ハーバード教育大学院で活躍の心理学者が「みんな同じ」に潜む危険性を解説! 個人・社会の「幻想」を打破する『なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術』が発売

ぶれない思考と正しい認識を身につけ、豊かな人生を送るための必読書

株式会社NHK出版

ハーバード教育大学院で〈個性学研究所〉を設立した心理学者トッド・ローズ著『なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術』が、NHK出版より5月25日に発売されます。脳科学・心理学の知見と多くの事例をもとに、個人・社会に大きな弊害をもたらす「集合的幻想」にとらわれる過程、打破する方法を解説した現代に必読の1冊です。

トッド・ローズ『なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術』2023年5月25日刊トッド・ローズ『なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術』2023年5月25日刊

勘違い、誤解、思い込みから起きる「集合的幻想」は、個人・社会に大きな弊害をもたらす!

・日本人男性の育休取得が進まない「思い込み」の罠

・「勘違い」による買い占めが引き起こした「本当の」品不足

・飛行機墜落事故の原因となった「思い込み」

・移植用腎臓の10%が無駄になる「誤解」の連鎖


 「集合的幻想」とは、事実に見えたことが実際には思い込みだったにもかかわらず、間違った認識に基づいて大勢が行動すること。集団に属する個人の過半数が、ある意見を内心では拒絶しながら、ほかのほとんどの人はそれを許容していると(誤って)推定することで発生する。集団の総意をひとり合点して指針にすれば、誰も望んでいない行動をとることになりかねない。


脳の予測ミスで「幻想」が起きる

 時間と精神的エネルギーを節約するため、脳は2つのことをしている。1つは、アップロードする情報の選別。もう1つは、超高速の予測。事前の知識と経験をもとに、意識的思考が割り込む隙もなく、欠落した情報が補われる。

 たとえば、次の図を見てほしい。AとBのマスは、どちらのほうが明るいだろうか? 当然、Bだと思うだろう。


 ところが実際には、AもBもまったく同じ明るさだ。ではなぜ、そう見えないのだろうか? それは、暗がりで見た薄灰色が非常に暗く感じられた過去の経験から、影がかかることによる外見上の効果を脳が知っているからだ。この図を見ると、ありのままの現実(2つのマスは同じ明るさである)と脳の予測(Bは影のせいで暗く見えるが実際にはAよりも明るい)との衝突が起こる。その結果、予測したもののほうが勝ち、脳は予測に合わせる形で文字どおり現実を書き換えてしまうのだ。

 追加の証拠として、図に2本の線を引いてみたので次の図を見てほしい。線でつながったAとBのマスが同じ明るさであることがわかりやすくなっただろう。

 この世界の速いペースについていくには、いま抱えていることに絶えず予測を働かせなければならない。それは自己保存本能の一部だ。しかし、その予測のせいで、入ってくるすべての情報がゆがむという問題がある。なかでも社会的な状況では、他者の考えについての憶測が積み重なりやすく危険だ。個人や集団についての推測も、正確さではマスの明るさを見分ける能力と変わりない。私たちを集合的幻想の被害者だけでなく発生源にもしている元凶が、この推測の問題だ。


まずは誤解だと気づくこと

 成功の定義に関するシンクタンクの調査結果では、回答者が思う一般的意見と実際の一般的意見に大きな隔たりがあるという集合的幻想が浮き彫りになった。回答者の97パーセントは、「自分の興味と才能に沿って行動し、好きなことを最大限追究する」ことを成功の定義とした。一方で、世間一般では富と名声を得ることが成功と考えられているという回答も、ほぼ同数の92パーセントにのぼった。

 自分のなかでの成功と、みんなのなかでの成功はまったく違うと考えているということだ。実際にはほとんどの人にとって、教育や人間関係、人格で測られる「よき人生」が大切で、ステータスは重要度が最も低い。

 幻想に屈することは自分だけでなく他者にも影響する。近しい家族や友人とのあいだで起こる推測の誤りは所属する集団のなかでも発生し、多数派の意見を読みまちがう結果となる。しかし最大の悲劇は、「みんな」の価値観も実際には自分と違わないことにある。互いに言わないだけ、気づいていないだけなのだ。情報の氾濫、少数意見の膨張、認知的な近道のせいで、共通の価値観をともに歓迎することができないでいる。「いいね!」がつかないことを恐れるせいで、共有しているはずの現実が語られず、認識されずにいる。

 いまやソーシャルメディアを避けて暮らすことはできず、またテクノロジーやメディアにこの問題の解決は期待できない。解決策は私たち自身のなかにある。まずは、集団について思っていることのほとんどは誤解だと気づくことだ。それらの幻想が自分の行動におよぼす影響も、実生活のコミュニティ・メンバーへの見方におよぼす影響も制御できる。誰にでも、かならずできるようになる。脳が社会的現実を正確に読み取ってくれると信頼することは、もはやできないと気づくべきだ。

 

  • 『なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術』目次

はじめに――ある小さな町の秘密

第1部 同調世界の闇

 第1章 裸の王様たち――「物まね」の連鎖が起きる理由

 第2章 仲間のためなら噓もつく――個の利益より集団の利益

 第3章 裏切りの沈黙――脳が求める多数派の安心感

第2部 社会に潜む罠

 第4章 模倣の本能――他人のまねが絆をつくる

 第5章 多数派の恐ろしさ――「自分はバカじゃない」ルール

 第6章 安全さの落とし穴─―「みんな」の価値観は誤解だらけ

第3部 パワーを取り戻す

 第7章 自己一致を高める――満たされた人生のために

 第8章 信頼は何よりも強い――不信の幻想を打ち砕く

 第9章 真実とともに生きる――信念に基づく声の力

 

  • 著者紹介

© Jon Speyers© Jon Speyers

トッド・ローズ(Todd Rose)

誰もが活気ある社会で満ち足りた人生を送れるような世界の実現を目指すシンクタンク〈ポピュレース〉共同設立者・代表。ハーバード教育大学院心理学教授として〈個性学研究所〉を設立したほか「心・脳・教育プログラム」を主宰した。著書に『ハーバードの個性学入門――平均思考は捨てなさい』(早川書房)、『Dark Horse――「好きなことだけで生きる人」が成功する時代』(共著、三笠書房)がある。



  • 商品情報

なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術
著者:トッド・ローズ
出版社:NHK出版
発売日:2023年5月25日
定価:2,640円(税込)
仕様:四六判
ページ数:352ページ
ISBN:978-4-14-081939-5
NHK出版ECサイト:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000819392023.html
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4140819391/

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会社概要

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業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区宇田川町10-3
電話番号
03-3464-7311
代表者名
江口貴之
上場
未上場
資本金
6480万円
設立
1931年04月