【技術動向レポート】焼成・溶融・検査をAIでどう変えるか―MyTokkyo.Ai
セラミックス・ガラス分野の国内公開特許をMyTokkyo.Aiで調査
リーガルテック株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:平井 智之)は、特許AIエージェント「MyTokkyo.Ai」を活用し、セラミックス・ガラス産業におけるバーティカルAIの技術課題と国内特許動向を調査した。

国内公開特許を確認した結果、AI活用は、製造条件の最適化、複数画像を用いた欠陥検査、予測結果を製造制御へ反映する技術を中心に具体化していた。一方、学習データの整備や材料固有の誤判定対策は、実装段階に残る重要な課題である。
国内公開特許から見えた3つのAI活用領域
確認された公報では、溶融窯の加熱量やガラス板厚を推定する「製造条件の最適化」、深層学習や複数画像を用いる「欠陥検査」、焼成収縮や温度の予測結果を金型設計や設備制御につなぐ「予測と制御の連携」が主要テーマとなっていた。
セラミックスやガラスの品質は、原料、温度、時間、雰囲気、成形方法などの組み合わせで変化する。そのため、材料分野に特化したバーティカルAIには、工程データと品質結果を結び付け、設備や製造ロットの違いを越えて利用できるデータ設計が求められる。
MyTokkyo.Aiで国内公開特許を調査
調査対象期間は2021年1月1日から2025年12月31日までとし、日本国内で公開された公開特許・登録特許を対象とした。セラミックス、ガラス、機械学習、AI、焼成、溶融、画像検査、欠陥検出、品質予測などを組み合わせた基本検索25式を実行した。

これに加え、京セラ、TOTO、日本特殊陶業(Niterra)、AGCと、IPC分類C03B、C03C、C04Bを用いた補足検索20式を実施した。発明の名称だけでなく、要約、全文、出願人、分類を組み合わせて関連公報を確認した。
本記事は、検索で確認できた公報から技術課題と開発テーマを整理した事例分析であり、セラミックス・ガラス分野全体の出願件数を示すものではない。補足検索で確認された2026年公開の案件は、技術の進展を示す参考事例として区分した。
国内公開特許から確認できた企業の取り組み
対象期間内では、AGCによるガラス溶融窯の製造条件最適化やガラス板厚の推定、日本電気硝子による深層学習・複数画像を用いた欠陥検査、TOTOによる衛生陶器の焼成収縮予測などが確認された。

・AGC ガラス製造条件のモデル化と制御
AGCの特開2023-081593では、ガラス溶融窯の加熱量分布と製造条件の関係を機械学習モデルで扱う技術が示されている。特開2024-177931では、ガラス板の厚みを推定し、製造条件の制御へつなげる技術が確認された。
・TOTO 焼成前後の形状から収縮を予測
TOTOの特開2025-034852では、衛生陶器の焼成前後の3次元形状データを用い、機械学習モデルによって焼成収縮を予測する。予測結果を金型設計へ反映し、焼成後の製品形状を高精度に整えることを目指した技術である。
・日本電気硝子 深層学習と複数画像による欠陥検査
日本電気硝子の特開2022-187282では、深層学習を利用してガラス板の欠陥サイズを検出する技術が確認された。特開2025-112495では、異なる撮影条件の画像を組み合わせ、ガラス管の欠陥を検査する技術が示されている。
2026年公開の補足事例
補足検索では、埼玉大学による溶融ガラスの温度推定(特開2026-114352)と、日立製作所によるガラス劣化部の検出・自動補修制御(特開2026-135159)が確認された。いずれも本調査の集計期間外であるため件数には含めないが、推定結果を製造・補修制御へ接続する技術の進展を示す参考事例である。
調査から見えた4つの技術課題
MyTokkyo.Aiによる検索結果の比較から、バーティカルAIの実装に関わる課題を次の4点に整理した。図3には補足検索の事例も含まれるため、本調査期間の集計結果とは分けて確認する必要がある。

1 データ収集と教師データ構築
溶融窯の温度分布、流速、加熱量、焼成前後の形状など、多次元の製造条件と品質結果を同時に収集する必要がある。設備や製造ロットをまたいで使えるデータ形式と、学習に利用できる品質ラベルの整備が課題となる。
2 複数センサーとモデルの統合
単一の画像やセンサーだけでは、透明材料の欠陥や微細な表面変化を捉えにくい。複数光源の画像や異なる推論結果を統合し、材料状態を総合的に判定する技術が必要である。
3 予測結果のリアルタイム制御への反映
AIが温度、板厚、形状、劣化箇所を予測するだけでは工程改善にはつながらない。予測結果を加熱量、成形条件、金型設計、補修動作へ安全に反映する仕組みが必要である。
4 材料特有のノイズと誤判定の防止
セラミックスでは結晶粒界と傷の見分け、ガラスでは反射や透過による見え方の変化など、材料固有のノイズがある。正常な模様と欠陥を区別し、誤判定を抑えるための撮像条件、前処理、学習データ設計が重要となる。
今後注目したい開発と知財のテーマ
・工程データと品質データを統合する製造AI
原料、設備、温度、時間、製品特性、検査結果を一体的に扱う技術である。個別工程の予測だけでなく、製造工程全体の条件最適化につながる可能性がある。
・複数画像とセンサーを組み合わせる材料特化型検査AI
可視光画像、赤外線、X線、温度などを組み合わせ、材料特有の欠陥を検出する技術である。目視検査の標準化と誤判定の低減に活用できる可能性がある。
・設計から製造制御までをつなぐ予測技術
材料組成や製品形状の設計段階から、焼成・溶融後の変化を予測し、金型や設備条件へ反映する技術である。研究開発データと量産データを接続する知財テーマとして注目される。
MyTokkyo.Aiを使用して分かったこと
セラミックス・ガラス分野では、発明の名称に「AI」や「機械学習」が記載されない公報もある。材料名とAI関連語だけでなく、IPC分類、製造工程、検査方法、出願人を組み合わせる必要がある。さらに、検査の標準化、製造情報の管理、品質データの蓄積に関する公報も確認することで、企業がAI活用へ移行するための技術基盤を把握しやすくなる。
MyTokkyo.Aiについて
MyTokkyo.Aiは、特許調査や発明抽出を支援する特許AIエージェントである。自然言語による調査指示から、関連特許の検索、技術課題の整理、企業別の技術動向分析を支援し、研究開発・知財・製造部門の判断材料を整理できる。
製品ページ:https://www.tokkyo.ai/pvt/
お問い合わせ: https://form.legaltech.co.jp/aos/tokkyo-ai/input/
調査方法と留意事項
実施日:2026年10月23日 調査主体・分析:リーガルテック株式会社/MyTokkyo.Ai
対象:2021年1月1日から2025年12月31日までに日本国内で公開された公開特許・登録特許。基本検索25式と、企業名・IPC分類を用いた補足検索20式を実施した。補足検索で確認した2026年公開の公報は参考事例として区分している。
本調査は設定した検索条件で確認できた公報を対象とするものであり、関連するすべての特許を網羅するものではない。本記事は出願件数の市場全体推移ではなく、確認できた事例から技術課題と開発テーマを整理したものである。検索語、分類、出願人表記などによって結果は変動する。特許の有効性、侵害、抵触、特許性に関する法的判断は行っていない。
出典
•MyTokkyo.Aiによる当社調査(2026年10月23日実施)
•特許情報プラットフォーム J-PlatPat https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
•主要公報:特開2023-081593、特開2024-177931、特開2025-034852、特開2022-187282、特開2025-112495、補足事例:特開2026-114352、特開2026-135159
会社概要
会社名:リーガルテック株式会社
設立:2021年3月
資本金:4億9,300万円(資本準備金含む)
代表取締役CEO:平井 智之
所在地:東京都港区虎ノ門5-13-1 虎ノ門40MTビル4F
URL:https://www.legaltech.co.jp/
事業概要:
・特許調査・発明抽出プラットフォーム「MyTokkyo.Ai」の提供・開発
・知の資産化ナレッジベース「IPGenius」の提供・開発
・秘密情報の共有データルーム「リーガルテックVDR」の提供・開発
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