日やけにより、運動時の疲労が高まることを確認~ 運動疲労に対する日やけ止めの価値拡張の可能性~
株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、日やけにより運動時の疲労が高まることを血中の疲労マーカーの変化から確認しました。また、屋外での運動時に日やけ止めを使用することで疲労感が軽減される可能性を確認しました。この結果は日やけ止めの価値を従来の美容目的に加え、運動時の疲労軽減まで拡張できることを示唆しています。
研究の背景
紫外線はシミやシワの原因の一つであることが知られており、その対策は美容において欠かせません。長期間紫外線を浴びることは目立ったシミやシワにつながるため、世代を問わず、早期からの紫外線ケアが推奨されています。
一方、日差しの強い日に運動するとよりいっそう疲れを感じるように、近年では紫外線と疲労の関係にも注目が集まっています。つまり、運動時に紫外線対策をすることで、疲労を軽減し、運動パフォーマンスの向上に繋げられる可能性があります。既に、目から入った紫外線は酸化ストレスを生じ、疲労を感じさせることが知られていますが、肌への紫外線の影響、すなわち日やけと疲労の関係については十分に科学的検証はなされていませんでした。そこで本研究では運動時の日やけと疲労の関係、および日やけ止めによる疲労軽減の効果を検証しました。
日やけと運動時の疲労の関係
まず、運動時の日やけと疲労の関係を明らかにするための試験を行いました。試験に同意した健康な男女20名に、半そで半ズボンの日やけをしやすい服装で屋外にてフィットネスバイクを漕ぐ規則運動を120分間行ってもらいました(図2)。この際、紫外線保護メガネを着用してもらうことで、目からの紫外線の影響を除外しています。同様の試験を日の当たらない屋内でも実施しました。
疲労は、疲労学会「抗疲労臨床評価ガイドライン」に掲載されている2種の血中の疲労マーカーおよび疲労感のアンケートにて評価しました。疲労マーカーとしては、疲労の一因である酸化ストレスを計るd-ROM(diacron reactive oxygen metabolite)および、疲労からの回復力の指標となる抗酸化力を示すBAP(biological antioxidant potential)を用いました。それぞれの項目について、運動前、運動直後、運動終了30分、60分、90分、120分、180分後に測定し、各測定時での疲労の変化について統計解析を行いました。
その結果、d-ROM、BAPのどちらも屋外での数値が大きく、d-ROMでは運動終了30分後、BAPでは運動終了90分後において有意な差が得られました(図1)。このことから、目からの紫外線の影響を除外した環境でも、日やけにより運動時の疲労が高まることが確認されました。
日やけ止めの運動時の疲労軽減効果
次に日やけ止めによる疲労軽減効果を検証しました。試験参加者全員に上記と同様に屋外にて、日やけ止め(雪肌精、スーパーウォータープルーフタイプ)を肌の露出部位すべてに塗布した場合、塗布していない場合両方の条件でフィットネスバイクでの運動をしてもらいました。その結果、日やけ止めを使用した場合の疲労感は使用しなかった場合と比較して、運動終了直後から180分後まで有意に低くなることが確認できました(図3左)。また、血中の疲労マーカーのBAPにおいて、日やけ止めを使用した方の数値が運動終了30分後に低くなる傾向が認められました(図3右)。これらについては、日やけ止めの新しい価値研究の糸口となるため、今後はさらに詳しい検討を行っていきます。
今後の展望
本研究により、日やけは運動時の疲労を高めること、そして日やけ止めは美容目的での使用に加え、運動時の疲労軽減の面でも有用となる可能性が示されました。これは日やけ止めの価値を拡げ、より多くのお客さまにご利用いただくきっかけになります。今後も独自の価値提案を実現する研究活動を推進していきます。
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