ビズリーチ「GPTモデルのレジュメ自動作成機能」を開発。東京大学マーケットデザインセンターと共同で、GPTツールの性能評価を発表

GPTツールで作成した職務経歴書でスカウト受信数40%増加

Visional

株式会社ビズリーチ(所在地:東京都渋谷区/代表取締役社長:酒井哲也 以下、当社)が運営する、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」は、新機能として「GPTモデルのレジュメ※1自動作成機能」(以下、GPTツール)を開発しました。GPTツールを活用することで、職務経歴書の内容を効率的に充実させられ、ビジネスパーソンと企業の質の高いマッチング機会の最大化を実現します。
また、GPTツールの性能について、マッチング理論の第一人者である東京大学大学院経済学研究科教授兼東京大学マーケットデザインセンター(以下、UTMD)センター長の小島武仁氏とUTMDチームとの共同研究により検証しました。その結果、GPTツールを使用して職務経歴書を作成すると、使用せずに作成するよりも質の高い職務経歴書を作成でき、さらにスカウト受信数も増えることがわかりました。
ビズリーチは今後、データとテクノロジーの活用によるサービスの向上を図り、ビジネスパーソンのキャリアにおける選択肢と可能性を広げていきます。


■転職の「最初の壁」となる職務経歴書をGPTツールで解決
求職者と企業の質の高いマッチングのためには、職務経歴書の内容が重要に
 総務省の2022年の「労働力調査」※2では、転職希望者数は年平均968万人で、転職など現在の業務以外の仕事を希望する人の数は増え続けています。一方で、22年に実際に転職した人は303万人とコロナ禍前の19年と比較すると50万人減少しており、過去10年間の転職者数は300万人前後の横ばいが続いているのが現状です。
転職が以前より一般的になりましたが、実際に転職するにはさまざまなハードルがあります。転職活動で最初のハードルとなるのが「職務経歴書」です。職務経歴書の作成は、これまでのキャリアを振り返り、自身の強みや実績をわかりやすく文章にまとめる必要があるため、時間のかかる作業になります。さらに、職務経歴書の表現が適切なのか、採用する企業とって読みやすく、また魅力的に記載できているのかといった判断も難しいのが現状です。
 しかし、企業の採用担当者やヘッドハンターとの最初の接点は職務経歴書であり、担当者らは職務経歴書を確認したうえでスカウトを送ります。企業の採用担当者やヘッドハンターにスカウト送信を見送る要因を調査※3したところ、「職務要約で経歴が読み取れない」「スキルが記載されていない・少ない」「経験から得た強みがわからない」「経験社数に対して職務経歴の記載が不足している」などが挙がっており、マッチングには職務経歴書の内容が非常に重要であることがわかります。




■ビズリーチの「GPTモデルのレジュメ自動作成機能」(特許出願中)
 そこで、ビズリーチは、キャリアを主体的に考えるビジネスパーソンが小さな負荷で、簡単に、最適な内容の職務経歴書を完成できるようにGPTツールを開発しました。ビズリーチに登録後、簡単な質問(職種、ポジション、業務のミッション、業務領域)に回答するだけで、業務内容を自動でスピーディーに作成できます。GPTツールは、職務経歴書自動作成時に、ビズリーチがこれまで蓄積してきたノウハウとデータを生かした独自のロジックで構成した指示を、OpenAI社の提供するGPTモデルに行っています。
 キーワード入力の際も、ビズリーチ上に蓄積された膨大なデータを基に会員に合った入力内容が推薦されます。会員が推薦されたキーワードを選択あるいは入力するだけで、企業やヘッドハンターがスカウト送信の判断を行いやすい、内容が整理された業務内容を作成できる点が特徴です。なお、本機能については特許出願中です。

・利用方法 *現在は、アプリ版(iOS)のみの提供です
1.業務内容の編集画面から機能の使用を選択
2.4つの質問に回答
3.回答内容を基に、AIが自動で業務内容の文を作成
4.出来上がった文を業務内容に挿入し、自身で編集後に保存


■検証結果
 UTMDと当社は共同で、GPTツールの性能評価を行いました。その結果、以下が確認できました。
【数値評価結果】
 GPTツールを使用し職務経歴書を更新した会員と使用せず更新した会員を比較したところ、GPTツールを使用し職務経歴書を更新した会員のほうが、平均で40%多くのスカウト※4を受け取る結果となりました。
また、GPTツールの使用者と非使用者の属性の違いを考慮したとしても、GPTツールを使用している会員が平均で40%〜46%多くのスカウトを受け取ることが明らかになりました。この結果が偶然ではなく、ほぼ確実に※5GPTツールの使用がスカウトの数を増加させる影響があることが統計的に示されました。

【文面評価結果】
有識者による評点検証においても、GPTツールを用いた職務経歴書はほぼ全ての項目で平均スコアよりも大幅に高い評価※6を受けました。特に「職務経歴書の構成に対する評価」や、「問題解決能力の高さに対する評価」が著しく高まり、GPTツールを使用せずに職務経歴書を作成するよりも質の高い文章表現になるという結果になりました。


検証方法

検証期間:

2023年

4月20日〜6月23日


1. 【数値評価】

ビズリーチのアプリ(iOS)において、会員にGPTツールの使用/不使用をランダムに

割り当てるランダム化比較実験を実施し、スカウト受信数やその他の指標に与える影響を

推定した。その際、GPTツールを使用する群と使用しない群の属性の違いを統制するため、傾向スコアを用いた二重頑健(doubly robust)推定法による平均処置効果の推定や、

操作変数法を用いた局所平均処置効果の推定など、適切な統計処理を行った。


2. 【文面評価】有識者によるレジュメ評点検証(スコアリング)

キャリアコンサルタントの国家資格、コーチング資格を有するビズリーチのキャリア

コンシェルジュに対し、GPTツールを使用して作成された職務経歴書と使用せずに

作成された職務経歴書をどちらかわからない状態でランダムに割り当て、「必要な項目が

不足なく含まれているか」「文法上のミスが多いか」「候補者と面接をしたいと思うか」

などの19項目について評価を依頼し、その結果に対して統計分析を行った。数値評価と

同様、GPTツール使用群と非使用群の属性の違いを統制し、全ての会員がGPTツールを使用した場合の平均処置効果を推定した。



■東京大学 大学院経済学研究科 教授 兼 東京大学マーケットデザインセンター センター長 

小島 武仁 氏 コメント

 マッチング理論とそれを利用した制度設計はアメリカなどを中心に労働市場、入試、企業内人事など数多くの社会実装で成功を収めています。
 転職プラットフォームの制度設計においては、企業と人材に関する情報が必要なユーザーに適切に届くように交通整理し、円滑なマッチングを手助けすることが重要です。今回ビズリーチで導入したGPTツールは、職務経歴書という人材に関する極めて重要な、しかし作成に労力がかかる情報源を生成AIの力によってアシストすることで、望ましいマッチングの成立を促進することが期待されました。そして今回の検証では、GPTツールを使ったユーザーがより多くのスカウトを受け取ることが実際に確認され、ツールの有効性の大きなエビデンスが得られたと思います。
 さらに実際に職務経歴書を日常的に読み込んでいるコンシェルジュによる評価も組み合わせることで、GPTツールが実際に職務経歴書の質向上に寄与しているというエビデンスも得られました。引き続き詳細な検証を積み上げていき、より有効なツールの開発や展開を目指していきたいと考えています。

■株式会社ビズリーチ 代表取締役社長 ビズリーチ事業部 事業部長 酒井 哲也 コメント

 このたび、東京大学の小島教授およびUTMDの皆様との共同研究により、ビジネスパーソンにとって負担の大きい「職務経歴書の作成」をサポートするツールを進化させることができました。

 政府が掲げた「三位一体の労働市場改革の指針」には、「一人ひとりが自らのキャリアを選択する」時代となってきたと記載がありました。これは、私たちビズリーチが目指す姿でもあります。主体的なキャリア選択のためには、健康診断のように定期的に自身のキャリアを振り返り、市場価値を把握する「キャリアの健康診断」の必要性が高まっています。自らのスキル・経験を定期的に言語化・可視化することは、企業からより良いスカウトを受け取ることにもつながります。
 年収1,000万円以上のビズリーチ会員に調査したところ※7、約8割がより良いスカウトを受け取るために、職務経歴書の更新を習慣化していることがわかっています。GPTツールを活用し、より効率的に充実した職務経歴書を作成していただくことで、企業の採用担当者やヘッドハンターからのスカウトの受信数増加につながることが見込まれ、ビジネスパーソンのキャリアにおける選択肢と可能性もさらに広がっていくと考えます。
 今後もビズリーチでは、データとテクノロジーを活用しながら、即戦力人材の転職や企業のスピーディーな採用をサポートする機能をリリースしてまいります。

※1:「レジュメ」とはビズリーチ上の「職務経歴書」を指します。
※2:https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/index.html
※3:https://www.bizreach.jp/column/surveys-15/
※4:この「スカウト」とはビズリーチにおける「プラチナスカウト」を指します。プラチナスカウトとは、企業もしくはヘッドハンターが送信できる、送信可能な回数が限られたスカウトです。
※5:GPTツールの使用者と非使用者の属性の違いを考慮する適切な統計処理をしてスカウト受信数を推定したところ95%水準で有意であった。
※6:GPTツールを用いた職務経歴書は、ほぼ全ての項目で平均よりも標準偏差の0.5〜0.9倍程度高い評点となった。
※7:https://www.bizreach.co.jp/pressroom/pressrelease/2021/1215.html

■東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)
近年、経済学において「人々にとって望ましい結果を得るにはどのような制度=ゲームのルールをデザインすればよいか」を追究する、マーケットデザインと呼ばれる領域が注目を集めています。UTMDは、マーケットデザインを支える「マッチング理論」「オークション理論」等の理論研究と、マーケットデザインの知見を現実の制度改善に反映する社会実装の拠点として、2020年秋に設立されました。労働市場、教育・保育、災害・医療、環境制度設計などの領域において、企業・自治体などとの共同研究に取り組んでいます。
URL:https://www.mdc.e.u-tokyo.ac.jp/

■即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」について
ビズリーチは企業と求職者が直接やりとりできるプラットフォームがなかった人材業界において、人材データベースを企業に開放することで採用市場を可視化しました。また、企業が求職者へ自らアプローチできるプラットフォームを提供することで、企業が必要としている人材を採用するために、あらゆる手段を主体的に考え、能動的に実行する採用活動「ダイレクトリクルーティング」を推進し、優秀な人材のスピーディーな採用をご支援しています。また、求職者も今まで知りえなかった企業からアプローチを受けることで、キャリアの選択肢と可能性を最大化することが可能です。
URL:求職者向け https://www.bizreach.jp/
     企業向け https://bizreach.biz/service/bizreach/

■株式会社ビズリーチについて
「すべての人が『自分の可能性』を信じられる社会をつくる」をミッションとし、2009年4月より、働き方の未来を支えるさまざまなインターネットサービスを運営。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、静岡、広島に拠点を持つ。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」、人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」シリーズ、OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」を展開。産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するさまざまな事業を展開するVisionalグループにおいて、主にHR TechのプラットフォームやSaaS事業を担う。
URL:https://www.bizreach.co.jp/

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