明治大学総合数理学部の宮下芳明教授が、賞味期限までの日数に応じて異なる価値をも つ商品に仕立てたアート作品「食べごろはひとつじゃない。」を発表
もしも残り日数ごとにパッケージが変わったら?
明治大学総合数理学部の宮下芳明教授は、同じチーズを賞味期限までの残り日数に応じてその時期の価値を表す5つの名前とパッケージで表現するアート作品「食べごろはひとつじゃない。」を制作、2026年11月7日(土)・8日(日)に東京ポートシティ竹芝で開催される「みんなの脳世界2026~超多様~」で展示発表します。

ナチュラルチーズは、パッケージに詰められた後も熟成とともに風味が変わり続けます。一方、店頭では、賞味期限が近づいた食品は値引きして販売されることが多くあります。
本作は、この風味の変化を、異なる価値として捉え、5つの段階をそれぞれ別の商品のようにデザインしました。出荷直後は、ミルクの香りを生かしてサラダの仕上げにかける「ミルク香る」。賞味期限間近は、凝縮したうま味で煮込み料理の味を決める「うま味凝縮」。時期ごとに、名前とおすすめの料理が変わります。賞味期限が近い商品を、価格を下げずに選んでもらうための一つの可能性を示す試みでもあり、食品ロスの削減や、食品における販売のあり方にも関わります。
会場では、5種類のパッケージ模型と、各段階の味わいや使い方を紹介するリーフレット、解説パネルを展示します(試食は行いません)。展示は、人の感覚や脳の多様性をテーマとする同イベント内の『五感互換』展 ~味はかえられる?~ CANVAS(監修:宮下芳明)で行います。
宮下芳明教授コメント
チーズの味は、買った後もどんどん変わっていきます。食品メーカーはむしろ、その味が変わらないように努力を重ねてきました。でも、変わることは悪いことなのでしょうか。賞味期限が近づいても、食べ物の価値が下がるわけではありません。値引きしたり、涙目シールを貼ったりするのではなく、ただ、その時期ならではの「価値」を主張すればいいのです。今回の作品では、それぞれの段階に合った食べ方を、パッケージとリーフレットで具体的に示しました。今夜カレーを作る人にとっては、賞味期限まで「あと10日」のチーズこそが、いちばんの食べごろになります。食べごろは、ひとつではありません。この作品で問いたいのは、チーズの価値ではなく、私たちの価値の決め方です。
宮下芳明(みやした・ほうめい)
明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科 教授。味覚を拡張・再現する「味覚メディア」の研究に取り組む。電気刺激で飲食物の味を変える研究(中村裕美氏との共同研究)で、2023年にイグ・ノーベル賞(栄養学賞)受賞。キリンホールディングスとの共同研究は、電気の力で減塩食の塩味を増強する食器型デバイス「エレキソルト」として製品化され、日本オープンイノベーション大賞 日本学術会議会長賞(2024年)や2025年度グッドデザイン金賞などを受賞。

5段階のパッケージ

賞味期限まで120~91日
「ミルク香る 熟成チーズ」
ミルクの香りと軽い酸味を生かし、サラダや冷たい前菜の仕上げに使う段階として表現しています。パッケージが提案する使い方は「食べる直前に、おろしてかける」。長く加熱するのではなく、食べる直前に加えることで、その段階の香りや軽やかさを楽しむ提案です。

賞味期限まで90~61日
「まろやか仕立て 熟成チーズ」
旨味とコクがなじみ、食べた後にも味が残る段階として表現。卵料理や温野菜など、余熱で混ぜる料理を提案します。「火を止めてから、おろして混ぜる」という使い方によって、料理全体にまろやかな味わいを広げます。

賞味期限まで60~31日
「コク深まる 熟成チーズ」
熟成した風味の強さを、加熱する料理の持ち味として捉える段階です。グラタンやキッシュなど、ソースや具材と一緒に加熱する料理を提案。「ソースや具材に、おろして混ぜる」ことで、料理に香りやコクを加える使い方として示しています。

賞味期限まで30~15日
「焼いて香ばしい 熟成チーズ」
濃いチーズの風味を、焼き色と香ばしさにつなげる段階です。パッケージでは「薄く広げて、焼き色をつける」と説明し、ピザやチーズせんべいなど、こんがり焼く料理を提案します。焼くことで生まれる魅力を前面に出しています。

賞味期限まで14日~当日
「うま味凝縮 熟成チーズ」
強い熟成感や塩味、コクを、少量で料理全体を引き立てる役割として捉えます。カレーやミートソースなど、煮込みの味付けに使う提案です。「味を見ながら、少しずつ加える」と示し、強さを欠点ではなく、使い方によって生きる特徴として伝えています。
展示概要
作品名 食べごろはひとつじゃない。
作者 宮下芳明(明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科 教授)
展示内容 パッケージ模型(架空の商品)5種類、紹介リーフレット、解説パネル。
※ 食品の提供・試食はありません
催事 「みんなの脳世界2026~超多様~」内『五感互換』展
日時 2026年11月7日(土)11:00~17:00、11月8日(日)10:00~17:00
会場 東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー1階 ポートホール(東京都港区海岸1-7-1)
入場料 無料
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