中央アフリカ:武力衝突で女性や子どもが負傷 診療所も銃撃の被害に

国境なき医師団

昨年12月の大統領選挙以来、暴力が激化している中央アフリカ共和国(以下、「中央アフリカ」)。2月15日から16日にかけて、同国中央部に位置するワカ州バンバリ市で武力衝突が発生し、女性や子どもを含む市民が負傷したほか、国境なき医師団(MSF)が支援する診療所も被害を受けた。MSFは負傷者の治療を行うとともに、国際人道法に反する医療への攻撃を非難している。

バンバリ市でMSFが運営する病院=2020年12月  © Adrienne Surprenant/MSFバンバリ市でMSFが運営する病院=2020年12月  © Adrienne Surprenant/MSF

負傷者に治療を提供 1歳の赤ちゃんも

バンバリ地域病院のMSF外科チームと保健省の医療スタッフらは、これまでに36人の負傷者を治療した。負傷者には、8人の女性と、1歳の赤ちゃんを含む9人の子どもが含まれている。

MSFの現地活動副責任者を務めるマセラ・クラーイはこう話す。「バンバリ市をはじめ、中央アフリカ全土の人道危機は深刻です。長年の内戦や厳しい医療事情によって、人びとは多くの被害を受けてきました。今回またもや暴力が繰り返され、女性や子どもが銃撃の被害に遭ったのです。市民への暴力は止めなければなりません」

銃撃を受けた診療所

今回の戦闘で、MSFがバンバリ市で支援している診療所も甚大な被害を受けた。この診療所は保健省の管轄で、MSFは約1000人の地元住民に基礎医療を提供してきた。当時診療所にいた医療チームは戦闘が次第に近づいてきたため、現場から避難し無事だったが、戦闘後に、爆発と銃撃で診察室を含む医療テントが破壊され、弾丸の薬きょうが施設内のいたるところに散乱しているのを確認した。

医療施設は国際人道法の下で保護された中立地帯であり、攻撃の標的にされたり、軍事目的で使用されたりしてはならない。「私たちはすべての紛争当事者に、医療施設や救急車、医療スタッフ、患者とその介助者を常に保護するよう求めます。暴力に苦しむ市民が必要なケアが受けられるよう、医療が提供され続けなければなりません」とマセラ・クラーイは話す。

全土に広がる人道危機 さらなる援助を準備

中央アフリカでは、昨年12月中旬の選挙に伴って人道状況が悪化。この2カ月間、武装勢力と、軍事同盟国の支援を受けた政府軍との間で戦闘が続いている。MSFは全国で300人以上の紛争負傷者を治療してきた。

バンバリ市も昨年12月から衝突の舞台となり、MSFは111人の負傷者を治療してきた。今回の診療所の損壊で、修復には約1週間かかると見られている。その間住民は診療を受けることができず、人びとの苦しみはさらに増すことになる。

中央アフリカの人びとは、暴力による直接的な被害に遭うだけでなく、基礎的な医療を受けられない状況に置かれてきた。国の内外で不安定な避難生活を送る人びとは20万人に上る。

MSFは、既存の活動を継続するとともに、負傷者が一度に大勢来院しても対応できるよう体制を整えている。今後も戦闘による負傷者の数が急増する可能性があることから、保健省に協力し、全国の避難民を援助するための準備を進めている。

世界各地で続く医療に対する攻撃

MSFの活動地では医療従事者に対する暴力や妨害行為が相次いでいる。1月31日にはエルサルバドルで救急搬送チームが武装集団に襲撃され、医師と運転手が暴行された。2月4日にはカメルーン南西部で武装集団がMSFの救急車に向けて発砲、看護師1人が負傷した。一方、軍事クーデターがあったミャンマーでは、医療関係者が嫌がらせや脅迫を受け、MSFの多くのスタッフも恐怖を感じており、同国の公衆衛生と治安にどのような影響を与えるのか危惧されている。

 MSFは全ての紛争当事者や国家、権力者に対し、国際人道法を順守し、医療の保護を訴えるとともに、「人道援助活動であっても攻撃は免れ得ない」という厳しい現実を踏まえ、リスクの分析や危機管理ガイドラインの策定および徹底を通じて、患者とスタッフの安全確保に努めている。

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国境なき医師団(MSF)日本

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業種
医療・福祉
本社所在地
東京都新宿区馬場下町1-1  FORECAST早稲田FIRST 3階
電話番号
03-5286-6123
代表者名
村田慎二郎
上場
未上場
資本金
-
設立
1992年12月