NECと自律調整SCMコンソーシアム、AIを活用しNECプラットフォームズの部品購買業務における納期調整を自動化する検証を実施
AIによる納期交渉
【背景】
近年、多くの産業のサプライチェーンにおいて、企業間取引における納期、数量、価格や、物流の配送条件など、様々な調整が日々大量に発生・遂行されています。中でも電子部品の購買では、部品の種類が膨大かつメーカーも多数におよび、製品ライフサイクルも短くなっています。加えて、世界情勢の変化によるサプライチェーン不安定化の影響を受けて、購買側と販売側の間でイレギュラーな調整が増加するなど業務の負担がますます増えています。
従来、このような個々の条件が異なる調整や交渉は人でなければ対応できない領域と考えられてきましたが、人でしかできない交渉はあるものの、AIに任せられる領域もでてきています。
こうした背景を踏まえ、NECは自律調整SCMコンソ―シアムの活動の一環として、電子部品購買の実業務に調整・交渉自動化を適用する実証を行い、その効果を検証しました。
【検証概要】
<検証期間>
2023年10月
<検証内容>
想定するケース
NECプラットフォームズがサプライヤに対して発注済みの部品に関して、サプライヤの納期回答が注文納期よりも遅延している場合、あるいは、生産計画の変更を受け、納期に前倒し依頼が必要になった場合。
自動交渉AIが実現したこと
購買側(NECプラットフォームズ側)に導入した自動交渉AIが、部品の在庫状況や生産計画情報などを活用して、チャットボットを介して販売側の担当者(人)と納期調整を行いました。NECプラットフォームズの実ラインで稼働しているシステムと連携して、納期変更が必要となったPO(購買発注)について納期調整を行い、変更された納期で納品されたことを確認しました。
具体的な手順
① 購買側(NECプラットフォームズ側)で生産計画の変更に伴う部品の需要変動が発生し、自動交渉AIが当該部品の納期の調整を行うために、変更依頼メールを販売側に送信
② 販売側は、①のメールに記載のURLから納期調整依頼一覧画面にアクセスし、納期調整が必要な品目を確認
③ 販売側は、各品目の交渉チャット画面から、購買側の変更希望納期を確認し、可能な納期・数量を回答
④ 自動交渉AI(購買側)は③の回答を受けて、合意、もしくは新たな提案を回答
⑤ 上記③・④の調整・交渉を、合意か中断に至るまで自動交渉AI(購買側)と人(販売側)で実施
⑥ AIとの交渉ではまとまらない場合、自動交渉を中断して、人間の担当者同士で調整
なお、①の依頼は週1回(週初めの営業日)に送信され、販売側は週の間に調整・交渉を実施し、調整がつかない場合は翌週の交渉対象としました。
検証概要
<検証結果・期待効果>
自動交渉AIにより、在庫確認、発注量算出、販売側担当者とのやりとりが自動化され、取引先との納期調整がスピードアップしました。これにより購買担当者は、部品在庫の適正化や予期せぬ需要変動への対応などに取り組むことができるようになり、変動対応力の向上につながることが期待されます。
今回は、購買側が自動交渉AIで販売側が人という形態で実証を行いましたが、今後は購買側が人で販売側が自動交渉AI、または購買側・販売側の双方に自動交渉AIを導入する形態での検証も進めていきます。
以上
(注1)自律調整SCMコンソ―シアム:2021年9月設立。サプライチェーンにおいて日々発生している「企業・組織・個人間での利害や挙動の調整業務」を劇的に効率化することを目指し、先進技術を活用した実用的な調整業務フローの整理と検証、その発展と普及活動を行う。
https://automated-negotiation.org
(注2)本社:東京都千代田区、代表取締役 執行役員社長:河村 厚男
<技術の詳細>
利害の異なるAI同士が交渉し、Win-Winな関係へ
自動交渉AI技術
https://jpn.nec.com/rd/technologies/202203/index.html
<本件のお問い合わせ先>
NEC グローバルイノベーション戦略統括部
https://contact.nec.com/http-jpn.nec.com_tb_142rd_4b126d/?fid=4b126d
自律調整SCMコンソ―シアム
E-Mail:contact-auto-nego@mlsig.jp.nec.com
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