横浜美術館は大規模改修工事のため、2021年3月1日(月)より休館し、2023年度中(予定)のリニューアルオープンを目指します
- 横浜美術館 館長 蔵屋美香より、休館にあたってのご挨拶
横浜美術館は、2021年3月1日より、大規模改修工事のため、2年を超える休館に入ります。再開館は2023年度中を予定しています。
横浜に美術を楽しむための本格的な拠点を、との市民のみなさまの声に支えられ、この美術館が開館したのは、1989年のことです。開発が始まったばかりのみなとみらい21地区にできた最初の建物のひとつで、開館当初、周囲にはまだ広大な土地が広がるばかりでした。設計は、戦後の日本を代表する建築家、丹下健三です。以来、展覧会を中心とした「みる」、アトリエの創作活動を中心とした「つくる」、約11万冊の蔵書を擁する美術情報センターを中心とした「まなぶ」の三つを柱として、活動を続けてきました。また2011年以降は横浜トリエンナーレのメイン会場として、海外からもたくさんのお客さまをお迎えしてきました。2019年の開館30周年にあたっては、多くの方から、人生の節目、節目に寄り添う美術館の思い出を寄せていただきました。長期の休館はこの32年で初めてのこととなります。
今回の改修のポイントを、私は次の二つにおきたいと考えています。
一つは空調設備の更新です。貴重な文化財である作品を保管し、次世代に引き継ぐことを使命とする美術館にとって、空調設備はもっとも重要なものの一つです。温度は22度±2度、湿度は55%±5%。展覧会によって細かく調整はしますが、これが大体展示室の温湿度の基準値です。この値がもし設備の不調により大きく上下すると、作品に使用されているカンヴァス地や紙が波打ったり突っ張ったりし、その上にのる絵具やインク、現像液などのひび割れや剥落を引き起こす可能性があります。温湿度の変化に敏感な木彫作品にも影響が及ぶでしょう。こうした事態を招くことのないよう、今回の工事で設備を整え、未来の万全な活動に備えるのです。
もう一つは、街との関係をより開かれたものとすることです。美術館の前には、みなとみらい駅から横浜駅東口方面を結ぶ軸線上に位置する「グランモール公園」があります。子どもたちの歓声が絶えない、気持ちのよい広場です。丹下健三は設計時、この広場と美術館をいかにつなぐか、という点を特に重視していました。この理念を引き継ぎ、広場から美術情報センターに直接入れる入口を設けたり、広場に面した部分に新しい展示ギャラリーを開設したりする予定です。広場から中に入ると、そこには横浜美術館名物の大空間、グランドギャラリーが広がっています。丹下建築の要となるこの部分はその意匠を大切に守りながら、バリアフリーの工夫を加え、より多様なお客さまに快適な鑑賞体験をお届けします。
なお、建物は工事休館となっても、わたしたちが活動の歩みを止めるわけではありません。国内有数の約13,000点の所蔵作品を詳細に研究し、データを整理、公開します。また、仮事務所での教育普及プログラムの実施に加え、市内各所に出向いてアウトリーチ活動も行う予定です。この期間を利用して、普段とはちょっと違う角度から、引き続きみなさまに美術の楽しさ、奥深さをお伝えしていきます。
32年間、ありがとう。そして次の30年も、その次の30年もまた、みなさまとともに。
2021年3月1日
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Tel.045-221-0300(代表) | Fax.045-221-0317
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