JPY(円)、5カ月ぶりネットショート!円安けん制でロングも増加-FX個人投資家【外為どっとコム総研FX投資家調査2023年8月】
目次
1.一般社団法人金融先物取引業協会FX投資家動向まとめ
2.株式会社外為どっとコムFX投資家動向まとめ
2-1.FX取引における実現損益
2-2.通貨ペア別取引者数
2-3.平均取引数量
2-4.口座の開設期間
2-5.FX投資の年齢分布
2-6.FX口座開設者動向
3.まとめ
1. 一般社団法人金融先物取引業協会FX投資家動向まとめ
為替市場はUSD(米ドル)1強状態
金融先物取引業協会が9月14日に公表した資料によると、2023年8月の店頭FXにおける取引金額は1,051兆円と、7月から約12.0%減少した。USD/JPY(米ドル/円)の取引金額が13.4%減少したことが全体の足を引っ張った。また、月末時点の未決済ポジション合計は前月末比7.5%増の約9.2兆円と、こちらは増加した。
序盤こそ、大手格付け会社フィッチが米国の格付けを最高位の「AAA」から「AA+」へ引き下げたことで、JPY(円)高方向へ進む場面があった。しかし、CNY(中国人民元)の下落、米国のインフレ鈍化が米経済のソフトランディング期待を強めると、USD/JPY(米ドル/円)が141.516円から147.366円まで切り返したため、JPY(円)はネットポジションで約1,582億円のロングから約2,765億円のショートに転じた。ネットでショートとなるのは5カ月ぶりのこと。
取引金額上位の5通貨ペアは、USD/JPY(米ドル/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)の順で、順位の変動はなかった。
(出所)金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」をもとに、当社が作成。
左軸-取引金額、右軸-ポジション計
グラフ中のデータ単位は百万円。
2. 株式会社外為どっとコムFX投資家動向2023年8月
個人投資家、上昇トレンドで収益積み上げ
FX口座数が57万件を超える株式会社外為どっとコム協力の下、2023年8月のFX投資家動向を調査した。
【調査概要】
調査対象:株式会社外為どっとコムのFXサービス「外貨ネクストネオ」利用者(約57万口座)
調査機関:株式会社外為どっとコム総合研究所
調査対象:調査期間中にFXサービス「外貨ネクストネオ」の新規口座開設およびFX取引をした顧客
調査期間:2023年8月1日6:00 ~ 2023年9月1日6:00
調査方法:対象期間中の取引データより抽出
(特定の個人を識別できないよう個人情報を匿名化した上で行っております。)
2-1.FX取引における実現損益
FX取引における実現損益でプラスは58.8%、マイナスは41.2%となった。プラスは前月比6.2%ポイント改善し、今年に入り8カ月連続で収益を確保している。USD/JPY(米ドル/円)が7月に137.229円まで下落した後の戻り局面を見逃さず、買い拾った個人投資家が適宜、利益を確保した様子が窺える。
2-2.通貨ペア別取引者数
通貨ペア別取引者数のトップ10は、USD/JPY(米ドル/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・MXN/JPY(メキシコペソ/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)・TRY/JPY(トルコリラ/円)・NZD/JPY(NZドル/円)・ZAR/JPY (南アフリカランド/円)・GBP/USD(ポンド/米ドル)の順。
MXN/JPY(メキシコペソ/円)とZAR/JPY (南アフリカランド/円)が各々、一つずつ順位を上げた一方で、EUR/USD(ユーロ/米ドル)とGBP/USD(ポンド/米ドル)が順位を下げた。MXN/JPY(メキシコペソ/円)は相変わらず堅調な推移を続けたほか、ZAR/JPY (南アフリカランド/円)は同国の電力問題に対して中国が支援を表明したことが好感されて取引者が増加した。
2-3.平均取引数量
FX投資家の1注文あたりの平均取引数量は3.9万通貨(39Lot)と前月から変わらず。今年序盤は縮小傾向が見られたものの、そこから緩やかに拡大へ転じている。
USD/JPY(米ドル/円)は、1Lotあたり6,000円の必要保証金(9/14時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は約23万4,000円となる。MXN/JPY(メキシコペソ/円)は、1Lotあたり400円の必要保証金(9/14時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は1万5,600円となる。
2-4.口座の開設期間
取引をしたFX投資家の口座開設後の期間は、平均106カ月(8年10カ月)へ短縮された。ちなみに、直近2年の平均は98.8カ月(約8年3カ月)である。
2-5.FX投資の年齢分布
FX投資家の年代別では40代が32%と最多で、次に50代、30代、60代と続いた。40代と50代が半数以上を占める状況は変わっていない。
2-6.FX口座開設者動向
新規にFX口座を開設した投資家は、30代がトップとなり、続いて40代、20代、50代の順。今月は20代・30代の口座開設者が堅調だった一方、40代・50代の口座開設数は伸びなかった。
3.まとめ
2023年8月のFX取引は、当初、USD(米ドル)への不安が強まったが、終わってみればUSD(米ドル)1強状態で、JPY(円)に対しては2.3%強含んだ。個人投資家は、こうした状況に機敏に反応して、それまでのJPY(円)ロングを早々に決済し、JPY(円)ショートにポジションを傾け収益を積み上げる格好となった。さすがに147円付近では政府・日銀による円安けん制を警戒して、JPY(円)ロングを構築する動きもあったと推察されるが、それでも月末時点でJPY(円)ショートが優位だった点を考えると、投資家のJPY(円)安志向は相応に強いと思われる。
過去の調査結果は、マネ育ch( https://www.gaitame.com/media/ )よりご参照ください。
「投資家調査」カテゴリー
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■会社概要
株式会社外為どっとコム総合研究所( https://gaitamesk.com/ )
所在地:東京都港区東新橋2-8-1
代表取締役:竹内 淳
事業内容:(1) 国際金融市場・経済に関する調査、研究、及びその情報の提供、販売 (2) 外国為替取引等に関する調査、研究 (3) 投資に関する各種セミナー、講演会、イベント等の企画、運営及び実施 (4) その他
資本金:50,000,000円
主要株主:株式会社外為どっとコム
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