「Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026」受賞者決定
5回目となるTCAA 2024-2026では、選考委員にレズリー・マ氏(メトロポリタン美術館 アソシエイト・キュレーター)が加わり、計6名の選考委員によるスタジオ訪問や面談を経て、2名の受賞者を選出しました。
2月17日(土)には授賞式および受賞記念シンポジウムを開催します。
▮ 授賞式および受賞記念シンポジウム ※入場無料・要事前申込・先着順/日英同時通訳あり
開催日:2月17日(土)
時間:[授賞式]14:00-14:30 (開場:13:30)
[受賞記念シンポジウム]14:40-16:10
会 場:東京都現代美術館 地下2階講堂(東京都江東区三好4-1-1)
申し込み方法:TCAAウェブサイトより、1月25日(木)から2月15日(木)までにお申込みください。
申込フォーム:https://www.tokyocontemporaryartaward.jp/news/form/1738
▮ 受賞者と受賞理由
梅田哲也|UMEDA Tetsuya
1980年熊本県生まれ。大阪府在住。
現地にあるモノや日常的な素材と、物理現象としての動力を活用したインスタレーションを制作する一方で、パフォーマンスでは、普段行き慣れない場所へ観客を招待するツアー作品や、劇場の機能にフォーカスした舞台作品、中心点を持たない合唱のプロジェクトなどを発表。先鋭的な音響のアーティストとしても知られる。
<受賞理由>
発表する場所の地政学的、環境的特徴に対する洞察が、自身の表現言語で翻訳され、作品として昇華されている点が高く評価されました。歴史やシステムといった重いテーマを扱いつつ、人間の感覚への信頼にもとづいた表現は詩的で軽やかで、空間の物理的な制約をポジティヴに解釈、転用する手腕にも優れています。鑑賞者の体験を重視する作品からは、作家の倫理的な態度を見ることができ、鑑賞者が自発的に場の探索を始められる丁寧かつ親密な仕掛けが特徴的です。視覚文化に対する明確な理解にもとづいた分野を超えたストーリーテリングによってそれらを統合する表現力は突出したものでした。
呉 夏枝|OH Haji
1976年大阪府生まれ。オーストラリア在住。
2012年京都市立芸術大学美術研究科博士後期課程研究領域染織修了。
主に、織、染、ほどくなど、繊維素材にまつわる技法を用い、写真、テキスト、音声などを併用したインスタレーション作品を制作。在日韓国人三世の出自を背景に、言葉にされなかった個人の記憶―沈黙の記憶―をめぐる制作や、ワークショップを通しての対話や経験をもとに、記憶の継承の可能性を探求している。現在は、日本とオーストラリアを拠点に活動している。
<受賞理由>
大きな歴史およびそこで掬いきれない個人の小さな物語の両方への等しい眼差しが特徴で、染、織といったテキスタイルの形をとる制作それ自体も地政学、女性史、移民・移住の歴史を表象するものとなっています。物質文化としてのテキスタイルの技法と素材を丹念に研究し、かつ高い技術を備え、それらを表現する題材をコンセプチュアルに用いている点が高く評価されました。また、現在作家が制作している作品群は、個人の生に焦点を当てるのみならず、階級と労働に関する調査を交差させたアプローチであり、歴史だけでなく、ジェンダーや移民、自然環境の問題とも接続可能である潜在性が評価されました。
▮ 本賞の概要
TCAAは、アーティストのキャリアにとって最適な時期に最善の支援内容を提供する必要性を重視し、選考は、選考委員によるアーティストのリサーチやスタジオ訪問により、制作の背景や作品表現、キャリアステージへの理解を深めた上で行われます。受賞者に対しては、海外での活動支援のほか、東京都現代美術館での展覧会およびモノグラフ(日英)の作成など、2年間に渡る継続的な支援を行います。
【選考委員】※肩書は2023年選考会実施時のもの
高橋瑞木[CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)館長兼チーフキュレーター]
野村しのぶ[東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター]
ソフィア・ヘルナンデス・チョン・クイ[クンストインスティテュート・メリー ディレクター]
レズリー・マ[メトロポリタン美術館 ミン・チュー・シュウ&ダニエル・シュー アジア・アート部門アソシエイト・キュレーター]
鷲田めるろ[十和田市現代美術館 館長/東京藝術大学大学院 准教授]
近藤由紀[トーキョーアーツアンドスペース プログラムディレクター]
主 催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
ウェブサイト:https://www.tokyocontemporaryartaward.jp/
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