出」の2択となっているが、大型タンクにおける陸上長期保管、モルタル固化による処分、敷地の拡大等、環境中に放出しない案についても、ALPS小委員会では十分な討議がされたとは言えない。
東京電力は、大型タンク貯留に関して、「敷地利用効率は標準タンクと大差ない」「雨水混入の可能性がある」「破損した場合の漏えい量大」といった点をデメリットとして挙げた。
一方、大型タンクは石油備蓄などに使われており、多くの実績をもつ。また、ドーム型を採用すれば、雨水混入の心配はない。大型タンクの提案には、防液堤の設置も含まれている。ALPS小委員会の場では質疑もないまま、東京電力の報告書がそのまま記載されているのは問題である。モルタル固化案は、アメリカのサバンナリバー核施設の汚染水処分でも用いられた手法であり、利点としては、放射性物質の海洋流出リスクを遮断できる。この手法も含めて再検討すべきである。
ALPS小委員会では、委員から「福島第一原発の敷地の利用状況をみると、現在あるタンク容量と同程度のタンクを土捨て場となっている敷地の北側に設置できるのではないか」「敷地が足りないのであれば、福島第一原発の敷地を拡張すればよいのではないか」などといった意見が出された。しかし、敷地の拡大の可能性については、経済産業省は地元への理解を得るのが難しいとしている。もちろん地元への説明・理解は不可欠であるが、その努力をまったくせずに、敷地の拡大は困難という結論を出すことは時期尚早である。
②市民への丁寧な説明がされ、意見聴取を行ない判断されるべきである。
経済産業省は、決定の前に「地元をはじめとする幅広い関係者の意見を聴く」としている。ALPS小委員会において、委員から繰り返し、「関係者」を狭く絞るべきではない点の指摘があった。しかし、現在設定されている「御意見を伺う場」は、関連団体などきわめて限定的であるが、そのうち漁業関係者からは「地元の海洋を利用し、その海洋に育まれた魚介類を漁獲することを生業としている観点から、海洋放出には断固反対であり、タンク等による厳重な陸上保管を求める」「『関係者の理解なしにはいかなる処分を行わない』旨の回答を受けている。」と反対の声があり、丁寧な説明がなされ理解が得られたとは言えない。
また、意見聴取は一般の市民も対象とすべきであり、福島県外でも行うべきである。その際、単に意見聴取を行うのではなく、経済産業省から十分な説明を行い、提起された質問には十分に答えるべきである。
③大量の放射性物質が蓄積されていることを前提とし、最も安定的に管理できる陸上で保管すべきである。
2020年3月12日時点で保管されているALPS処理水の約119万m3には、東京電力の試算で約860兆ベクレルのトリチウムが含まれており、これは2010年の原発稼働時に排出されていた年間2.2兆ベクレルに対し、約400倍もの量が蓄積されていることになる。また、東京電力の発表によると、現在タンクにためられている水の約7割で、ヨウ素129、ルテニウム106、ストロンチウム90など、トリチウム以外の核種も基準を超えて残存することが明らかになった。海洋放出する場合は二次処理を行い、これらの放射性核種も基準値以下にするとしているが、これまで前例のない大量の放射性物質である。たとえ基準値以下であっても安易に放出する結論ではなく、最も安定的に管理できる陸上で保管すべきである。
以上
多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の水蒸気放出または海洋放出案には、以下の理由から反対します。
①処分案は放出ありきであり、それ以外の方法は十分な議論がされていないため、結論を出すことは時期尚早である。
処分案として「海洋放出」「水蒸気放出」の2択となっているが、大型タンクにおける陸上長期保管、モルタル固化による処分、敷地の拡大等、環境中に放出しない案についても、ALPS小委員会では十分な討議がされたとは言えない。
東京電力は、大型タンク貯留に関して、「敷地利用効率は標準タンクと大差ない」「雨水混入の可能性がある」「破損した場合の漏えい量大」といった点をデメリットとして挙げた。
一方、大型タンクは石油備蓄などに使われており、多くの実績をもつ。また、ドーム型を採用すれば、雨水混入の心配はない。大型タンクの提案には、防液堤の設置も含まれている。ALPS小委員会の場では質疑もないまま、東京電力の報告書がそのまま記載されているのは問題である。モルタル固化案は、アメリカのサバンナリバー核施設の汚染水処分でも用いられた手法であり、利点としては、放射性物質の海洋流出リスクを遮断できる。この手法も含めて再検討すべきである。
ALPS小委員会では、委員から「福島第一原発の敷地の利用状況をみると、現在あるタンク容量と同程度のタンクを土捨て場となっている敷地の北側に設置できるのではないか」「敷地が足りないのであれば、福島第一原発の敷地を拡張すればよいのではないか」などといった意見が出された。しかし、敷地の拡大の可能性については、経済産業省は地元への理解を得るのが難しいとしている。もちろん地元への説明・理解は不可欠であるが、その努力をまったくせずに、敷地の拡大は困難という結論を出すことは時期尚早である。
②市民への丁寧な説明がされ、意見聴取を行ない判断されるべきである。
経済産業省は、決定の前に「地元をはじめとする幅広い関係者の意見を聴く」としている。ALPS小委員会において、委員から繰り返し、「関係者」を狭く絞るべきではない点の指摘があった。しかし、現在設定されている「御意見を伺う場」は、関連団体などきわめて限定的であるが、そのうち漁業関係者からは「地元の海洋を利用し、その海洋に育まれた魚介類を漁獲することを生業としている観点から、海洋放出には断固反対であり、タンク等による厳重な陸上保管を求める」「『関係者の理解なしにはいかなる処分を行わない』旨の回答を受けている。」と反対の声があり、丁寧な説明がなされ理解が得られたとは言えない。
また、意見聴取は一般の市民も対象とすべきであり、福島県外でも行うべきである。その際、単に意見聴取を行うのではなく、経済産業省から十分な説明を行い、提起された質問には十分に答えるべきである。
③大量の放射性物質が蓄積されていることを前提とし、最も安定的に管理できる陸上で保管すべきである。
2020年3月12日時点で保管されているALPS処理水の約119万m3には、東京電力の試算で約860兆ベクレルのトリチウムが含まれており、これは2010年の原発稼働時に排出されていた年間2.2兆ベクレルに対し、約400倍もの量が蓄積されていることになる。また、東京電力の発表によると、現在タンクにためられている水の約7割で、ヨウ素129、ルテニウム106、ストロンチウム90など、トリチウム以外の核種も基準を超えて残存することが明らかになった。海洋放出する場合は二次処理を行い、これらの放射性核種も基準値以下にするとしているが、これまで前例のない大量の放射性物質である。たとえ基準値以下であっても安易に放出する結論ではなく、最も安定的に管理できる陸上で保管すべきである。
以上
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