アフガニスタン:医療教育からの女性排除は国の医療に深刻な影響をもたらす
アフガニスタンで医療教育機関への女性の通学が禁止されたことを受け、国境なき医師団(MSF)は、この措置は同国の女性の健康に深刻な影響が及ぶと懸念を表明する。
この新たな制約は、公共や職場からの女性排除が新たな段階に進んだことを示している。アフガニスタンでは女性医療者の数が不十分で、男女で病棟が分かれていることから、すでに医療の提供に影響が出ている。質の高い医療を受けることはさらに難しくなり、将来の医療アクセスに深刻な危機をもたらすと考えられる。
女性がいなければ医療システムは成り立たない
アフガニスタンで活動責任者を務める末藤千翔はこう話す。
「教育を受けた女性医療従事者がいなければ、医療システムは成り立ちません。MSFでは、医療スタッフの半数が女性です。医療教育機関で女性の就学を禁止するという決定は、教育と公平な医療提供の両面から、女性をさらに排除することになります」
アフガニスタンにおける医療ニーズは膨大であり、それに対応するためには、より多くのアフガニスタンの女性医療者を養成する必要がある。 そのためには、女性が教育を受けることが不可欠だ。 2024年、2022年、2021年に行われた教育制限により、将来の女性医療者の数は大幅に減る。妊産婦のケアには女性スタッフが欠かせないが、MSFにとって世界で最も多忙な産科の一つがあるホーストでは、助産師や産婦人科医を含め、必要な人員をすべて埋めることはすでに困難だ。MSFはアフガニスタンで、2024年1月から6月までに2万2300件の分娩を介助した。
全ての性別による医療提供が不可欠
「もし、女性が中等学校や大学、医療教育機関に通えないのなら、未来の女性医療者はどこから来るのでしょうか。また、アフガニスタンの女性たちが困難な状況の時に、誰か彼女たちのケアをするのでしょうか。必要不可欠なサービスをすべての性別の人が利用できるようにするために、すべての性別によってサービスが提供されなければなりません」と、末藤は語る。
MSFはアフガニスタンで、必要とするすべての人びとに医療を提供する方針を守り、女性が医療教育やより広範な教育を受け続けられるよう引き続き訴えていく。
<アフガニスタンにおけるMSFの活動>
MSFはヘルマンド、クンドゥーズ、ヘラート、ホースト、カンダハール、バーミヤンで7つのプロジェクトを運営し、特に二次医療の提供に力を入れている。 2023年、MSFは13万2600件以上の外来診察、9万6000件の入院患者の受け入れ、38万3600件の救急外来診察、1万5200件の外科手術、4万5260件の分娩介助を行った。 通院栄養治療センターでは1万500人の患者に対応し、入院栄養治療センターには1万2500人の患者が入院した。
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