スーダン・北ダルフール州:暴力の激化を受け、避難民キャンプでの医療援助活動を停止
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スーダンの北ダルフール州の州都エル・ファシール近郊で避難民を受け入れているザムザム・キャンプ内外で、攻撃や戦闘が激化している。国境なき医師団(MSF)は、医療援助の継続が不可能なレベルまで危険性が高まったと判断し、仮設病院を含めたキャンプ内の全活動の停止を余儀なくされた。
この地域では準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」と、スーダン国軍と手を結ぶ武装集団の連合軍が激しい戦闘を繰り広げ、民間人に深刻な影響をもたらしている。現地では飢餓が広がり、人道ニーズは極めて高い。MSFは、援助の再開を模索するとともに、全ての紛争当事者に対し援助活動を妨げないよう求め、影響力を持つ国々が行動を起こす必要があると訴える。
救急車への銃撃も
2月に入ってからの3週間で、MSFはザムザム・キャンプにて運営する仮設病院で139人の負傷者に対応した。大半は銃弾と爆弾の破片による負傷だったが、この病院では重傷者の手術はできない。2024年に大規模な栄養危機に対応するために設計されたものだからだ。当時、同キャンプは「総合的食料安全保障レベル分類」によって飢餓状態と宣言されていた。
スーダンのMSF活動責任者、ヤヒヤ・カリラはこう話す。
「MSFの病院で11人の患者が亡くなりました。うち5人は子どもです。適切な治療をすることも、エル・ファシール近郊で外科手術ができる唯一の施設であるサウジ病院への搬送もできませんでした。
1月と12月には、キャンプからエル・ファシールへ患者を運ぶMSFの救急車2台が銃撃を受けました。いまはさらに危険です。その結果、外傷手術や緊急帝王切開が必要な患者を含め、多くの人びとがザムザムに閉じ込められています」
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医療援助の継続が困難に
RSFは10カ月にわたってエル・ファシールの町を包囲し砲撃を続け、ここ数週間で攻勢を強め、2月11日と12日にはザムザム・キャンプへ攻撃を行った。中央市場は略奪や焼き討ちに遭い、なんとか生き延びている状況の人びとは水や食料の入手がさらに難しくなった。
「ザムザムの状況が悪化する中で活動を停止するのは、とても苦しい決断です。2年余りもの間、MSFは包囲や物資不足といったさまざまな困難を乗り越え、医療提供に全力を尽くしてきました。
国際社会に人道対応の拡充を呼びかけましたが、実現することはありませんでした。そしてエル・ファシールの戦いが激化してザムザム・キャンプまで達し、我々がとどまるために必要な最低限の安全を確保できなくなりました。物資の輸送は困難を極め、経験豊かなスタッフの派遣による適切な支援は不可能、スタッフや民間人用のキャンプ退避ルートも確実ではなく、選択の余地はありません」とカリラは話す。
約50万人が身を寄せるザムザム・キャンプには、アブ・ゼレガ、シャグラ、サルマなどの地域から避難してきた人びとが新たに到着した。彼らはいま、学校や地域の建物、あるいは野外の木の下で過ごしている。エル・ファシール地方の村や道路で、住居の焼き討ちや略奪、性暴力、殺人などの暴力が起きているという話が相次いでいる。さらに数百の世帯が、暴力から逃れ、全てを捨ててはだし同然で、西に位置する町タウィラにたどり着いた。
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援助の提供を妨げてはならない
MSFは、スタッフとザムザム・キャンプにいる約50万人の人びとの安全を深く懸念している。そして、RSF、連合軍、そしてこの地域の全ての武装勢力に対し、民間人を保護し、避難を求める人が無事に避難できるよう求める。
北ダルフールでMSFは、タウィラで緊急対応を続ける一方、スタッフを極度のリスクにさらすことなくザムザムとエル・ファシールの人びとへ援助を届けられるよう、あらゆる方法を模索している。
西ダルフール州、中央ダルフール州、南ダルフール州などの地域でMSFは、絶え間なく続く紛争、紛争当事者による援助への妨害、そして人道対応の失敗によって悪化した壊滅的な栄養失調と健康危機への対応を続けている。
MSFは、可能な場所では支援を大幅に拡充するよう改めて呼びかける。また、紛争当事者は、援助を提供するためのアクセスを妨げてはならない。そしていまこそ、紛争当事者の連合や影響力のある国々が、これ以上の死や飢餓を止めるために行動を起こす時だ。
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