1年半ぶりの実弾介入?投資家は翻弄される-JPY(円)、売り超に転換【外為どっとコム総研FX投資家調査2024年4月】
目次
1.一般社団法人金融先物取引業協会FX投資家動向まとめ
2.株式会社外為どっとコムFX投資家動向まとめ
2-1.FX取引における実現損益
2-2.通貨ペア別取引者数
2-3.平均取引数量
2-4.口座の開設期間
2-5.FX投資の年齢分布
2-6.FX口座開設者動向
3.まとめ
1. 一般社団法人金融先物取引業協会FX投資家動向まとめ
AUD/JPY(豪ドル/円)取引額、倍増
金融先物取引業協会が5月16日に公表した資料によると、2024年4月の店頭FXにおける取引金額は943兆円と、3月から1.5%増だった。USD/JPY(米ドル/円)の取引額が前月比5.8%減少したものの、それ以外のクロス円の取引が好調だったため、月間では取引金額が増加した。一方で、月末時点の未決済ポジション合計は1.7%減少し約8.7兆円となった。また、JPY(円)ポジションは3月末に7,098億円のネットロングだったが、4月には4,449億円のネットショートに転じた。
取引金額上位の5通貨ペアは、USD/JPY(米ドル/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)の順。また、104.947円まで上昇幅を広げ、取引金額が191%増となったAUD/JPY(豪ドル/円)の躍進が目を引いた。
図1.取引金額とポジション計
(出所)金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」をもとに、当社が作成。
左軸-取引金額、右軸-ポジション計
グラフ中のデータ単位は百万円
2. 株式会社外為どっとコムFX投資家動向2024年4月
収益吐き出す、ロングもショートも深手を負う
FX口座数が約58万件の株式会社外為どっとコム協力の下、2024年4月のFX投資家動向を調査した。
【調査概要】
調査対象:株式会社外為どっとコムのFXサービス「外貨ネクストネオ」利用者(約58万口座)
調査機関:株式会社外為どっとコム総合研究所
調査対象:調査期間中にFXサービス「外貨ネクストネオ」の新規口座開設およびFX取引をした顧客
調査期間:2024年4月1日7:00 ~ 2024年5月1日6:00
調査方法:対象期間中の取引データより抽出
(特定の個人を識別できないよう個人情報を匿名化した上で行っております。)
2-1.FX取引における実現損益
FX取引における実現損益でプラスは48.6%、マイナスは51.3%となった。プラスは前月比7.7%ポイント低下し、4カ月ぶりに損失を計上する投資家が多かった。月末に、JPY(円)が対USD(米ドル)で160.219円まで急落した直後、政府・日銀の円買い介入と思しき動きから、154.50円付近までJPY(円)が急騰するなど、終盤にJPY(円)相場が急変動した。この急変に短期勢中心に想定外に実現損が膨らんだ投資家が多かった模様。
図2-1.取引参加者の損益
2-2.通貨ペア別取引者数
通貨ペア別取引者数のトップ10は、USD/JPY(米ドル/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・MXN/JPY(メキシコペソ/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)・TRY/JPY(トルコリラ/円)・NZD/JPY(NZドル/円)・ZAR/JPY (南アフリカランド/円)・GBP/USD(ポンド/米ドル)の順。
1位をUSD/JPY(米ドル/円)が独占している状態は変わらなかった。
図2-2.通貨ペア別取引者数
2-3.平均取引数量
FX投資家の1注文あたりの平均取引数量は4.5万通貨(45Lot)と小幅に増加した。
USD/JPY(米ドル/円)は、1Lotあたり6,400円の必要保証金(5/13時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は約28万8,000円となる。MXN/JPY(メキシコペソ/円)は、1Lotあたり400円の必要保証金(5/13時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は1万8,000円となる。
図2-3.平均取引数量
2-4.口座の開設期間
取引をしたFX投資家の口座開設後の期間は、平均113カ月(9年5カ月)へ伸び、直近1年で最長となった。
図2-4.口座開設期間
2-5.FX投資の年齢分布
FX投資家の年代別では40代が31.6%と最多で、次に50代、30代、60代と続いた。40代と50代で6割を超えた。
図2-5.取引参加者の年齢構成
2-6.FX口座開設者動向
新規にFX口座を開設した投資家は、40代が26.6%、30代が26.0%で、この2つの年代が半数を占めた。以下、50代が20.4%、20代が15.4%となった。
図2-6.口座開設者の年齢構成
3.まとめ
2024年4月の為替市場は、米国の利下げ回数見通し低下をベースにUSD/JPY(米ドル/円)は154円台までJPY(円)売りが先行。さらに日銀が円安に対して強い牽制をしなかったこともあり、158円台まで下げる中、仕掛け的な動きから160.219円まで一気に急落した。その後、政府・日銀による為替介入と見られる動きから、154円台までJPY(円)は急騰するなど荒い値動きとなった。
こうした動きにJPY(円)買い勢は、160円突破の過程でロスカットされた投資家がいた一方、利食いのタイミングを逃したJPY(円)売り勢も、その後の急騰過程でロスカットに見舞われる投資家もいたようで、FX取引者の未収金発生口座数も増加した。金融先物取引業協会によれば、発生口座数は70件と、2022年9月に介入が実施された時の27件からは約2.5倍となった。金額では8,696千円と限定的だったが、相場の急変に対応しきれなかった投資家が多数いることは想像がつく。このように投資家が本邦の円買い介入を巡る思惑に翻弄されて収益を積み上げるのに苦慮したと判断でき、投資家にとって厳しい相場環境だったようだ。
過去の調査結果は、マネ育ch( https://www.gaitame.com/media/ )よりご参照ください。
「投資家調査」カテゴリー
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