小林エリカさんの『女の子たち風船爆弾をつくる』が、第78回毎日出版文化賞を受賞!
株式会社文藝春秋(本社:東京都千代田区 社長:飯窪成幸)が刊行した、小林エリカさんの『女の子たち風船爆弾をつくる』が、第78回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)を受賞しました。
毎日出版文化賞(1947年創設)は、毎年、優れた著作物や出版活動を顕彰しています。
◆作品概要
日露戦争30周年に日本が沸いた春、その女の子たちは小学校に上がった。できたばかりの東京宝塚劇場の、華やかな少女歌劇団の公演に、彼女たちは夢中になった。彼女たちはウールのフリル付きの大きすぎるワンピースを着る、市電の走る大通りをスキップでわたる、家族でクリスマスのお祝いをする。しかし、少しずつ、でも確実に聞こえ始めたのは戦争の足音。冬のある日、軍服に軍刀と銃を持った兵隊が学校にやってきて、反乱軍が街を占拠したことを告げる。やがて、戦争が始まり、彼女たちの生活は少しずつ変わっていく。来るはずのオリンピックは来ず、憧れていた制服は国民服に取ってかわられ、夏休みには勤労奉仕をすることになった。それでも毎年、春は来て、彼女たちはひとつ大人になる。
ある時、彼女たちは東京宝塚劇場に集められる。いや、ここはもはや劇場ではない、中外火工品株式会社日比谷第一化工紙工場だ。彼女たちは今日からここで、「ふ号」兵器、すなわち風船爆弾の製造に従事する……。
膨大な記録や取材から掬い上げた無数の「彼女たちの声」を、ポエティックな長篇に織り上げた意欲作。
◆著者プロフィール
小林エリカ(こばやし・えりか)
1978年東京都生まれ。作家、マンガ家、アーティスト。『マダム・キュリーと朝食を』『トリニティ、トリニティ、トリニティ』『最後の挨拶 His Last Bow』『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』、コミック『光の子ども』シリーズ、絵本『わたしは しなない おんなのこ』ほか著書多数。
◆小林エリカさんからのコメント
この受賞は、戦後40年ちかく「歴史」からなかったことにされていた風船爆弾のことを、それをつくった女の子たちのことを、そのひとりひとりの生を、決してなかったことにしないために、これまで、聞き、書き残し、記憶し、いまここに生きる私に手渡してくれた、ひとりひとり、また、さらに先へそれを届けようと、本にし、伝え、歩む、ひとりひとりの尽力に対してのものであると、私は受けとめています。
いま、そのひとりひとりに、おめでとうを伝えたいです。
毎日出版文化賞の受賞が、私は心から嬉しいです。この本が、これまで本を、出版を、文化を大切だと考える人たちが称えてきた本たちの、第78回目に連なることができて、光栄です。本当にありがとうございます。
書誌情報
書名:『女の子たち風船爆弾をつくる』
著者:小林エリカ
初出:「文學界」2023年7月号~11月号
発売:2024年5月15日
定価:2750円(税込)
ISBN:978-4-16-391835-8
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