マイオカインの発現に効果的な周波数帯を解明。研究成果が『Journal of Comparative Physiology B』に掲載
株式会社MTG(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:松下剛)は、金沢大学 西川裕一らのグループとマイオカインの発現に効果的な周波数帯を明らかにしました。
マイオカインとは、骨格筋から発現する物質の総称で現在までに600種類以上のマイオカイン候補が同定しています。その中でも神経保護や認知機能の向上に寄与する物質として脳由来神経栄養因子(BDNF)やカテプシンBが知られています。これらの物質は、高強度の運動を行うことで多く発現し、認知機能の向上にも貢献していることが動物研究等で明らかになっており、認知症の予防や症状改善に運動が重要であることが近年注目されてきています。
西川助教らとの研究グループでは、これまでに筋肉に電気刺激を加えて収縮させる神経筋電気刺激(EMS)という方法を用いることでも、血液中のBDNFが増加することを報告しています。しかしながら、EMSには周波数やパルス幅といった様々な可変パラメータがあり、そのような刺激がマイオカインの発現に効果的であるのかについては明らかになっていませんでした。
本研究では、異なる周波数で筋肉を刺激し、どの周波数帯が最もマイオカインの発現に効果的であるのかについて検討をしました。
その結果、20Hzによる刺激が、他の周波数帯(4Hzおよび80Hz)と比較して発現量が大きいことを明らかにしました。
この知見は、将来認知機能向上を目的とした介入手法へ応用されることが期待されます。
本研究結果は、2024年5月31日0時(ロンドン時間)に『Journal of Comparative Physiology B』に掲載されました。
※Electrical Muscle Stimulation=骨格筋電気刺激
■目的
マイオカイン産生を刺激するための最適な EMS 周波数を定量化すること
■方法
16名の若年成人を対象とし、4Hz、20Hz、80Hz、コントロールの4条件を別日に各20分間介入した。EMS介入前後で血液を採取し、カテプシンBおよびBDNFの変化量を確認した。コントロール条件では20分間の安静座位の前後で血液を採取した。
■結果
介入前と比較して20Hzでの刺激は介入後のカテプシンBおよびBDNF濃度を有意に増加させた。さらに20Hzでの刺激は4Hz、80Hzでの刺激やコントロール条件よりもカテプシンBおよびBDNF濃度を有意に増加させた。
【結果の一例】
*p<0.05
*p < 0.05, , **p < 0.01, *** p < 0.001
■結論
20Hzでの刺激は効果的にカテプシンBおよびBDNFの反応を引き起こすことが示唆された。
論文の内容はこちら
■タイトル
Influence of stimulation frequency on brain-derived neurotrophic factor and cathepsin-B production in healthy young adults
■著者
Yuichi Nishikawa 1,Hiroyuki Sakaguchi 2,Tatsuya Takada 3, Noriaki Maeda 4, Allison Hyngstrom 5
1 Faculty of Frontier Engineering, Institute of Science & Engineering, Kanazawa University, Kakuma-machi, Kanazawa, Ishikawa 920-1192, Japan
2 Graduate School of Frontier Engineering, Kanazawa University, Kanazawa, Japan
3 MTG Co., Ltd, Nagoya, Japan
4 Department of Sport Rehabilitation, Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan
5 Department of Physical Therapy, Marquette University, Milwaukee, WI, USA
MTGは、自社開発のみならず、大学との産官学の共同研究や、他企業との共同開発に取り組むことで、先進のテクノロジーと最高峰の知恵を融合させ、革新的なブランドを創出してまいりました。今後も、世界中の人々に生き生きとした前向きな人生を送っていただくための商品やサービスを提供し、多くの方の健やかな身体づくりをサポートしてまいります。
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