エンジニアの転職理由は「収入を上げたい」「評価が適正でないと感じる」から|経営者とIT関連部門の認識ギャップ調査
人間関係や社内の雰囲気よりも評価・報酬の適切な連動がポイントに。
エンジニアプラットフォームを提供するファインディ株式会社(所在地:東京都品川区、代表取締役:山田 裕一朗)と、生活者を起点にしたマーケティング支援事業を提供する株式会社ネオマーケティング(所在地:東京都渋谷区)は2025年2月26日(水)~2025年3月3日(月)の6日間、全国の20歳以上の男女を対象に「事業会社のシステム部門・SIerなどIT関連部門の従業員の働き方に関する経営者と現場の認識」をテーマにインターネットリサーチを実施いたしました。
<調査背景>
DX(デジタルトランスフォーメーション)やAIをはじめとする技術革新の波を受け、あらゆる業界でデジタル技術を活用したビジネスが加速している今日。それに伴い、ソフトウェア開発の重要性とニーズはかつてないほど高まっており、企業にとって「いかに優秀な人材を採用・定着させるか」は経営上の重要課題となっています。一方で働き方の多様化やリモートワークの浸透により、IT関連部門の従業員の価値観や重視するポイントも大きく変化しつつあるのも事実です。
そこで今回は、事業会社のシステム部門・SIerなどのIT関連部門の従業員と経営者それぞれの視点から、「リモートワーク」「評価制度」「転職意向」「採用の重視点」などをテーマに調査を実施。現場と経営側の認識ギャップから見えてくる課題を考察していきます。是非、今後のマーケティング活動の一資料としてご活用ください。
【調査概要】
調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査主体:株式会社ネオマーケティング、ファインディ株式会社Findy Team+事業部
調査の対象:全国の20歳以上の男女のうち、従業員数50人以上の企業に勤務する事業会社のシステム部門・SIerなどのIT関連部門の従業員もしくは経営者・役員(※)
有効回答数:800名
調査実施日:2025年2月26日(水)~2025年3月3日(月)
(※)本調査は、スタートアップから大企業、SIer、SESといった業態を幅広く調査をしております。Web系企業のエンジニアが半数を占めるファインディ株式会社の利用ユーザーに対する調査ではないことをご留意ください。
【回答者属性】

◆「事業会社のシステム部門・SIerなどIT関連部門の従業員の働き方に関する経営者と現場の認識調査」主な質問と回答
◆転職したい理由は:「収入を上げたい」「評価が適正でないと感じる」から。人間関係や社内の雰囲気より評価・報酬の適切な連動がポイントに。
「収入を上げたい」が全体の49.0%、IT関連部門の従業員に限ると51.8%で最多となり、そこに「評価が適正でないと感じる」(全体42.6%、IT関連部門の従業員46.5%)が続いた。これは、IT関連部門の従業員が転職を「成果と待遇の整合性」によって判断していることを示しているのかもしれない。
経営者は「カルチャーの良さ」「社内の雰囲気」を軸に会社の良さを伝えつつも、IT関連部門の従業員には“スキルや成果が正当に評価され、報酬に反映される仕組み”といった要素を伝えることも重要と考えられる。
◆IT関連部門の従業員を採用するうえで、重要だと思うことは:経営者は「業務内容や裁量」「収入」「評価制度」が重要だと認識。
経営者が“やりがいと制度設計”に関する項目を重視する一方、「転職先を検討する際に重視する点」を聞いた別設問で、エンジニアは「収入」「業務内容や裁量」「リモートワークの有無」を重視していた。
経営者は「やりがいのある業務を任せる」「正当に評価する」「収入もある程度提示する」といった“キャリアと制度の魅力”を前提に採用を考えている傾向があるが、エンジニア側は、そこに加え「どう働けるか」「どこで働けるか」といった“ライフスタイルとの調和”も重視しているようだ。
はじめに、フルリモートまたはハイブリットワーク(リモートと出社の併用)をしている方に、リモートワークを継続したいかをお聞きしました。
■リモートワーク継続意向(n=513)

全体の88.5%(※)がリモートワークの継続を希望していました。
経営者と現場従業員では現場の方がよりリモートワークの継続意向が強く、「とても継続したい」の割合だけでも21.5ポイント差に。
中でも「情報通信業(受託・支援事業)の従業員」は98.6%(※)と、ほぼ全員がリモートワークの継続を希望していました。
事業会社のシステム部門従業員は、社内メンバーと一体となってプロダクトを作り上げる「ものづくりの当事者」的立場。そのため「チーム感」や「カルチャー醸成」を重視し、ある程度の出社によるリアルなつながりをポジティブに捉えている人が一定数いると推測できます。
対して受託・支援系の従業員は、プロジェクト単位で流動的に人や環境が変わることも多く、「帰属意識」よりも「専門性」と「働きやすさ」への志向がより強いのではないでしょうか。
※「とても継続したい」「やや継続したい」の合算
続いて、リモートワークにおける課題として、あてはまるものをお聞きしました。
■リモートワークにおける課題(n=800)

前掲した設問【リモートワーク継続意向】で、リモートワークは非常に高い継続意向となっていましたが、多くのリモートワーカーが依然として「コミュニケーション」「管理・マネジメント」「チームワーク」といった“人間関係性の設計”に課題を感じていることが明らかになりました。
経営者側の課題として目立ったのは「管理・マネジメント」。
現場の従業員はわずか29.0%にとどまったのに対し、経営者は46.0%に上っています。このギャップは、リモート環境に合った「指示の仕方」や「成果の確認方法」がまだ上手く整っていないことを表しているのかもしれません。
経営者やマネージャー層にとっては、従来の“近くにいてリアルでコミュニケーションをとれる安心感”が失われており、評価やフィードバックの設計に苦労している可能性が高い。対して現場側は、裁量性や自律性を前提とした働き方に適応しており、それほど「管理されたい」とも感じていない、といった認識のミスマッチが起こっていると考えられるでしょう。
「生産性が落ちる」ことを課題に挙げた割合についても、経営者と現場の従業員ではわずかに差が生じていました。これは実際の生産性の問題というよりも「成果が可視化されていないこと」による不安=マネジメント課題と言えるでしょう。
一方、エンジニア側に多かった課題が「リモートでの環境整備」。
リモートワークには満足しているものの、高性能PCやデュアルモニターなど、会社と同程度の環境を作る準備コストに課題感を持っている様子がうかがえます。
IT関連部門の従業員の業務上の課題として、あてはまるものをお聞きしました。
以下は、上位10項目を表示しています。
■IT関連部門の従業員の業務上の課題(n=800)

まず大前提として、全体で多かった課題は「人材不足」(51.0%)と「スキル不足、習得」(45.3%)で、これは業種を問わず広く共有されている悩みです。
しかし、その内訳を見ていくと、「情報通信業(受託・支援事業)の従業員」と「情報通信業(事業会社)のシステム部門担当者」とで回答が大きく異なりました。
受託・支援事業の従業員は、「スキルを高めても報酬に直結しにくい」「自身の貢献度が見えにくい」といった、構造的な不安を抱えやすい立場です。
実際、「スキル不足、習得」「育成」「評価の難しさ」の回答が事業会社のエンジニアよりも高く、成果が可視化されにくいビジネスモデルの影響が読み取れます。
一方、事業会社のエンジニアは、社内プロダクトに中長期で関わる安定性がある分、「コミュニケーション」など、組織文化や関係性に起因する課題意識が強く表れており、同じ「IT関連部門の従業員」という肩書でも、業務環境や報酬構造の違いから、抱える悩みの質が大きく異なっていることがわかりました。
続いて、事業会社のシステム部門・SIerなどIT関連部門の従業員に対し、人事評価に対する気持ちについてそれぞれお聞きしました。
■事業会社のシステム部門・SIerなどIT関連部門の従業員の人事評価に対する気持ち(n=400)
【評価に不満があるか】

「評価に不満があるか」という設問では、40代・50代のエンジニアにおいて、それぞれ62.7%(※)・62.1%(※)が不満ありと回答しており、他の年代よりもやや高い傾向が見られました。これは、スキルや経験を積んだミドル層においても、十分な待遇や成長実感が得られていないことの表れです。
※「とてもそう思う」「ややそう思う」の合算
【正しく評価されていないと思うか】

また、「正しく評価されていないと思うか」の設問を従業員規模別に見ると、従業員数50~100人未満のIT関連部門の従業員のうち76.6%(※)が「正しく評価されていない」と感じていました。
評価基準のあいまいさや、リソース不足によるフィードバック機会の欠如が、「自分の努力が正当に認識されていない」という不信感に繋がっていると考えられます。
※「とてもそう思う」「ややそう思う」の合算
【どのように評価されるかは自分にとって重要なことだと思うか】

さらに注目すべきは、同じく従業員数50〜100人未満のエンジニアの86.6%(※)が「どのように評価されるかは自分にとって重要なことだと思うか」の設問に「そう思う」と回答していることです。
つまり、「評価は重要」と感じているにもかかわらず、「正しく評価されていない」という現状は、期待と現実のギャップが最も大きい層であることを示唆しています。
このギャップはモチベーション低下や離職リスクにつながりやすく、採用・定着の観点でも無視できないでしょう。
※「とてもそう思う」「ややそう思う」の合算
さらに、IT関連部門の従業員に対し、人事評価で満足している部分をお聞きしました。
■エンジニアが人事評価で満足している部分(n=400)

満足している点としては「公平だと感じる」が19.3%でトップとなりましたが、どの従業員規模においても「人事評価に満足している点はない」に最も票が集まる結果に。
エンジニア全体の41.5%が「人事評価に満足している点はない」と回答していますが、特に従業員数50~100人未満の企業ではその割合が66.7%に跳ね上がりました。これは、約3人に2人が「評価面でのポジティブな実感がない」という深刻な状況を示しています。
転職意向を聞いた別設問にて「とても転職したい」「やや転職したい」と回答した人に対し、その理由をお聞きしました。
■転職したい理由(n=263)

転職の理由として「収入を上げたい」が全体の49.0%、エンジニアに限ると51.8%で最多となりました。そしてそれに次いで高かったのが、「評価が適正でないと感じる」(全体42.6%、IT関連部門の従業員46.5%)という回答。
2つは別々の項目ではありますが、“自分の価値が正当に認識・反映されていない”という根本的な不満が共通の土台にあります。
前掲した設問【IT関連部門の従業員の人事評価に対する気持ち】でも、エンジニアは評価制度に対して高い期待を持ち、かつその実感が得られていないことがわかりましたが、今回のデータでは、それが離職・転職の意思決定に直結していることが明らかとなりました。
一方で、エンジニアの転職理由を見ると「評価が適正でない」「収入を上げたい」といった理由が上位を占めており、「人間関係が悪い」「社内の雰囲気が悪い」といった要素は比較的低い傾向にあります。
IT関連部門の従業員が重視するのは、評価者のスキル理解があること(例:「全評価者が現場経験者」)や成果と収入が連動する設計になっていること(例:「プロジェクト単位の成果報酬制度」)など、“スキルや成果が正当に評価され、報酬に反映される仕組み”といった要素であると言えるでしょう。
転職意向を聞いた別設問にて「とても転職したい」「やや転職したい」と回答した人に対し、転職先を検討する際に重視する点をお聞きしました。以下は、上位10項目を表示しています。
■転職先を検討する際に重視する点(n=263)

全体では「収入」が60.1%で、「業務内容や裁量」が43.7%でした。
一方、エンジニアの結果を見ると、受託・支援事業の従業員は「評価制度」が42.4%と、事業会社のシステム部門担当者よりも9.8ポイント高くなっていました。
受託・支援事業の従業員はプロジェクト単位で顧客企業の案件に従事し、社外からの要望に応えるスタイルが主流。そのため、日々の業務では上長との接点が薄くなりがちで、自身の成果や努力が社内でどう見られているかが不透明になりやすいです。その分「どのように評価されるのか」「どう報酬や処遇に反映されるのか」といった、評価設計の明確さ・公正さに対する期待値が高くなるのは自然な流れと言えるでしょう。
また、受託・支援事業の従業員は「リモートワークの有無」も51.5%と、事業会社のシステム部門担当者より12.4ポイント高くなっていました。
受託・支援事業の従業員にとって、案件ごとに客先常駐・出社が発生する可能性があることは、ワークスタイルの不確実性として認識されており、それが転職時の重要な判断軸になっていると考えられます。一方、事業会社のシステム部門担当者は自社勤務が中心で、環境の予測可能性が高いため、働き方の条件に対する不満が少ない傾向があるのかもしれません。
経営者に対し、IT関連部門の従業員の採用・評価への気持ちについて、それぞれお聞きしました。
■IT関連部門の従業員の採用・評価に対する経営者の気持ち(n=400)
【IT関連部門の従業員に対して、正しく評価できているか】

前掲した設問【IT関連部門の従業員の人事評価に対する気持ち】では、従業員全体の59.6%(※)が「正しく評価されていない」と回答していましたが、本設問では経営者全体の70.3%(※)が「正しく評価できている」と感じていることが明らかに。
IT関連部門の従業員と経営者の間に、大きなすれ違いが生じていました。
※「とてもそう思う」「ややそう思う」の合算
【IT関連部門の従業員を正しく評価することは難しいか】

【IT関連部門の従業員を採用する難易度は高いか】

しかしながら、経営者側が過度に楽観視しているわけではなく、「IT関連部門の従業員を正しく評価することは難しいか」という設問では、69.0%(※)が難しさを感じていると回答。
また、「IT関連部門の従業員を採用する難易度は高いか」についても、79.5%(※)と大多数が「難しい」と認識しています。
経営者の多くが、評価や採用の難しさを自覚しつつも、「ある程度やれている」と感じているのが現状のようです。
※「とてもそう思う」「ややそう思う」の合算
前掲した設問【IT関連部門の従業員の採用・評価に対する経営者の気持ち】にて、「IT関連部門の従業員を正しく評価することは難しい」の項目に「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した人に対し、その理由として最もあてはまるものをお聞きしました。以下は、上位10項目を表示しています。
■IT関連部門の従業員を評価するのが難しいと考える理由(最もあてはまるもの)(n=276)

評価の難しさとして「適正にすることが難しい」が18.8%でトップに。
そこに「定量的に評価することが難しい」が12.7%、「公平にすることが難しい」が12.3%で続きました。
これらは、「どう評価すべきかが分からない」「評価の軸があいまい」といった制度設計レベルの悩みではなく、むしろ「きちんと評価しているつもりでも、相手に伝わらない/納得されにくい」という、“伝え方”や“見え方”に対する課題感だと言えるでしょう。
前掲した設問【IT関連部門の従業員の採用・評価に対する経営者の気持ち】でも述べた通り、経営者とIT関連部門の従業員の間には、人事評価において「評価しているつもり」と「評価されていないという実感」のギャップがありましたが、このすれ違いは認識のズレではなく、“伝達の設計”が機能していないことに起因していると考えられます。
つまり、経営者はIT関連部門の従業員を軽く見ているというわけではなく、実際には、きちんと評価しようとしているものの、その内容や意図をどう伝えればよいか、その方法や仕組みが整っていないというのが真の課題です。
評価とは、単に点数をつけたりランクを決めたりすることではなく、相手が「自分のことを理解してもらえている」と感じられるための大切な対話の場。今必要なのは、評価制度を見直すだけでなく、それをどう伝え、どうすれば相手にきちんと伝わるのかを考えることだと言えるでしょう。
経営者に対し、エンジニアを採用するうえで、重要だと思うことをお聞きしました。
以下は、上位10項目を表示しています。
■IT関連部門の従業員を採用するうえで、重要だと思うこと(n=400)

【転職先を検討する際に重視する点(再掲)】

IT関連部門の従業員の採用において経営者は、「業務内容や裁量」(44.0%)、「収入」(40.8%)、「評価制度」(38.5%)といった“やりがいと制度設計”に関する項目を重要視していることがわかりました。
一方で、前掲した設問【転職先を検討する際に重視する点】でIT関連部門の従業員が上位に挙げたのは、「収入」(61.8%)、「業務内容や裁量」(40.0%)、「リモートワークの有無」(39.4%)。
経営者は、「やりがいのある業務を任せる」「正当に評価する」「収入もある程度提示する」といった“キャリアと制度の魅力”を前提に採用を考えている傾向があります。しかしIT関連部門の従業員側は、そこに加えて「どう働けるか」「どこで働けるか」といった“ライフスタイルとの調和”を重視しています。
特に「リモートワークの有無」については、エンジニアの39.4%が重視するのに対し、経営者側ではわずか13.5%にとどまっており、その差が顕著に表れていました。
■この調査のその他の質問
・人事評価について、不満な部分(複数回答)
・これまで転職したことがあるか(単数回答)
・転職したいと思うか(単数回答)
・経営者がIT関連部門の従業員を正しく評価できていると思う理由(複数回答)
など
■この調査で使用した調査サービスはコチラ
ネットリサーチ:https://corp.neo-m.jp/service/research/quantitation/netresearch-domestic/
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<例>「生活者を起点にしたマーケティング支援事業を提供する株式会社ネオマーケティングが実施した調査結果によると……」
引用元:https://corp.neo-m.jp/report/collaborative-research/itmedia_003/
コーポレートサイト:https://corp.neo-m.jp/
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