科学体験の子どもの興味の幅広さと「情熱」の高さが明らかに!学年が上がると情熱が薄れる傾向も
〜「サイエンスかながわ」2025年度 人材育成アンケート調査レポート〜
子どもたちの体験格差や科学技術への関心が注目される中、「いこーよ」の研究機関である「いこーよ子どもの未来と生きる力研究所」では、神奈川県の科学技術人材育成事業「サイエンスかながわ」の一環として、神奈川県政策局いのち・未来戦略本部室 科学技術グループと連携し、2025年度の調査を実施しました。本調査は、国立大学法人横浜国立大学 教育学部 久保尊洋准教授の監修のもと、2025年7月〜2026年2月にかけて、科学館や科学イベントに参加した子ども(291名)、一般の子ども(426名)を対象に実施しました。
その結果、科学体験に参加している子どもは、一般の子どもに比べて「科学好き」が顕著であるだけでなく、全体的に興味の幅が広く、「情熱」スコアも高いことがわかりました。また、科学体験への参加が自発的であるほど、子ども自身の主体性や自己決定感と深く結びついていることが示されました。一方で、学年が上がるにつれて「情熱」が薄れていく傾向があることも今回の調査で明らかになっています。
※この調査内容を各種メディアに掲載・引用される場合は、掲載前に弊社広報(pr@actindi.net)にご連絡いただき、掲載・引用先に「神奈川県・いこーよ子どもの未来と生きる力研究所分析」のクレジットと記事のURL(https://research.iko-yo.net/solutions/research/13431.html)を記載ください。
<ポイント>
・サイエンスかながわとは
・科学体験の子どもは「科学好き」が顕著。興味の幅も一般の子どもより広い傾向
・一般の子どもで科学体験が0回の子は、興味が「動画」に集中する傾向
・科学体験の子どもは「情熱」スコアが全般的に高く、科学体験0回の子どもは低い傾向
・科学体験に自発的な子どもは「科学実験」「天文・宇宙」「ロボット・プログラミング」への興味が高い
・好きな活動での興味拡大体験や自己決定経験が科学体験への自発性につながる可能性
・学年が上がると「情熱」が薄れる可能性
・まとめ
(本リリースは、「サイエンスかながわ」2025年度 人材育成アンケート調査レポート」を一部抜粋して作成しています。全文はこちら)
サイエンスかながわとは
「サイエンスかながわ」とは、神奈川県が未来を担う子どもたちに科学の楽しさを伝え、科学技術人材を育成することを目的とした取り組みです。2025年度は、県内の科学館・大学・研究機関・企業等が連携し、子ども向け科学体験イベントの開催や、科学館を複数訪問するデジタルスタンプラリー(NFT活用)なども実施されました。
その枠組みの一環である、人材育成アンケートは、Murabo!(村田製作所)、ミツトヨ測定博物館、シルク博物館、ニュースパーク(日本新聞博物館)、川崎市地球温暖化防止活動推進センター、サイエンスかながわデジタルスタンプラリー(NFT)参加者、いこーよサイエンスフェスタ参加者(以下、科学体験の子ども)のご協力をもとに実施しました。
サイエンスかながわの詳細はこちら
科学体験の子どもは「科学好き」が顕著。興味の幅も一般の子どもより広い傾向
まず、科学体験の子ども(291名)と一般の子ども(いこーよアンケートモニターに調査、426名)の興味分野を比較した結果がこちらです。

科学体験の子どもは、「科学」への関心が特に顕著に高く、「読書」においても一般の子どもとの差が見られます。さらに、全体的に興味の幅が広い傾向があります。
一方、一般の子どもの方が科学体験の子どもよりも興味が高かったのは、「アニメ」「動画」「SNS」の3分野のみでした。科学体験をはじめとする様々な体験活動が、好奇心のきっかけとなり興味が広がっていく可能性があります。
一般の子どもで科学体験が0回の子どもは、興味が「動画」に集中する傾向
次に「最も興味ある分野」(単数回答)について回答した結果がこちらです。

一般の子ども、特に直近1年で科学体験が0回の子どもでは、「動画」「ゲーム等」「スポーツ」に回答が集中していることがわかります。
科学体験の子どもではこれらの分野への集中は見られず、興味の分散・多様性が高い結果でした。子どもたちが受動的にゲームや動画視聴をすることを懸念するだけではなく、科学館やイベントなどの体験活動を通じて、より能動的な好奇心のきっかけを作っていくことが重要といえます。
科学体験の子どもは「情熱」スコアが全般的に高く、科学体験0回の子どもは低い傾向
科学体験と「子どもの情熱(※1)」の関係について分析をしました。

※平均値は、7つの選択肢のうち「非常にあてはまる」を7点、「全くあてはまらない」を1点として算出
「子どもの情熱」に関する項目を比較すると、科学体験の子どもは一般の子どもと比較して情熱項目が全般的に高いスコアを示しました。
詳細は「サイエンスかながわ」2025年度 人材育成アンケート調査レポートをご覧ください。
科学体験に自発的な子どもは「科学実験」「天文・宇宙」「ロボット・プログラミング」への興味が高い
次に、科学体験への参加動機に着目し、「自発的に参加した子ども(「自分で来たいと思ってきた」と回答)」と「連れてこられた子ども(「まぁ、来てもよいと思ってきた」あるいは「連れてこられただけ」と回答)」を比較しました。
連れて来られた子どもでは女性の子どもの比率がやや高い傾向が見られました。また、学年では、自発的に参加した子どもで小学4年生の割合が高いのが特徴です。
科学体験に自発的に参加した子どもと連れてこられた子どもとで、興味分野に違いがあるかを見たのが次のグラフです。

科学体験に自発的に参加した子どもは、科学分野の中でも特に「科学実験」「天文・宇宙等」「ロボット・プログラミング等」への興味が高いことがわかりました。特に「科学実験」での差が大きいのが特徴です。
詳細は「サイエンスかながわ」2025年度 人材育成アンケート調査レポートをご覧ください。
好きな活動での興味拡大体験や自己決定経験が科学体験への自発性につながる可能性
科学体験に自発的に参加した子どもと、連れてこられた子どもとで、「子どもの情熱」にどのような差があるのかを分析しました。
科学体験に自発的に参加した子どもは、連れて来られた子どもと比べて以下3つの実感が高いのが特徴です。
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「一番好きな活動は、興味を持つきっかけを与えてくれる」
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「一番好きな活動は、学校や家でやらないといけないことと両立している」
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「普段から自分でやりたいことを選べている」
つまり、好きな活動を通じて興味が広がった経験(興味きっかけ実感)、やりたいことと日常をバランスよく両立できている感覚(自己管理実感)、そして自分で活動を選べているという自己決定の実感が、科学体験への自発性を生む可能性があると考えられます。
子どもが「好き」を見つけ、自分で選び取る体験を積み重ねることが、主体的な学びへの姿勢を育む鍵といえるのではないでしょうか。
詳細は「サイエンスかながわ」2025年度 人材育成アンケート調査レポートをご覧ください。
学年が上がると「情熱」が薄れる可能性
続いて、「情熱項目(良い情熱に関連する指標)」のスコアと子どもの属性との関連を、一般の子どもの調査データ(426名)を用いて分析しました。
分析の結果、性別や地域による構成比のパターンに差はほぼ見られませんでした。しかし、学年(年齢)については構成比のパターンに差が見られました。
情熱に関する質問項目である「興味きっかけ実感」「やりたいこととの両立実感」「自己管理実感」について、いずれの項目でも、高得点層には低学年の割合が高く、低中得点層には高学年の割合が高くなる傾向があります。
そこで、低学年(1〜3年生)と高学年以上(4年生以上)の情熱の平均得点を比較したところ、高学年以上のほうが情熱の得点が有意に低いことが示されました(※2)。
すなわち、学年が上がるほど「情熱」が薄れていく可能性があります。小学校の高学年になるにつれ、習い事や学業などの義務的な活動が増え、自分でやりたいことを選べる余地が狭まっていく可能性が考えられます。
科学館や体験施設が、子どもたちの「好き」「やってみたい」という気持ちを継続的に引き出す場として機能することが、より一層重要です。特に、高学年以上の子どもたちが自発的に科学体験に参加し続けられるような働きかけやコンテンツ作りが求められていると感じます。
詳細は「サイエンスかながわ」2025年度 人材育成アンケート調査レポートをご覧ください。
まとめ
今回の「サイエンスかながわ」2025年度人材育成アンケートから、以下のことが明らかになりました。
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科学体験の子どもは「科学好き」が顕著で、全体的に興味の幅も広い。一般の子ども(特に科学体験0回の子ども)では興味が「動画」「ゲーム」に集中する傾向がある。
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科学体験の子どもは「情熱(良い情熱)」スコアが全般的に高く、体験機会の少ない子どもは情熱も低い。科学体験の頻度と子どもの主体性・情熱には関連が見られる。
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科学体験に自発的に参加した子どもは、「科学実験」「天文・宇宙」「ロボット・プログラミング」への関心が特に高い。「好きな活動が興味のきっかけになっている」「自分でやりたいことを選べている」という実感が自発性につながる可能性がある。
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情熱の数値が高い層は低学年の方が多く、低い層は高学年が多い。つまり、学年が上がると情熱が低下する可能性がある。性別・地域による差はほぼ見られなかった。
子どもが科学の面白さに出会い、「やってみたい」という自発的な動機を育てるためには、科学館や体験施設が年齢を問わず子どもの好奇心を刺激し続ける場であることが重要です。また、親や大人が子どもの自己決定を尊重し、興味を持つきっかけを大切にすることが、長期的な科学技術人材の育成につながると考えられます。
<調査概要>

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調査目的 |
サイエンスかながわの科学館やサイエンスイベントに参加した子どもの属性・興味関心・体験後の変化等を把握し、効果の検証や今後の示唆を得る |
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調査対象 |
①科学体験の子ども(N=291):サイエンスかながわ施設来場者へのWebアンケート |
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対象学年 |
小学生〜高校生(小学生は保護者が回答、中学生以上は本人が回答) |
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調査期間 |
2025年7月〜2026年2月 |
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調査地域 |
①神奈川県を中心に首都圏 ②全国 |
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調査・分析 |
いこーよ子どもの未来と生きる力研究所 |
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監修 |
横浜国立大学教育学部 久保尊洋准教授 |
本記事に関するお問い合わせは、いこーよ子どもの未来と生きる力研究所までお気軽にご連絡ください。
■神奈川県ホームページ
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/bs5/cnt/f7414/

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