「また使いたい」は、どう生まれる?リップクリームの継続使用から“やみつき”になる過程を探る―初回の期待感と、使い続ける中で広がる使用体験に着目―
ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:瀬木 英俊)は、ロートグループ経営総合ビジョン「Connect for Well-being & Longevity」の実現に向け、お客様起点の考え方に基づいたスキンケア研究を進めています。当社ではこれまで、「好き」「また使いたい」という気持ちを科学的に解き明かし、長く愛用したくなる製品づくりにつなげる感性研究を進めてきました。今回「メルティクリームリップ」を対象に、継続使用に伴う使用感や製品への期待感の変化、継続使用意向との関連を解析し、繰り返し使いたくなる“やみつき”な使用体験の形成過程を検討しました。
本研究成果は、2026年9月16日~9月18日に開催された第28回日本感性工学会大会にて発表しました。
1.研究成果のポイント
◆ メルティクリームリップは、初回使用時から「好ましさ」が「また使いたい」という気持ちと関連し、“やみつき”につながる可能性が示された
◆ 使い続ける中で期待が高まった人では、ひとつの使い心地だけでなく、さまざまな使用感の評価が向上した
◆ 連用後には「心地よさ」も「また使いたい」という気持ちと関連し、メルティクリームリップの“やみつき”な使用体験を考える上で重要なキーワードとなる可能性を確認した
2.研究の背景
日常的に使用する化粧品では、保湿などの機能性に加え、塗布時の感触や心地よさといった「使い心地」も、製品を「また使用したい」と感じる気持ちに関わると考えられます。
当社では、このような使用体験への理解を深めるため、とろける使い心地を特長とする「メルティクリームリップ」の愛用者を対象に感性評価研究を行い、使用時に満足感・充足感や「心地よさ」が得られる可能性を報告してきました※1。ただし、これらはすでに製品を愛用している方を対象とした研究であり、普段使用していない方が、使い始めからどのような使用体験を経て「繰り返し使いたい」と感じるようになるのか、その過程を捉えることが次の課題でした。
そこで今回、普段メルティクリームリップを使用していない方を対象に、繰り返し使いたくなる“やみつき”な使用体験が、どのように形成されるのかを検討しました。
※1 メンソレータム®「メルティクリームリップ」“やみつき”の秘密をデータで探る
https://www.rohto.co.jp/research/researchnews/technologyrelease/2024/1114_01
3.結果
結果1 メルティクリームリップは、初回から「使用感」「期待感」が高く、継続でより高い評価に推移

【図1】メルティクリームリップ・対照品における使用感総得点および期待総得点の経時変化
<試験方法>
20~39歳の女性38名を対象に、特徴的な塗布感触を持つメルティクリームリップと、異なる塗布感触を持つ対照品について、2種類の試験品を使用する順番を分け、それぞれ7日間使用。
初回使用時(D1)、3日目(D3)、7日目(D7)に使用感(しっとり感、なじみ感、心地よさなど11項目)、期待感(使い続けることで、乾燥や皮むけを防げそうと感じるか、唇の状態が良くなりそうと感じるかなど8項目)について評価。
使用感および期待感について、それぞれの評価項目の得点を合計し、総得点を算出した。図中の各点は一人ひとりの得点を示しており、メルティクリームリップ・対照品それぞれについて、連用に伴う得点の分布と変化を示す。
メルティクリームリップでは、初回使用時から「使用感」「期待感」ともに高い評価を示す人が多くみられました。さらに、継続すると両評価はより高い領域に推移し、対照品とは異なる変化がみられました。
結果2 メルティクリームリップの期待が高まる人では、使い続ける中でさまざまな良さも高まる
メルティクリームリップへの期待感と使用感評価の変化を検討するため、使用1日目から7日目にかけて期待感が高まった群と低下した群に分け、各使用感評価の変化量を比較しました。その結果、期待感が高まった群では、低下した群に比べて、「しっとり感」「なじみ感」「ツヤ感」に加え、「心地よさ」「安心感」などの評価の変化量が有意に大きいことを確認しました。これらの結果は、製品への期待感の高まりが、具体的な使用感だけでなく、心地よさや安心感を含む総合的な使用体験(評価)の変化とも関連することを示しています。

【図2】メルティクリームリップへの期待の変化に伴う、さまざまな「良さ」の変化
<試験方法>
メルティクリープリップの各使用感項目についてD1からD7までの変化量を算出し、2群間で比較した。群間比較にはWelchのt検定を用い、多重比較による影響を考慮するためBenjamini-Hochberg法によるFDR補正を行った。(*q<0.05)。
この分類は、期待感の変化に伴ってどのような使用感が変化するのかを調べるためのものであり、“やみつき”の有無による分類ではない。
結果3 使い続ける中で、「また使いたい」という気持ちと関連する使用感が変化
「また使いたい」という気持ち(継続意向)と使用感評価との関連を、グラフィカルモデリングにより解析しました。その結果、メルティクリームリップでは、「好ましさ」が初回使用時、3日目、7日目のいずれも継続使用意向と直接関連し、3日目には「なじみ感」、7日目には「心地よさ」との直接的な関連も認められました。これらの結果は、継続使用意向と関連する使用感が、使い続ける中で変化する可能性を示しています。

【図3】メルティクリームリップを使い続ける中での、継続使用意向と使用感の関係の変化 (初回使用時(D1)、3日目(D3)、7日目(D7))
さらに、7日目の解析結果を対照品と比較したところ、メルティクリームリップでは「好ましさ」と「心地よさ」が継続使用意向と直接的な正の関連を示したのに対し、対照品では主に「好ましさ」が直接的な正の関連を示しました。このことから、使い心地の異なる製品では、継続使用後に「また使いたい」という気持ちと関連する使用感も異なる可能性が示唆されました。

【図4】7日間使用後の、継続使用意向と使用感の関係(メルティクリームリップ(D7)は図3と同一)
<グラフィカルモデリング図の見方>
線でつながった項目同士には関連がみられ、赤線は正の関連、黒線は負の関連を示します。線が太いほど関連が強いことを示します。なお、線は因果関係を示すものではありません。(図は結果の上部抜粋)
4.考察
本研究では、メルティクリームリップの初回使用時から継続使用意向と関連していた「好ましさ」に加え、7日目には「心地よさ」との直接的な関連も認められました。また、期待感が高まった群では、低下した群に比べて、心地よさや安心感を含む複数の使用感評価の変化量が大きいことを確認しています。
これらの結果から、繰り返し使いたくなる“やみつき”な使用体験を理解する上では、初回使用時の評価だけでなく、継続使用に伴う評価の変化と、継続使用意向との関連を捉えることが重要と考えられます。特に、メルティクリームリップでは、継続使用後の「心地よさ」の評価が、「また使いたい」という気持ちと関連することが示されました。
5.今後の展望
当社は今後も、使用初期から継続使用に至る使用体験を「時間軸」で捉え、使用感や製品への期待感、継続使用意向の変化と、それらの関連について研究を深めてまいります。
得られた知見を生かし、機能性や初回使用時の良さを追求するとともに、使い続ける中で新たな良さを感じ、自然とまた手に取りたくなる製品づくりにつなげてまいります。
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