現役医師でもある作家が描く「コロナ禍の悲惨な現場」――帚木蓬生最新刊『花散る里の病棟』4月27日刊行!
「理想の医師」とは何か? 執筆10年、九州で四代続く町医者の家を通して、日本の「医療百年」の現場を描きあげた新たな代表作誕生。
映画化もされた『閉鎖病棟』(山本周五郎賞受賞作)などで知られる作家・帚木蓬生さんが、自らが生まれ育ち、現在もクリニックを開院している福岡県を舞台に、近現代日本百年の「医療の現場」と「理想の医師」像を追求した新作『花散る里の病棟』を刊行しました。
大正時代に寄生虫退治で名を挙げた初代・野北保造、悲惨なフィリピン戦線に軍医として派遣された二代目・宏一、高齢者の面倒を見る三代目・伸二、アメリカ留学を経て肥満治療に光をあてる四代目・健、彼らと彼らの患者たちを追う野北家百年の物語です。そして2021年、健の婚約者・理奈が新型コロナウィルスに罹患し、彼の病院へ運ばれてきて——。
別れも言えぬ家族、エッセンシャルワーカーへの謂れなき差別、不休で働き続ける医療従事者、戦場のような集中治療室……第三波に見舞われた現場で、健はある決意を固めます。
著者が「この小説では、時代と人の営みを凝縮しようとしました。こうした小説は1、2年では書けず、やはり10年かかった、という重みを感じます。時のながれの中で、人が花びらとして散っていく有様を描いた作品になりました」と語る、新たな代表作の誕生です。
著者プロフィール 帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)
1947年、福岡県生れ。精神科医。東京大学仏文科卒業後、TBSに勤務。2年で退職し、九州大学医学部に学ぶ。1993年『三たびの海峡』で吉川英治文学新人賞、1995年『閉鎖病棟』で山本周五郎賞、1997年『逃亡』で柴田錬三郎賞、2010年『水神』で新田次郎文学賞、2011年『ソルハ』で小学館児童出版文化賞、2012年『蠅の帝国』『蛍の航跡』の「軍医たちの黙示録」二部作で日本医療小説大賞、2013年『日御子』で歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』で吉川英治文学賞および中山義秀文学賞をそれぞれ受賞。『国銅』『風花病棟』『悲素』といった小説のほか、新書、選書、児童書などにも多くの著作がある。
新潮社 刊
タイトル『花散る里の病棟』
ISBN 978-4-10-331426-4
定価 1,980円(税込)
2022年4月27日(水)発売
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