日本政府に署名10万筆 を提出──ガザ地区への無差別攻撃の即時停止など訴え
ガザ地区における人道状況の改善を
署名は10月24日から11月7日の間に、MSF日本がオンラインで募ったもの。10月7日から続く紛争で、多くの民間人が犠牲となり、医療施設が繰り返し攻撃にさらされる中、「無差別攻撃の即時停止」「医療の保護」「人道性の回復」の早期実現に向け、日本政府による外交努力の継続を要請しました。
日本政府は今年、G7の議長国であり、国連安全保障理事会の非常任理事国を務めていることから、MSFは今回のイスラエルとパレスチナでの軍事衝突、人道状況の悪化に対し、日本政府が果たせる役割は大きいと期待しています。
「外交努力を、粘り強く積極的に続けていく」
署名手交の席で堀井副大臣は、「ガザ地区の状況は深刻化の一途をたどっており、一般市民が被害に遭っていることに大変心を痛めている」と述べ、11月2日から5日まで実施された上川外務大臣のイスラエル、パレスチナ及びヨルダン訪問や、11月7日より東京で開催されていたG7外相会合について言及。日本政府が引き続き、刻一刻と動く現地情勢を踏まえ、関係国・国際機関等との間で意思疎通を行い、事態の早期沈静化や、人道状況の改善等に向けた外交努力を、粘り強く積極的に続けていくと述べられました。
村田は、ガザでは燃料や物資の枯渇から医療体制がほぼ崩壊しており、また病院や救急車が爆撃の被害に遭うなど、医療への攻撃も起きている状況を改めて説明した上で、今回の署名について「期間を2週間のみに設定したのは、一刻も早い状況改善につなげていきたい思いがあった」と述べました。続けて、この短期間に10万人以上の人が賛同していただけたのは、日本でも多くの人が現在の状況に心を痛めており、状況改善を望んでいることにほかならない。ガザにおける一刻も早い人道状況の改善のため、引き続き日本政府は国際社会に働きかけてほしいと、改めて要請しました。
また、村田は、今回のイスラエルとパレスチナにおける人道危機について、次のようにコメントしています。
「ガザ地区では約300人のMSFのスタッフが活動してきました。今、膨大な援助のニーズがあるにもかかわらず、広範囲に及ぶ爆撃が続き、安全の確保は不可能で、人道援助物資の搬入も不十分なため、私たちはほとんどの活動を中断せざるを得ない状況になっています。医療・人道援助団体として、MSFはもっと多くのことを行いたい。しかし今、それができなくなっているのです。
11月6日、MSFの検査技師としてガザで活動してきた私たちのスタッフの1人が、家族とともに命を落としました。 シャティ難民キャンプの自宅で爆撃を受け、建物の倒壊により数十人が死亡したと報じられています。私たちはガザの同僚たちを心配し続けています。彼らの多くは、今もガザ各地の病院で救命医療に取り組んでいます。
医療スタッフへの攻撃は、それ自体が非難されるべきものですが、それに加えて紛争地での医療への攻撃というのは、その医療施設を命綱にしている現地の何千人、何万人という人たちから医療へのアクセスを奪う行為です。
それにより、助かるはずの命、救えるはずの命が救えなくなるという状況を、シリアやイエメンその他の場所で、私たちは目撃してきました。今、ガザで同じようなことが起きていることに、強い憤りを感じています。
無差別な爆撃を受けているガザには、安全な場所はありません。保健省によると、すでに4000人の子どもを含む1万人以上が亡くなりました。 世界の指導者らが意味のある行動を取らない間に、ガザの至る所で多くの人びとが、家族や家、そして命を失い続けています。
私たちは改めて訴えます。ガザでこれ以上の犠牲者を出さず、必要な援助を行うためには、即時停戦が必要です。
一刻も早くこの状況が改善されるよう、国境なき医師団は引き続き、声を上げていきます。どうか今後も皆さまのお力を貸してください」
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