国立大学法人大分大学×株式会社アデランス 共同研究10年間の成果を踏まえ、抗がん剤脱毛の予防・毛髪再生を研究する寄附講座を設置

大分大学の研究対象である「αリポ酸誘導体」を用いた、抗がん剤脱毛予防・毛髪再生の研究に関する産学連携プロジェクト

 国立大学法人大分大学(大分県大分市、学長 北野 正剛)と株式会社アデランス(東京都新宿区、代表取締役社長 津村 佳宏)は、抗がん剤治療の副作用である脱毛の予防並びに毛髪再生に関して、2022年6月15日(水)に寄附講座「先端がん毛髪医療開発講座[アデランス]」を設置することで合意いたしました。本寄附講座につきましては2022年7月1日(金)に設置となります。
 大分大学とアデランスは抗がん剤脱毛に対する取り組みとして産学連携共同研究を2013年より継続して行ってきており、基礎研究による抗がん剤脱毛のメカニズム解明(学術雑誌「Cancer Science」で報告)、αリポ酸誘導体の抗がん剤脱毛後の回復促進効果を示した多機関共同臨床研究(学術雑誌「Breast Cancer Research and Treatment」で報告)、αリポ酸誘導体を用いた頭皮ケアローション開発など多くの成果が得られてきました。

 近年、日本では年間約100万人が新たにがんに罹患し、2人に1人が一生のうちに、がんと診断されます。がん治療の進歩により、罹患後の生存期間が延長し、働きながら外来通院治療を継続する患者様も増えた現代において、がん患者様のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の改善、脱毛をはじめとする外見の症状に対するケア、毛髪を用いた新しい健康管理、医療ケアの研究開発など、従前にも増してその研究の重要性と社会的な意義が高まってきています。抗がん剤治療は手術、放射線治療と並び、がん治療の3本柱の一つであり、多くのがん患者様が抗がん剤治療による脱毛に苦しんでいますが、十分な予防法はありません。これまでの共同研究において、私たちは基礎・臨床研究において抗がん剤脱毛機序の解明や、抗酸化物質αリポ酸誘導体の脱毛に対する有用性を示しており、今後この研究成果は多くのがん患者様のQOL向上に貢献することが期待されます。

 このような中で大分大学とアデランスの双方は、αリポ酸誘導体の新たなる用途の発掘、国内外での医療ニーズに応える国際展開、がん患者様のQOL向上など社会の多様な要請に応えるためには既存の共同研究の枠組みを発展させ、研究教育組織としての寄附講座を設置する事が有効であると判断したことから寄附講座設置に合意いたしました。

猪股 雅史教授(左)、北野 正剛学長(中央)、津村 佳宏社長(右)猪股 雅史教授(左)、北野 正剛学長(中央)、津村 佳宏社長(右)

■寄附講座設置に関して
▶大分大学 学長 北野 正剛コメント
 大分大学は教育研究の成果を社会に還元し、その発展に貢献する役割を担っています。本寄附講座は、産学連携による研究開発体制を整備し、がん患者様のQOL向上をめざした毛髪関連の研究を推進、共有することで、より実用的な製品開発を行えるほか、がん患者の症状に対するケア・マネジメントを行える人材の育成にも繋がるものであり、寄附講座設置の意義は非常に大きいと思います。

【北野学長プロフィール】
 和歌山県出身。1976年九州大学医学部卒業。1996年大分大学医学部第一外科教授、2011年10 月より大分大学長。専門は消化器外科、内視鏡外科、消化器内視鏡。消化器腹腔鏡手術の権威として知られ、1990年に西日本でいち早く腹腔鏡下胆嚢摘出術を導入して以降、消化器外科全般への応用に向け、先頭に立って手技の開発および適応の拡大を図ってきた。日本内視鏡外科学会・日本消化器外科学会の名誉理事長。また一般社団法人アジア医療教育研修支援機構理事長や一般社団法人日本ルックスケア医学会、公益社団法人国際化粧療法協会理事長などを務める。

▶講座責任者の大分大学医学部 消化器・小児外科学講座教授 猪股 雅史コメント
 本学では、抗がん剤脱毛の研究を先進的に行ってきたこともあり、グローバル企業との連携による講座を新規に設置することで,さらに治療開発を推進し、日本だけでなく抗がん剤脱毛に苦しむ世界中の多くの患者様を救うことに大きく寄与することが期待できると考えております。

【猪股教授プロフィール】
 大分県出身。1988年大分医科大学医学部卒業。2010年大分大学医学部総合外科学第一講座 准教授。2014年、同消化器・小児外科学講座教授。2020年、同付属病院副院長、卒後臨床研修センター長兼任。2011年、抗がん剤副作用に関する研究で、7th OOTR(国際腫瘍トランスレーショナルリサーチ学会;香港)にてBest Award受賞。2012年、第17回日本臨床毛髪学会(東京)にて平山賞受賞。2015年、JCOG下山賞受賞。専門は消化器外科、腫瘍外科、内視鏡外科。

▶アデランス 代表取締役社長 津村 佳宏コメント
 株式会社アデランスはこれまで毛髪に悩む世界中の人々を笑顔にすべく経営理念の一つである「最高の商品」を追求し、大学との産学連携での共同研究を積極的に実施して参りました。主に毛髪およびスキンケアの研究で、多くのイノベーションが生まれました。大分大学との研究についても、北野学長、猪股教授を始め、大分大学を中心に「癌・炎症と抗酸化研究会(CIA研究会)」に所属する医療機関と協力し、新規αリポ酸誘導体の素晴らしい機能を元に研究をスタートし、研究を追求した結果、高いエビデンスを取得し、社会貢献に繋がりました。更に本研究の精度を上げるべく、寄附講座を設置し、抗がん剤脱毛や抗がん剤による皮膚障害に悩む人々を少しでもサポートすべく研究を進めて参りたいと存じます。

■毛髪に関するそれぞれの活動
▶大分大学

 大分大学医学部では、2009年から当時の総合外科学第一講座の北野 正剛教授(現学長)、麻酔科学講座の野口 隆之教授を中心に、抗酸化剤とがんや炎症などの疾患との関係を明らかにする研究を始め、2010年に「癌・炎症と抗酸化研究会(CIA研究会)」を立ち上げました。その中で、がんの治療効果の向上とともに抗がん剤の副作用軽減に向けた研究も行ってまいりました。
 抗がん剤の作用は正常な細胞にも及び、細胞の増殖が盛んな毛母細胞においては副作用として脱毛が生じます。抗がん剤治療時の脱毛は患者様に心理的苦痛を与え、抗がん剤治療を拒否する要因ともなり、その予防や治療法の開発は早期に対処すべき課題と捉えられていました。そこで、大分大学では猪股 雅史准教授(現教授)ら消化器・小児外科学講座が中心となって、麻酔科学講座、皮膚科学講座、分子病理学講座および総合臨床研究センターなどの研究チームにより、新規抗酸化剤(αリポ酸誘導体)の生体内エネルギー代謝やレドックス(酸化・還元反応)制御への関与の他、抗酸化作用、抗がん剤誘発脱毛に対する抑制効果を、基礎実験を中心に明らかにしました。
 また化学療法を施行する乳がん患者様を対象とした臨床研究においては、αリポ酸誘導体の頭皮への塗布が抗がん剤脱毛後の回復を促進する効果を示しました。

▶アデランス
 1968年の創業以来、総合毛髪関連事業のリーディングカンパニーとして、お客様お一人お一人異なる髪のお悩みやご要望にお応えすべく、さまざまなソリューションをご用意し提供し続けてまいりました。髪と頭皮の健康チェックから、育毛サービス、増毛サービス、ウィッグの提供など、日々、商品・サービスの開発に励んでおります。アデランスグループは国内のみならず、海外にも展開し、米国・スペインでは植毛事業にも取り組んでいます。また、ヨーロッパでは日本の病院内理美容室(サロン)の開設をビジネスモデルにスウェーデンでの導入が2011年からスタートし、現在ではオランダやドイツにも展開しています。
 毛髪と頭皮の研究を深めるために、大学との連携も進め、2006年より大阪大学大学院医学系研究科に寄附講座を設置。現在では乾 重樹特任教授を中心に、薄毛で悩む人々への新たな解決策の提供を目指しています。

■抗がん剤の副作用による脱毛や痛みのメカニズムと「αリポ酸誘導体」の作用
 抗がん剤の副作用による脱毛や痛みのメカニズムはいまだ明らかにされていません。動物実験において、抗がん剤により皮膚毛包周囲血管の透過性が亢進し、脱毛の病態の一要素になっていることを明らかにし、また抗がん剤に誘発される脱毛がαリポ酸誘導体などの新規抗酸化剤投与によって抑制され、その際に皮膚の炎症細胞浸潤の軽減、毛根・毛幹障害の抑制、酸化ストレスの抑制、アポトーシス誘導の抑制などが生じていることを明らかにしました。


■寄附講座概要
名称     :先端がん毛髪医療開発講座[アデランス]
開設期間   :2022年7月1日~2025年6月30日
目的     :αリポ酸誘導体の新たなる用途の発掘、
        国内外での医療ニーズに応える国際展開、がん患者様のQOL向上など
講座責任者  :大分大学医学部 消化器・小児外科学講座 教授 猪股 雅史(併任教授)
主要スタッフ :大分大学医学部 皮膚科学講座 教授 波多野 豊(併任教授)
        大分大学医学部 先端がん毛髪医療開発講座 准教授 河野 洋平
        大分大学医学部 先端がん毛髪医療開発講座 客員准教授 平塚 孝宏
        ※河野准教授、平塚客員准教授は講座設置予定日の7月1日就任予定です。

【寄附講座設置までの経緯】
2010年 <大分大学>
・新規抗酸化物質(αリポ酸誘導体)新用途発見
・“抗がん剤脱毛予防効果”特許申請
2013年 <大分大学・アデランス>共同研究の開始
2014年 <大分大学>“抗がん剤脱毛予防効果”特許確定(特許第5578997号)
2018年 <大分大学・アデランス>共同研究商品の開発・上市
2019年 <大分大学>多機関共同臨床研究による臨床有用性評価の報告(学術雑誌「Breast Cancer Research and Treatment」で報告)
2020年 <大分大学>基礎研究による抗がん剤脱毛のメカニズム解明の報告(学術雑誌「Cancer Science」で報告)
2022年  <大分大学・アデランス>寄附講座の設置

 

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