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国境なき医師団(MSF)日本
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G7は人道援助活動の保護確約を――国境なき医師団インターナショナル会長声明

国境なき医師団

主要7カ国首脳会議(以下、G7サミット)を前に、国境なき医師団(MSF)インターナショナル会長のクリストス・クリストゥ医師は、G7の首脳に対し、大陸間の深い対立や高まる緊張を越え、人道援助活動を保護するための長期的な取り組みを約束するよう、以下の通り声明を発表します。

© MSF© MSF


  • MSFインターナショナル会長のG7サミットに向けた声明


MSFインターナショナル会長のクリストス・クリストゥ医師 © MSFMSFインターナショナル会長のクリストス・クリストゥ医師 © MSF

「ヒロシマ」という名は、紛争において一般市民が払う犠牲を象徴しています。このような、突然大勢の命が奪われる事態は滅多に起きないとはいえ、一般市民はいまも、戦争や紛争における最大の被害者であり続けています。第二次世界大戦以降、武力紛争下の一般市民保護のために、国際人道法のような一連の法的措置が策定されました。しかし今もなお、国家は紛争に巻き込まれた個人の保護よりも、対テロ政策や主権の主張、移民対策といった他の事柄を優先しています。


MSFは、心身への健康被害から、栄養失調、性暴力、医療体制の破壊に至るまで、戦争や紛争が人びとの生活に与える影響を毎日、目の当たりにしています。 50年前、あるいは70年前と比べて、現在が戦争下でも生き残りやすくなったということは決してありません。


このことは、先のスーダン紛争が始まって間もない頃、北ダルフール州エル・ファシールでMSFの医療チームが受け入れた負傷者のほとんどが一般市民であり、子どもが多く含まれていたことからも明らかです。戦闘に巻き込まれる危険や、医療スタッフの移動が困難だったために、多くの医療施設が閉鎖に追い込まれました。外科治療の態勢が乏しく、物資も不足していたため、3日間で40人以上が負傷によって命を落としました。


スーダン、北ダルフール州にある、エル・ファシール南病院内の様子=2023年4月19日  © MSF/Ali Shukurスーダン、北ダルフール州にある、エル・ファシール南病院内の様子=2023年4月19日  © MSF/Ali Shukur


こうして市民が武力紛争によって多大な犠牲を強いられる中、一般市民やインフラ、人道援助従事者の保護などを規定した国際人道法の順守は無視または適用を拒否される事例が増えています。今年初め、西アフリカのブルキナファソで活動するMSFの援助チームに対する残虐な攻撃で、スタッフ2人が殺害されました。2021年にはエチオピアのティグレ州で、残忍な殺害により活動中の3人のスタッフを失いましたが、この事件の全容はいまだに明らかになっていません。困難に直面している人びとに人道援助を提供することは、命の犠牲を伴ってはならないのです。


人道援助への妨害行為と犯罪扱い


MSFは必要な医療を必要な時に必要な場所で提供し続けるため、人道スペースの確保を訴え続けます。それこそが我々の存在意義だからです。しかし、この10年間、G7を含む複数の政府によって、人道の原則に基づいた救命・援助活動への妨害行為は増加傾向にあります。


暴力、不安、迫害から逃れる人びとにとって世界で最も危険な移民ルートの一つである地中海でMSFの捜索救助船は何度も、差し押さえ、罰金、安全な港での生存者の下船拒否などの扱いを受けています。今年の海難死者数は最多を更新しているにも関わらず、イタリア政府は新しい法律により救助船運航に煩雑な手続きを課し、今年初めにはMSFの船「ジオ・バレンツ号」を強制的に係留しました。


イタリアと欧州連合(EU)加盟国政府は、移民と人道援助の犯罪扱いをやめ、本来は国家が担うべき救命活動に従事しているMSFのような援助団体が、活動を続けられるようにすべきです。


MSFの捜索救助船がマルタ沖で未成年者を含む300人を救助 =2023年5月1日  © MSF/Skye McKeeMSFの捜索救助船がマルタ沖で未成年者を含む300人を救助 =2023年5月1日  © MSF/Skye McKee


一方、カナダでは20年以上、人道援助活動が対テロ法の対象となり、カナダ国籍保持者が危機下の人びとへの援助に当たると、法律違反になる恐れがあるという信じがたい状況が存在してきました。カナダは現在、対テロ法適用地域での国際援助促進に向けて、同法を改正しようとしています。MSFはカナダ政府に対し、国際人道法に基づいて、人道援助活動を全面的に対テロ法から免除するよう求めています。テロ関連の違法行為を刑事罰の対象とする法律によって、人道援助を妨げてはならないのです。


これらは数あるなかから挙げた2つの例に過ぎません。他にも、移民や難民の死者数が増えていること、国境沿いに建てられた壁や国境警備隊による取り締まり、移民・難民の劣悪な受け入れ体制や収容状況は、G7が自国国境で人道の原則を守れていないことを表しています。


人道の原則に基づいた援助活動


人道援助の原則は、戦線のどちら側かに関わらず、最も必要としている人びとに援助を届けるということにあります。しかし、この原則さえ、援助従事者を犯罪者扱いする危険な法的枠組みや当局の見解、妨害行為などによってますます危うくなっています。


2016年に採択された国連安保理決議2286号など、医療行為や人道援助活動などの保護を規定した国際人道法の順守を強化する国連決議は存在し、現在策定過程にあるものもあります。しかしながら、別の政治的な意図や都合の良い見解によってこれらが骨抜きにされるのであれば、何の価値も持ちません。援助活動従事者を犯罪者扱いにすることは、援助を受ける人びとが援助活動従事者に対してもつ信頼を失わせ、最終的には人びとが必要なケアを受ける機会を大幅に減らしてしまうのです。


残念なことに、MSFは人道原則に基づいた援助活動が疑問視された時に起きる事態を知り尽くしています。昨年、カメルーンの紛争地で、分離独立に加担したという事実無根の嫌疑のために、5人のスタッフが数カ月間、不当に投獄される事態に陥りました。無罪判決がおりるまでに1年以上かかりました。現在も、MSFは当局に医療活動を禁止されており、人道援助活動を行えず、何千人もの人びとから生存に欠かせない医療が奪われています。


グローバルな人道的連帯


サミットに先立って出されたG7外相コミュニケでは、アフガニスタン、ハイチ、ウクライナなど「複数の危機から深刻な影響を受けた脆弱な人々を支援する」という明確な決意が表明されました。しかし、国境を越えた人命救助活動に対して妨害行為を繰り返すG7加盟国もある中で、この決意も空虚に響きます。


MSFはG7首脳に対し、人道上のコミットメントを真に果たすため、人道援助活動を促進し保護することを含め、国際人道法に沿って、一般市民と人道援助従事者を保護することを求めます。これは、第三国への軍事支援を行う際にも適用されなければなりません。広島で起きた想像を絶する悲劇は、世界の指導者が人道よりも政治を優先させてはならないことを強く思い起こさせます。今日も変わらず、あまりにも多くの人命が危機にさらされている状況が続いているのです。

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医療・福祉
本社所在地
東京都新宿区馬場下町1-1  FORECAST早稲田FIRST 3階
電話番号
03-5286-6123
代表者名
村田慎二郎
上場
未上場
資本金
-
設立
1992年12月
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