日本政府が開発を推進する高速炉実証炉の設計、開発を担う中核企業に選定
2040年代の運転開始に向け、ナトリウム冷却高速炉の概念設計などを推進
三菱重工業はこのほど、日本政府が2040年代の運転開始を目指す高速炉実証炉について、2024年度から開始される概念設計を担う中核企業として選定されました。当社は、高速炉の開発と設計を担うエンジニアリング会社である三菱重工グループの三菱FBRシステムズ(社長:國嶋 茂、本社:東京都渋谷区、以下、MFBR)とともに、ナトリウム冷却方式による高速炉実証炉の概念設計および研究開発を一括して取りまとめ、開発を推進していきます。
2018年12月21日に閣議決定された高速炉開発「戦略ロードマップ」において、民間企業が有する多様な技術間競争を経て、高速炉の開発対象とする各炉型等の有効性を評価するとの方針が示されました。また、2022年12月23日閣議決定の「戦略ロードマップ」改訂において、2024 年度から開始する実証炉の概念設計の対象となる炉型をナトリウム冷却高速炉の中から選定すること、高速炉の設計と必要な技術開発の中核を担うメ-カ-を中核企業として選定し、国が掲げる政策の方向性や開発目標に応じた技術開発を推進することが、それぞれ決定しました。
当社は、高速炉の実験炉「常陽」(茨城県東茨城郡大洗町)ならびに原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の開発、建設への参画を通じて培った技術と経験から、2007年に「高速炉実用化研究」を担う中核企業に選定されました。以降、2007年に設立したMFBRと連携し、実用化に向けたプラント概念検討および研究開発を推進しています。2011年からは福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、安全性を向上させたナトリウム冷却高速炉の概念を第4世代炉国際フォーラム(注1)に提案し、安全要件の世界標準化検討を国立研究開発法人日本原子力研究開発機構とともに先導しました。また、この経験を生かし、日仏国際協力(2014年~:仏国次世代高速炉の共同設計及び研究開発)ならびに本成果の国内適用性検討なども進め、現在、プラント概念の検討を進めています。一方、日米国際協力(2022年:米国テラパワー社とナトリウム冷却高速炉技術に関する協力覚書締結)にも参画。開発加速につなげるとともに、研究開発に必要となるナトリウム試験設備を自社整備し、技術向上および人材育成に努めています。
高速炉は、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減、エネルギー資源の有効活用、さらにはエネルギーの自立の観点から、核燃料サイクルを推進する国の基本方針に貢献できる技術として、その実用化が期待されています(注2)。三菱重工は、これまで培ってきた技術と経験を生かし、MFBRとともに実証炉の概念設計ならびに設計に必要となる研究開発を開始し、高速炉の実用化に向けた取り組みを進めていきます。
1第4世代炉国際フォーラムは、ナトリウム冷却高速炉等の研究開発を開発国間で協力/推進することを目的に2001年7月に発足した国際協力の枠組みです。
2022年12月22日に開かれた政府のGX実行会議において、「高速炉を含む次世代革新炉の開発・建設を推進し、原子力を活用する」という方針が決定しました。
■三菱FBRシステムズ株式会社
https://www.mhi.com/jp/group/mfbr/
■三菱重工の高速炉開発について
https://www.mhi.com/jp/products/energy/fast_breeder_reactor.html
■三菱重工業株式会社
ウェブサイト:https://www.mhi.com/jp/
オンラインマガジン「SPECTRA」(日本語):https://spectra.mhi.com/jp
公式Twitter:@MHI_GroupJP
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