ガザ:患者と医療スタッフは病院から動けない──病院攻撃を今すぐ中止せよ

国境なき医師団

11月10日から11日にかけて、パレスチナ・ガザ地区の医療施設が容赦ない攻撃を受けている。国境なき医師団(MSF)のスタッフが活動する地区最大の病院であるアル・シファ病院は、産科や外来を含め、何度も攻撃を受け、多数の死傷者を出している。病院周辺への攻撃もやんでない。MSFチームと数百人の患者は、今もアル・シファ病院内にいる。MSFは緊急に、病院に対する攻撃の停止、即時停戦、医療施設、医療スタッフ、患者の保護を改めて要請する。

空爆で負傷し、アル・シファ病院で手当てを受けた少年と父親=2023年10月19日 © Mohammad Masri空爆で負傷し、アル・シファ病院で手当てを受けた少年と父親=2023年10月19日 © Mohammad Masri

  • 病院から逃げようとした人びとにも銃撃


「私たちはここで殺されようとしています、何とかしてください」。11日朝、MSFの看護師がアル・シファ病院の地下からメールを送ってきた。看護師と彼の家族は、他の4~5家族とともに地下室に避難している。「砲撃はすぐそこまで来ています、私の子どもたちは恐怖のあまり泣き叫んでいます」


「アル・シファ病院の状況は、まさに壊滅的です。患者とスタッフは、今も病院内にいます。MSFはイスラエル政府に対し、ガザの医療施設に対する容赦ない攻撃を中止するよう求めます」。MSFのパレスチナにおける活動責任者であるアン・テイラーは憤る。


アル・シファ病院は、700床を有する主要な総合病院で、救急と外科を提供している。現在ガザ地区には、複雑症例や重症の患者を多数受け入れ、治療できる施設は他にない。病院は度重なる攻撃や人員の不足にもかかわらず、現在もなんとか稼働を維持している。しかし10日には電力を失った。救急車も出動できず、絶え間ない砲撃によって患者やスタッフは避難できなくなった。MSFスタッフは、病院から逃げようとした人びとが銃撃されているのを目撃している。


「手術を受けたばかりの患者も多く、歩くことはできません」。アル・シファ病院のMSF外科医、モハメド・オベイド医師は言う。「患者を移動させるには救急車が必要です。しかし全員を避難させる救急車はありません」


「10日の朝から11日までに約25人の患者を手術しました。私や他の外科医がいなかったら、誰が患者を診るのでしょうか。いますぐ手術が必要な患者もいれば、麻酔で眠っている患者もいるのです」


MSFは、アル・クッズ病院に家族と避難している外科医1人と連絡が取れなくなった。またMSFが過去に支援したアル・ランティシ病院を含む他の医療施設も、イスラエル軍の戦車に包囲されたと伝えられている。


  • 人道援助提供には即時停戦が不可欠


MSFは、イスラエル軍によるアル・シファ病院に残る民間人への攻撃を断固非難する。すべての紛争当事者による緊急かつ無条件の停戦が必要であり、今すぐガザ地区全域に人道援助を提供しなければならない。


またMSFは、国際人道法の尊重を繰り返し求めてきた米国、英国、カナダ、アラブ連盟、イスラム協力機構(OIC)、欧州連合(EU)に対し、今すぐ停戦のための行動を起こすよう強く求める。ガザで繰り広げられている惨状は、自制と国際人道法遵守の要請が聞き入れられなかったことを明確に示している。停戦に向けて目的意識を持って取り組むこと以外に、民間人の保護を確保する方法はない。


10月7日以降、負傷者は多数にのぼり、その多くが重篤な状態にあって複雑な手術や数週間から数カ月にわたる持続的な治療を必要としている。しかしその実現には、完全な停戦と、食料、燃料、水へのアクセスを含む人道援助の無条件供給が不可欠である。

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業種
医療・福祉
本社所在地
東京都新宿区馬場下町1-1  FORECAST早稲田FIRST 3階
電話番号
03-5286-6123
代表者名
村田慎二郎
上場
未上場
資本金
-
設立
1992年12月