国際的な化学品の分類基準及び情報伝達方法についてJISに反映~化学品の新ルール~
化学品の分類基準及び情報伝達方法である国連GHS文書に準拠し、新たな分類の設置や法規制に整合したラベル・SDSの表示方法等を導入
一般財団法人日本規格協会(本部:東京都港区、理事長:朝日弘)は、2025年12月25日に化学品に関する日本産業規格(以下、JISという。)JIS Z 7252「GHSに基づく化学品の分類方法」、JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性の情報伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」を発行いたしました。
この改正は、国連GHS文書に基づいており、これにより、化学品の危険有害性情報の国際的な伝達が可能になり、市場の拡大が期待できます。また、国内法規制が求めている化学品の分類・情報伝達がより適切に実施できるようになり、労働環境の安全性の向上及び社会全体の環境の改善に寄与すると期待されます。

JIS Z 7252:2025
GHSに基づく化学品の分類方法
Classification of chemicals based on “Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS)”
税込価格:8,800円 A4判 194頁
※規格類は価格が変更される場合がございます。ご了承ください。

JIS Z 7253:2025
GHSに基づく化学品の危険有害性の情報伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)
Hazard communication of chemicals based on GHS-Labelling and Safety Data Sheet (SDS)
税込価格:14,300円 A4判 118頁
※規格類は価格が変更される場合がございます。ご了承ください。
1. 改正の背景と目的
化学品は生活を豊かにする一方で、人や環境へ悪影響を及ぼす可能性があります。世界中で共通の基準で危険有害性を分類・表示するために作られたのが GHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)です。
JIS Z 7252及びJIS Z 7253は、この国連GHS文書を日本国内の基準として明確化するために制定されています。
2.主な改正ポイント
【JIS Z 7252】
①「爆発物」や「可燃性ガス」の分類基準の変更
・爆発物の危険度を分類する際のランク分け(名前や分け方)が大きく変更されました。
・エアコンの冷媒などに使われるガスには、燃焼性が低い性質のものがあります。これらを「一般的な可燃性ガス」と区別するために、より燃焼性が低いガスを分類するための新しい区分(1B)が作られました。
・エアゾールの分類に別の危険有害性クラスとして加圧下化学品を追加しました。
② 「動物実験」を減らす取り組みの強化
化学品が肌に触れたときにどれくらい刺激があるかを調べる際、世界的に「動物を傷つけない方法」が求められています。
生きた動物を使う代わりに、培養した細胞などを活用した実験結果を、より積極的に判定に利用できるようになりました。
③ 「よくわからない」という情報の伝え方を改善
これまでは、十分なデータがなくて危険性が明確に判断できない場合に、誤って「危険はない」と勘違いされてしまう恐れがありました。
判定データが足りないときに「安全だ」と誤解されないよう、紛らわしい表現をなくし、説明文をより丁寧なものに書き換えています。
【JIS Z 7253】
①国内の法律との連携がスムーズに
このJISに従ってSDS(安全データシート)を作ることで、日本の主要な法律(労働安全衛生法、化学物質排出把握管理促進法、毒物及び劇物取締法など)との整合性が図られるよう改正されています。
また、輸送上のトラブル時に役立つ「緊急時応急措置指針番号※」をSDSに載せることが推奨されるようになりました。
※「緊急時応急措置指針番号」とは、日本化学工業協会が定める「緊急時応急措置指針」において、化学物質の危険有害性と緊急時の対応が共通するものをグループ分けし、付与された番号のことで、事故発生時にこの番号を見ることで、迅速に取るべき応急措置(初期対応)がわかるようにしたものです。この番号は、製品ラベルや「イエローカード」などに記載され、消防や運送関係者が適切な初期対応を判断するための重要な手がかりとなります。
②ラベルやSDSの「文言」が最新版に
化学品の危険を知らせる「危険有害性情報」や、取り扱い上の注意を示す「注意書き」のフレーズが、世界基準に合わせてより適切なものに変更・整理されました。
③SDSの中身がより詳しく
化学品を扱う人が、より具体的にリスクを把握できるよう記載ルールが強化されました。
その化学品の「用途」や「制限」を、日本の法律(労働安全衛生法など)に合わせて記載するルールが追加されました。
④デジタル化への対応
時代の流れに合わせ、情報の伝え方も進化しています。
工場などの作業場では、紙のラベルだけでなく、パソコンやタブレットなどの電子媒体でいつでも安全情報を確認できる状態にしていれば、代わりの手段として認められるようになりました。
3.化学品業界の対応
化学品を扱っている事業者は、旧規格(JIS Z 7252:2019 , JIS Z 7253:2019)を用いることができる5年間の準備期間(暫定期間)の間に、自社が取り扱う化学物質が今回の改正で新たな区分(特に可燃性ガスの区分1Bや加圧下化学品など)に該当するかの確認、及び新しいルールに沿ったラベルやSDSへの書き換えを進める必要があります。

4.今後の展望
本改正により、危険有害性を持つ化学品について国連GHS文書に基づいた分類及び情報伝達が可能となります。これにより、化学品の危険有害性情報の伝達において、国際的な市場の拡大が期待できます。
また、強制法規である労働安全衛生法や化学物質排出把握管理促進法等が求めている化学品の分類・情報伝達がより適切に実施できるようになることによって、労働環境の安全性の向上及び社会全体の環境の改善に寄与すると期待されます。


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