コンゴ民主共和国:東部ゴマで戦闘負傷者の医療ニーズ増大──当事者は人道アクセスの保証を
コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)では今週初め、コンゴ軍と反政府武装勢力「3月23日運動(M23)」との戦闘が、北キブ州の州都ゴマの市街地へ及んだ。戦闘にはそれぞれを支援する勢力も加わっている。
ゴマにあるキシェロ病院には多くの負傷者が運ばれ、国境なき医師団(MSF)は治療に当たっているが、戦闘の激化や物資の略奪により、医療活動には困難が伴う。MSFはゴマに新たなチームを派遣する準備を進めており、すべての紛争当事者に対し、人道的なアクセスを保証するよう求めている。
病院が銃撃や略奪の被害に
「キシェロ病院では、手術中に銃弾が手術室の屋根を貫通しました」と、ゴマでMSF緊急対応コーディネーターを務めるビルジーニエ・ナポリターノは語る。
「備蓄していた物資や医薬品が略奪され、ゴマやその周辺で医療活動をすることが難しくなっています。武装勢力による略奪はスタッフにも及び、自宅で銃撃を受けた同僚もいます。他の団体や医療施設も砲火を浴びています。これは決して許されることではありません」
厳しい状況が続く中、MSFはキシェロ病院で負傷者のケアを継続、さらに多くの負傷者を受け入れている赤十字国際委員会(ICRC)のヌドショ病院の支援も行っている。
キシェロ病院は23日以来、142人の負傷者を治療してきた。28日だけでも、37人の負傷者を受け入れたが、その半数は民間人で、民間人のほとんどは女性だった。負傷のほとんどは爆弾によるもので、銃創患者もいた。
さらに24日からは、断水と停電も発生し住民の生活に影響が出ている。MSFの患者や家族向けの食事提供も継続が危ぶまれている。食料の備蓄は2、3日分しかなく、治安の悪化、略奪の危険性、道路の閉鎖によって、補充ができない状況だ。
搬送先がなく子ども2人が死亡
治安の悪化と戦闘激化のため、MSFはゴマとその郊外の国内避難民キャンプで活動するチーム数を一時的に減らさざるを得なくなった。しかし医療・人道ニーズは高まる一方だ。ゴマ周辺のキャンプでは65万人がすでに2年以上暮らしていたが、ここ数週間で、数万人の避難民が新たに加わった。戦闘はキャンプ周辺地域にも及んでおり、人びとは再び住まいを追われている。
北キブのMSFの活動責任者、ステファン・ゲートゲブアはこう話す。
「この戦闘は市民に甚大な影響を与えています。MSFがアクセスできなくなった国内避難民キャンプからも悲惨な報告を受けています。カニャルチニャの避難民居住地ではMSFが支援している診療所が活動を続けていますが、今週はどこの病院にも搬送できず、2人の子どもが亡くなりました」
一刻も早く救急医療の拡充を
MSFは、ここ数日の略奪行為を受け、今後の対応と規模拡大の調査のため、ゴマに再びチームを派遣する準備をしている。物資の在庫を早急に補充し、救急医療を拡充させる必要があるが、それにはコンゴとルワンダの国境にある「グランデ・バリア」と呼ばれる地点を通ることが必要で、そのためには、関係当局の調整と保証が必要だ。
情勢が悪化の一途をたどる中、MSFは現在も、北キブ州と南キブ州の紛争地で活動を継続している。MSFは紛争当事者に対し、民間人保護の徹底を求めるとともに、国際人道法の最も基本的なルールを順守し、人道アクセスを保証して、市民に不可欠な医療援助を提供できるようにすべきだと訴えている。
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