ジェイテクト、日本トライボロジー学会の「論文賞」、「技術賞」、「奨励賞」を受賞
~3賞同時受賞企業はジェイテクトが初~
株式会社ジェイテクト(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:近藤禎人、以下「ジェイテクト」)は、一般社団法人 日本トライボロジー学会の2025年度「学会賞」で、論文賞、技術賞、奨励賞を受賞しました。

ジェイテクトは、「技術をつなぎ、地球と働くすべての人を笑顔にする」というミッションに基づき、2030年までに目指す姿としてJTEKT Group 2030 Vision「モノづくりとモノづくり設備でモビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダー」を掲げています。このソリューションプロバイダーへの変革のために、既存製品の高付加価値化と新領域へのチャレンジの両軸での成長と変革を目指しています。
今回の学会賞受賞は、軸受技術、潤滑技術および添加剤技術に関する研究開発が認められ、企業として初の3賞同時受賞となりました。今後、本研究技術を宇宙機器、電動車や風車など、ますます必要とされる分野の製品に展開し、お客様の困りごとを解決するソリューションとして提案していきます。

【受賞者と受賞テーマ、受賞者コメント】
「論文賞」

※論文賞はJAXA(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)様との共同研究により受賞
テーマ : 真空用玉軸受ユニットの長寿命化および大口径高速化
受賞の技術的な注目点: 新たな潤滑剤供給機構を提案し、基礎検討にとどまらず、実際の軸受を用いた性能評価によりその有効性を実証した点
(コメント)
宇宙機器用軸受では、真空環境下で初期に封入した潤滑剤のみを用いながら、低トルクを長期間安定して維持することが求められます。また、人工衛星の高性能化に伴い、大口径化と高速回転の両立も重要な課題となっています。
そこで本研究では、グリース潤滑の長寿命性と油潤滑の低トルク特性を両立するため、軸受近傍にグリースと多孔質ポリマーを組み合わせて配置し、グリース中の基油のみを軸受保持器へ供給する新たな構造を提案しました。さらに、基礎検討および軸受での性能評価により、その有効性を実証しました。
本成果は、JAXA様の協力のもと得られたものであり、人工衛星の長寿命化に貢献する技術と考えています。
「技術賞」

テーマ :耐白層はく離性と高防錆性を両立させた自動車用軸受向けグリースの開発
受賞の技術的な注目点:白層と防錆性の両立による,電動車や風車などへの展開の可能性
(コメント)
耐白層はく離性と防錆性の向上技術を活用したグリースを開発し量産を実現しました。当初の計画よりも研究開発に時間を要しましたが、ジェイテクト独自の白層はく離再現試験技術を活用し、グリース開発に成功。
白層の再現技術は、試験機のわずかな状態変化を的確に捉え、継続的な調整を要する極めて高度で難易度の高い技術です。特に、微細な条件変動が結果に大きく影響するため、安定した再現性の確保は大きな課題でした。当初は再現に苦慮したものの、部門横断の“by All”の取り組みにより知見とノウハウを結集し、試行錯誤を重ねながら技術を体系化しました。その結果、白層の安定的かつ高精度な再現を可能とし、本技術は現在、ジェイテクトにおけるNo.1かつOnly Oneの独自技術として確立しています。
現行のグリースに環境負荷懸念があり、解決の一助となりえる本技術の量産を実現できたのも、背反の検証や、試験方法の確立、またつくりこみの部分も含め関係者の皆様のお力添えをいただけたからこそと、感謝申し上げます。自動車部品の信頼性向上、環境負荷物質軽減に貢献できる技術開発に引き続き取り組んでまいります。
「奨励賞」

テーマ : 軸受の耐食性を向上するグリース配合設計技術に関する研究
受賞の技術的な注目点:増ちょう剤の可視化と従来利用していなかった添加剤への着目
(コメント)
グリースの導電性の向上と長期安定化の両立は困難ですが、“Yes for All”の取り組みで分析・解析技術の構築を行い、電食寿命を向上させるための方向性を見出すことができました。特に、今回構築したグリース中の導電性向上剤粒子を三次元で可視化する解析技術は、グリース中の粒子の状態を明確にし,導電性の悪化と共に偏析の度合が増加していることを実際に確認することができました。この知見から、電食寿命向上には、導電性を向上させるだけでなく、偏析の抑制が必要であると考えました。偏析を抑制するとの観点から、従来の枠を越えて改めて添加剤候補を見直し、グリースの分野では注目されていなかった導電性付与剤の適用に繋げることができました。
本研究に関してご指導頂きました社内外の関係者の皆様に感謝するとともに、取組みの中で得られた知見をより拡げていき、お客様に喜ばれる技術の研究開発に取り組んでいきます。
【今後に向けて】
今回の研究成果を活用して開発したグリースは、特に水素の影響を受ける環境で力を発揮するため、FCEV(燃料電池自動車)の関連部品などにおいて高い効果を発揮することが見込まれます。これからもジェイテクトでは、材料の知見を深め、その成果をより良い商品づくりに結び付けてまいります。軸受分野に留まらず、多様な産業領域でNo.1&Only Oneの技術と製品を生み出し続け、「地球のため、世の中のため、お客様のため」に貢献し、社会課題の解決を進めていきます。
【日本トライボロジー学会 学会賞について】
トライボロジーとは、潤滑、摩擦、摩耗、焼付きや軸受設計などを含めた「相対運動をしながら互いに影響を及ぼしあう二つの表面の間におこるすべての現象を対象とする科学と技術」です。日本トライボロジー学会は、トライボロジーの基礎から最先端まで、あらゆる分野の情報交換を行う場であり、約8割が民間企業の研究者であり、自動車、重機械・電機、精密・工作機械、軸受・シール等の機械要素、石油、添加剤、化学、材料等の広範囲を対象としています。学会では、トライボロジー分野の学術・技術の発展を奨励することを目的に、功績が顕著な個人に功績賞、優秀な論文・技術に論文賞・技術賞、新進の若手会員個人に奨励賞を贈り、表彰を行っています。
「論文賞」
トライボロジーに関する研究成果であり、トライボロジー学会出版物(電子会誌、英文オンラインジャーナルを含む)に査読を経て掲載された論文をたたえる賞
「技術賞」
(1)トライボロジーに関する実用技術で、新製品・新技術の開発、既製品・既技術の性能向上などに関する業績。
(2)独創性、新規性、品質、性能の優秀性が認められ、今後の社会貢献が期待できる業績
いずれかに該当する業績をたたえる賞
「奨励賞」
トライボロジーに関し優れた研究成果をあげたトライボロジー学会会員の若手研究者(36歳未満)をたたえる賞
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