WTOで交渉再開 コロナ医薬品の普及拡大を実現するため、加盟国は代案の拒否を
世界貿易機関(WTO)は6月7日に一般理事会、6月12~15日には延期されていた第12回閣僚会議を開催する。WTO加盟国はこれらの会合で、新型コロナウイルス医薬品の知財保護にまつわる「成果文書」案について交渉を続ける見通し。当初の提案の代案として5月初旬に出されたこの「成果文書」案は、パンデミック(世界的大流行)対策として欠陥があることが指摘されている。このまま合意されれば、医薬品やワクチン、検査の普及を高めようとする動きに対し、将来にわたって悪しき前例となりかねない。
国境なき医師団(MSF)は各国政府に対し、この代案への合意を拒否し、2020年10月に提案され100カ国以上からの支持を得ている「TRIPS知財保護義務の一時免除案」を採択するよう改めて要請する。新型コロナウイルス感染症に用いる全ての医療ツールを普及させるには、当初の提案が有効だと考えるからだ。
国境なき医師団(MSF)は各国政府に対し、この代案への合意を拒否し、2020年10月に提案され100カ国以上からの支持を得ている「TRIPS知財保護義務の一時免除案」を採択するよう改めて要請する。新型コロナウイルス感染症に用いる全ての医療ツールを普及させるには、当初の提案が有効だと考えるからだ。
- 各国にとって選択の最後のチャンス
2020年10月に提示された免除案は、パンデミック下でどの国でも生産と供給を増やせるよう、全ての新型コロナ医療ツールについて知的財産権の壁を取り除くことを目的としていた。その採択は、世界規模の感染対策において緊急かつ不可欠な優先事項であったはずだ。
MSFのアクセス・キャンペーンの上席法律・政策顧問、ユアンチョン・フーは、「加盟国にとって正しいことを行う最後のチャンスです。100以上の政府や保健関連の国際機関、市民団体、そして世界中の多くの人びとが支持する免除案の本来の精神に立ち返るのです。『パンデミック下に独占があってはならない』と大勢の人が訴え続けています」と語る。
製薬会社による知的財産権の壁や限定的なライセンス供与のため、多くの途上国では新型コロナ対策に欠かせない治療薬や検査の導入がいまだ困難なままだ。当初の免除案であれば、これらの障壁をなくし、各国の自助努力によって自国民に新型コロナ医療ツールを提供することが可能となる。このパンデミックによって、世界保健機関(WHO)の推計によれば既に1500万人近くの命が奪われているにもかかわらず、新型コロナ医薬品の普及には深刻な格差が生じている。
「こうした事態を背景に、私たちは治療薬とワクチン、検査を適用範囲とし、どの国も自由に用いることができる真の免除案に、各国政府が早急に合意することを望んでいます。特に懸念されるのは、現在交渉のたたき台として用いられている文書が、当初の知財保護免除案と全く別物で、実質的に解決しなければならない問題をいくつも含んでいることです。WTOでの決定が間違った方向に進み、公衆衛生に関する既存のセーフガードを制限することになるような、悪しき前例をつくってほしくないのです」とフーは訴える。
<参考> 今回議論される成果文書案がもつ問題点:
「流出したWTO合意案、コロナ医薬品格差の解決にならない4つの理由」
https://www.msf.or.jp/news/detail/headline/ac20220408mt.html
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