史上初!「沖縄県知事」をテーマに基地問題へ新たな光をあてる新刊書籍『沖縄県知事 その人生と思想』(野添文彬著・新潮選書)が9月22日に発売!

9月11日、県知事選投開票。沖縄の日本復帰50年の歩みを振り返り、未来を占う決定版

株式会社新潮社

 新潮社は、沖縄米軍基地問題研究の第一人者である国際政治学者・野添文彬氏(沖縄国際大学准教授)の新刊『沖縄県知事 その人生と思想』(新潮選書)を9月22日に刊行いたします。
 沖縄が日本に復帰した1972年以降、現在まで8代にわたる知事たちは、日本政府やアメリカ政府・米軍とどのように対峙し、基地問題や経済発展、県民の暮らしの向上にいかに取り組んできたのでしょうか?

 「沖縄県知事」を題材とする史上初の書籍である本書は、歴代知事たちの生い立ちや思想から県政運営を論じることで、「基地か経済か」「日本政府との協調か対立か」の二項対立では読み解けない沖縄問題の深層を解明し、硬直化した状況を解きほぐす糸口を提言します。

◆節目の年に行われる県知事選の意義とは?
 8月25日、沖縄県知事選(9月11日投開票予定)が告示されました。現職の玉城デニー知事、前回の県知事選にも出馬した自民・公明推薦の佐喜眞淳氏に加えて、元衆議院議員の下地幹郎氏が出馬。これまでの知事選と同様、普天間基地の辺野古移設の是非も争点となることは必至です。
 今年、沖縄は1972年の日本復帰から50年を迎えました。この節目の年に行われる県知事選は、これまでの沖縄の歩みを振り返り、未来を占うための機会として、結果が注目されています。


◆「基地か経済か」では済まない立場、「沖縄県知事」
 沖縄といえば、普天間基地の移設問題をはじめとする「米軍基地問題」が知られています。
 これまで、この問題が取り上げられる際には「日米安保や米軍基地を受け入れ、経済振興を重視する保守」と「日米安保および米軍基地に反対し、平和や人権を重視する革新」という二項対立の構造が定番化してきました。
 しかし、そうした二項対立では沖縄政治は理解できない、と著者の野添氏は書きます。
 そこで野添氏が注目するのが、県内世論をまとめ、いち自治体の首長の立場でありながら日本政府や米軍とも直接対峙・交渉してきた特殊な存在、「沖縄県知事」です。
 「そもそも沖縄県知事の仕事は、現行の法や行政の制度の下で各利害関係者の間の調整を図りながら問題解決を目指すことである。つまり知事は、「行政」の立場から「運動」とは一定の距離を置いて県政運営を行わなければならない。
 そして知事は、保守・革新といった政治的立場にかかわらず、県民全体の利益を追求する必要があった。
 それゆえ歴代の沖縄県知事は、自身は「県民党」であり超党派的立場であることを強調し、県内をまとめるべくリーダーシップを発揮してきたのである。」(本書より)


◆知事から見えてくる、まったく新しい沖縄現代史
 本書は、日米両政府と県民の狭間で苦闘しながらも、問題解決に向けてしたたかに行動してきた復帰後8代の知事たちを描くことで、単純な二項対立構造を相対化する、新しい沖縄現代史を浮かび上がらせます。
 西銘順治(第二代、在任1978−90年)、稲嶺惠一(第五代、在任98-2006年)、仲井眞弘多(第六代、在任2006−14年)といった保守系の知事たちも時に政府と対立し、一方で、屋良朝苗(初代、琉球政府行政主席在任1968-72年、知事在任72-76年)、大田昌秀(第四代、在任1990-98)のような革新系の知事たちもしばしば政府と協調してきました。
 時に「苦渋の決断」を迫られてきた知事たちが、どのような人生を歩み、どのような思想を培ってきたのかを辿りながら、本書は彼らが沖縄や日本、国家や安全保障に対してどのような思いを持ち、県政を執り行なってきたのかを描き出します。


◆日本政府と沖縄県、硬直化の背景が明らかに
 こうした新しい沖縄史のストーリーを通じて、近年、日本政府と沖縄県の間で基地問題をめぐり対立が硬直化している背景に、日本政治や沖縄を取り巻く環境の構造的な変化があることを本書は明らかにします。
 そして「おわりに」では、現在の状況を解きほぐすための糸口とは何かを結論づけています。
 沖縄の政治から、日本の政治や安全保障のあり方まで見えてくる、新世代による必読の沖縄論です。
 


■書籍内容
【目次】
はじめに

第一章 屋良朝苗――眉間の縦ジワが示したもの
1. 屋良天皇と呼ばれた男
2. 「即時無条件全面返還」の衝撃
3. 「復帰は迎えねばならぬ」
4. 琉球政府から沖縄県へ

第二章 平良幸市――「土着の人」はなぜ倒れたか
1. 「己のみ生きながらえて」
2. 沖縄社会大衆党
3. 「日米安保、空白」の四日間

第三章 西銘順治――沖縄の「保守」とは何か
1. ディズレーリに憧れて
2. 沖縄保守のドン
3. 交渉のカード
4. 国際秩序の変化

第四章 大田昌秀――「学者知事」の理想と躓き
1. 鉄血勤皇隊からの米国留学
2. 変化への期待
3. 「もうやるしかない」

第五章 稲嶺惠一――「魚より釣り具」を求めた経済人
1. 「財界人・稲嶺一郎の子」として
2. 小渕政権との「あうんの呼吸」
3. 変質する自民党

第六章 仲井眞弘多――元官僚が目指した沖縄の「自立」
1. 標準語しか話さない通産官僚
2. 基地問題の「別のやり方」
3. 「最低でも県外」発言以後

第七章 翁長雄志――なぜ保守が「オール沖縄」を作ったのか
1. 保守政治家の一家
2. 日本への思いと歴史認識
3. 基地問題の「原点」は

第八章 玉城デニー――「戦後沖縄の象徴」となった異色の知事
1. 基地の街で育った少年
2. デニーショック
3. 弔い合戦、その後

おわりに

 

■筆者紹介:野添文彬 のぞえ・ふみあき
沖縄国際大学法学部地域行政学科准教授。専門は国際政治学、日本外交史、沖縄基地問題。1984年生まれ、滋賀県出身。一橋大学経済学部卒業後、同大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。主な著書に『沖縄返還後の日米安保 米軍基地をめぐる相克』(吉川弘文館、2016年/沖縄協会沖縄研究奨励賞、日本防衛学会猪木正道賞奨励賞受賞)、『沖縄米軍基地全史』(同、2020年)がある。第二次大戦後、日米両政府の交渉の過程で沖縄に米軍基地が集中していった経緯を、一次資料に基づき丁寧に検証した「基地問題研究」の第一人者。


■書籍データ
【タイトル】沖縄県知事
【著者名】野添文彬
【発売日】2022年9月22日
【造本】四六変型
【本体定価】1,760円(税込)
【ISBN】978-4-10-603889-1
【URL】 https://www.shinchosha.co.jp/book/603889/

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会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区矢来町71
電話番号
03-3266-5220
代表者名
佐藤隆信
上場
未上場
資本金
8000万円
設立
1896年07月