紀伊國屋じんぶん大賞受賞の臨床心理士・東畑開人氏が贈る新感覚の”読むセラピー”、『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社刊)、本日発売!
人生には、迷子になってしまう時期がある。そんな時にあなたを助けてくれる、7つの補助線――。
家族、キャリア、自尊心、パートナー、幸福……。
心理士として15年、現代人の心の問題に向き合ってきた著者には、強く感じることがあります。
それは、投げかけられる悩みは多様だけれど、その根っこに「わたしはひとり」という感覚があること――。
夜の海をたよりない小舟で航海する。そんな人生の旅路をいくために、あなたの複雑な人生をスッパーンと分割し、見事に整理する「こころの補助線」を著者は差し出します。
さあ、自分を理解し、他者とつながるために、誰も知らないカウンセリングジャーニーへ、ようこそ。
< 著者からのメッセージ>
二つの目標がありました。
ひとつは読者が自分のこころや人生の問題を考えるために役立つ本にすること。もうひとつは僕らが生きている資本主義社会の抱えている歪みやそこからもたらされる生きづらさを解き明かす本にすること。
こころも、社会も。欲張りだったのかもしれません。
うまく書くことができず、何度も何度も書き直しました。やめてしまおうと思ったのも一度ではありません。
それでも、カウンセリングルームで普段話し合っているのが、社会そのものの苦しさと、そこで生きる個人の苦しさの両方であるのは事実だったから、書き続けました。
複雑なものを複雑なままに物語ること。同時にわかりやすく整理しながら物語ること。そして、そこには面白さも発見もあること。それがカウンセリングなのだから、そういう本を目指しました。
結局、3年かかりました。本当に長かった。だけれども、心理士人生で一度しか書けない一冊になったと思います。
<本文より一部抜粋>
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大海原に放り出された小舟たち。
それがカウンセリングルームのベランダから見える社会の風景です。
ならば、心理士としては、次のように問わねばなりません。
小舟はいかにして方向を見出し、いかにして航海をしていくのか。
言い換えるなら、この自由で過酷な社会を「いかに生きるか」。
これがこの本のテーマです。
僕らの生きる時代と社会についてのとても大きな問いです。そう簡単には答えが出そうにない。
だから、あなたの力を借りたい。
そこにある灰色のソファに座ってもらいたい。
つまり、あなた自身の心について、あなたという小舟について、一緒に考えさせてもらいたいのです。それがこの大きな問いの答えにたどり着くための推進力になる。
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【目次】
まえがき 小舟と海鳴り
1章 生き方は複数である 処方箋と補助線
2章 心は複数である 馬とジョッキー
3章 人生は複数である 働くことと愛すること
焚火を囲んで、なかがきを―なぜ心理士になったのか-
4章 つながりは複数である シェアとナイショ
5章 つながりは物語になる シェアとナイショⅡ
6章 心の守り方は複数である スッキリとモヤモヤ
7章 幸福は複数である ポジティブとネガティブ、そして純粋と不純
あとがき 時間をかける
<著者紹介>
東畑開人(とうはた・かいと)
1983年生まれ。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。京都大学教育学部卒業、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。臨床心理士・公認心理師・博士(教育学)。精神科クリニックでの勤務、十文字学園女子大学で准教授として教鞭をとった後、現在白金高輪カウンセリングルーム主宰。著書に『野の医者は笑う―心の治療とは何か?』(誠信書房2015)『日本のありふれた心理療法―ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学』(誠信書房2017)『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』(医学書院 2019)、『心はどこへ消えた?』(文藝春秋、2021)。訳書にジェイムス・デイビス『心理療法家の人類学―心の専門家はいかにして作られるのか』(誠信書房 2018)。『居るのはつらいよ』で第19回(2019年)大佛次郎論壇賞受賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020受賞。
<書籍データ>
【タイトル】なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない
【著者名】東畑開人
【発売日】2022年3月16日
【造本】四六判ソフトカバー(288頁)
【本体定価】1760円(税込)
【ISBN】978-4-10-354491-3
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/354491/
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