ソマリア:北部の病院から苦渋の撤退――医療施設に対する度重なる攻撃受け
病院への攻撃、半年で5回
同病院は7月8日、戦闘のさなかに攻撃を受け、医療スタッフや患者の世話人が負傷。また、救急車が破壊され、産科病棟は閉鎖を余儀なくされた。これは、今年2月に暴力が激化して以来5回目の事件であり、これまでも医療スタッフやボランティアの命が奪われてきた。
ソマリアでMSFの代表を務めるダナ・クラウゼは、「紛争が続く中、既に失われている人びとの医療アクセスにさらに影響を与えることを承知で、活動を中止せざるを得ないことを大変残念に思います。しかし私たちは、患者と医療従事者にとって最低限の安全が確保された環境で活動する必要があります」と述べる。
MSFは2019年から、ラス・アノド総合病院への物資提供や技術指導、スタッフの給与支援、子どもたちの栄養失調の診断や病気の治療を行ってきた。昨年だけでも7200件以上の緊急診療を実施し、2000件以上の分娩を介助した。しかし残念ながら今週、戦傷者の治療キットなど最後の医薬品の寄付を行った。
医療活動の継続に、安全の確保は必須
ラス・アノド総合病院での活動を終了する一方で、同病院から約40キロ南に位置するスール州カラバイドでの避難民に対する医療活動は継続する。
過去40年にわたりソマリアの人道危機に対応してきたMSFは、今後も普遍的な医の倫理と人道援助を受ける権利の名の下に、中立性と公平性を守りながら活動を続けていくことを改めて表明する。しかしそのためには、MSFの職務遂行において、完全かつ妨げられることのない自由を主張する。
※スール州とラス・アノドは、ソマリアの国際的に承認された国境内にある自治国家であるプントランドとソマリランド双方が領有権を主張する地域。本書の記述や地名は、それらの法的地位に関するMSFの見解を反映したものではない。
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