IBM、サステナビリティーに関する調査「The State of Sustainability Readiness Report 2024」の日本語版を公開
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経営幹部は、サステナビリティーのためにITに投資するメリットを認識しており、世界では88%、日本では67%の経営幹部が今後12か月でサステナビリティーのためのIT投資を増やすことを計画している
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世界で90%、日本で83%の経営幹部は、AIがサステナビリティー目標にプラスの影響を与えると考えているが、半数以上の組織はサステナビリティーのためにAIを活用していない
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サステナビリティーへの期待について、経営幹部とその他の意思決定者の間には大きな認識のギャップがある
日本IBMは本日、IBMが初めて実施した経営幹部を対象としたサステナビリティーに関する調査「The State of Sustainability Readiness Report 2024」の日本語版を発表しました。本調査では、調査対象となった世界の経営幹部の88%、日本の経営幹部の67%が、今後12カ月間でサステナビリティーの取り組みを進めるためにIT投資を増やす予定であることが明らかになりました。さらに世界の経営幹部の半数以上が、サステナビリティーのためのIT投資を、コスト削減だけでなく成長の機会と見なしていることが明らかになりました。
しかし、このような見解にもかかわらず、特にAIテクノロジーに関しては、まだ行動に移していないことが明らかになっています。
本調査は、Morning Consult社が単独で実施し、IBMがスポンサーとして調査を依頼し、分析、公開しました。インタビューは、2024年4月から5月に9カ国、15の業界、2,790人の経営幹部と意思決定者を対象に実施されました。
AIの未開拓の可能性
回答者の多くはサステナビリティーのためのAIの可能性を肯定的に受け止めており、経営幹部の約8割以上(世界 90%、日本83%)が、AIがサステナビリティー目標の達成にプラスの影響を与えることに同意しています。しかし、約6割(世界 56%、日本 69%)の組織がまだサステナビリティーへの取り組みにAIを積極的に活用していません。回答者はサステナビリティーへの投資における最大の課題としてファイナンシャル・プランニングを挙げていることから、これは予算の制約に起因する可能性があります。レポートによると、サステナビリティーのためのIT投資の48%は、通常運営予算から資金を調達するのではなく、「単発の予算」となっています。
AIの可能性を引き出すためには、組織はAIが必要とするエネルギー使用量も考慮する必要があり、リーダーたちはエネルギー使用量の軽減に努めています。このAI導入の新たなトレンドは、データ処理の場所の最適化、エネルギー効率の高いプロセッサーへの投資、オープンソースのコラボレーションの活用など、よりサステナブルな手法を採用するよう組織を促しています。これらの戦略は、AIの環境フットプリントを削減するだけでなく、運用効率と費用対効果も向上させることができます。また、適切なAI人材を見つけることも課題であり、現在のようにスキルを持った人材が不足する中で経験豊富な人材を確保し続けることは、リーダーが直面するサステナビリティー・ビジネスの課題の上位3つに入っています。
IBMの最高サステナビリティー責任者であるクリスティーナ・シム(Christina Shim)は、次のように述べています。「企業は、AIにサステナビリティーへの取り組みと収益の両方を向上させる大きな可能性を見出しており、この2つのインセンティブが一致することは素晴らしいことです。リーダーは、AIを導入する際に、環境への影響を最小限に抑えることに配慮する必要があります。しかし、データでは、サステナビリティーとコストの両面で多くの進歩の機会があることが示されています」
サステナビリティーの測定の難しさ
組織がサステナビリティーの実践とテクノロジーを業務に組み込み続ける中で、サステナビリティーをどのように測定するかという重要な疑問が残っています。世界の経営幹部は、主に資源効率に注目しており、再生可能エネルギー消費量、総エネルギー消費量、リサイクルをサステナビリティーの成果の上位3つのKPIとして挙げています。(IBMも同様に、これらの領域を、メガワット時のエネルギー消費量、総電力消費量に占める再生可能エネルギーによる電力の消費量の割合、埋め立て地や焼却廃棄物の重量比の割合を通じて測定しています。詳しくはIBM Impact Reportをご覧ください。)
また、サステナビリティーのKPIの測定は、回答者が現在直面している課題のトップ3であることも明らかになりました。世界の50%経営幹部は、サステナビリティーのKPIを測定するデータが成熟していないと指摘しており、それによって報告プロセスがさらに困難になっている可能性があります。
IBMのESGおよび資産管理製品リーダー担当バイス・プレジデントであるケンドラ・デケイレル(Kendra DeKeyrel)は、次のように述べています。「サステナビリティーの取り組みを始めようとしている組織でも、既に取り組んでいる組織でも、よりサステナブルな実践を進めるためには、正確なデータ収集と分類が重要です。本調査は、経営幹部がサステナビリティーに対するデータ駆動型アプローチの重要性を理解し、このプロセスを加速させるためにテクノロジーに投資する意思があることを示しています」
回答者の半数以上が、報告書の作成とコンプライアンスが組織にとって課題であることに同意していますが、報告書の精度を向上させることを、新しいテクノロジーを導入することで最も評価するメリットの上位3つに挙げている回答者はわずか29%でした。例えば、Ikano Groupは、ESGデータの収集と分析を自動化するソリューションに投資し、ポジティブな成果を上げています。CSRD報告書作成のために15,000種類以上のデータ・タイプを取得して追跡することができ、その結果、報告書作成プロセスにかかる時間を数千時間削減することができました。
経営幹部とその他の意思決定者の間の認識の差
また、本調査では、サステナビリティーに対する認識や期待に関して、経営幹部とその他の意思決定者との間に大きな差があることも明らかになりました。経営幹部は、気候変動に対するレジリエンスの強化に関して、バイス・プレジデントやディレクターよりも楽観的です。実際、経営幹部の67%が、自社の気候変動レジリエンスへの取り組みが積極的であると評価しているのに対し、バイス・プレジデントやディレクターでは56%でした。一方、日本の経営幹部は、各サステナビリティー課題を「非常に困難」と認識する傾向がバイス・プレジデントやディレクターよりも高くなっています。財務リスク、物理的なインフラストラクチャーのリスク、サプライチェーンのリスクなどのトピックでも同様の差が見られます。
実行可能な推奨アクション
IBMの「State of Sustainability Readiness Report」は、サステナビリティーの課題に立ち向かう経営幹部や組織に向けて、以下のような重要な推奨事項を提言しています。
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組織に適したAIツールに投資する:たとえば、生成AIは、二酸化炭素排出量を削減する機会を特定し、より持続可能なビジネスのためのシナリオとアルゴリズムを作成するのに役立つインサイトを提供できます。これにより、組織は気候危機に対処し、アクションをサステナブルな未来に繋げるために必要な洞察を得ることができます。
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データによって、経営幹部とその他の意思決定者との間の認識の差を縮める:サステナビリティーに対する最大の課題が進化し続ける中、組織はビジネス全体からデータを収集し、経営幹部とその他の意思決定者との間の認識の違いをよりよく理解する必要があります。データ分析ツールとレポート作成ツールを活用することで、盲点を発見し、組織全体の可視性と整合性を維持できます。
レポート全文は、こちらをご覧ください。
当報道資料は、2024年11月12日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳の一部をもとにしています。原文はこちらを参照ください。
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