<イベントレポート>SmartNews Media Partner Conference 2026 — AI時代におけるパブリッシャーとの「共進化」
スマートニュース株式会社は2026年3月4日(水)、メディアパートナーの皆様を招き、次なる情報社会の展望を共有する「SmartNews Media Partner Conference 2026」を開催しました。会場とオンラインのハイブリッドで開催された本カンファレンスには多数のパートナーの皆様にご参加いただき、会場はメディアの未来への前向きな熱量に満ちていました。

AI時代の「信頼できるコンテンツ」の価値
オープニングでは、代表取締役社長CEOの浜本階生が登壇し、スマートニュースの「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションを改めて強調しました。AIが日常や仕事を急激に変え、アテンションエコノミーを加速させる懸念もある時代だからこそ、パートナーの皆様が作り上げる「信頼できるコンテンツ」の価値がより一層重要になると語り、スマートニュースが強い責任感を持ってユーザーに届けていく決意を述べました。

デジタル空間に「正しい情報」を供給する。新聞社としての使命
続いて、良質なコンテンツの担い手であるメディアを顕彰する「SmartNews Awards 2025」の授賞式が執り行われ、良質な情報を届けてくださったパートナーの皆様の多大なる尽力に、改めて感謝と敬意を表する場となりました。浜本より、ベストパートナー賞を受賞された10媒体へ花束が贈呈され、続いて大賞に輝いた「読売新聞オンライン」が表彰されました。
大賞スピーチには、読売新聞東京本社 編集局デジタル編集部部長 十郎浩史様が登壇されました。十郎様はまず、受賞の喜びとともに、パートナーシップへの感謝を述べられ、このたびの受賞を「新聞社に対しエールを送っていただいたと受け止めている」と語られました。その上で、昨今の選挙においてSNS上でフェイクニュースや誹謗中傷が拡散した問題に言及されました。新聞社として、ファクトチェックの強化やオンラインへの記事先行掲載といったタイムリーな情報提供など、デジタル空間に「正しい情報」を供給する役割はますます大きくなっていると強調されました。

パブリッシャーとの協業と「スマニューAI」の今後の進化
続いて、ヴァイスプレジデント日本リージョンメディア担当兼マーケティング担当のホン ランドンが登壇し、スマートニュースの2025年の実績と2026年の展望を語りました。2025年は「ユーザーグロース」「ユーザーエンゲージメント」「イノベーション」「コモングッド」の4本柱を軸に事業を推進。大型キャンペーンを通じたユーザー増に加え、スマニューポイントの開始によるエンゲージメント強化、さらに「スマニューAIまとめ」機能を通じた元記事への送客と収益還元に関する進捗を報告しました。

2026年に向けては、スポーツイベントに合わせたコンテンツ拡充や、継続的なキャンペーン施策により、さらなるユーザーエンゲージメントの強化とパブリッシャーの皆様への収益還元サイクルを回していく方針が示されました。さらに「スマニューAI」のアップデートとして、新たな切り口で記事をまとめる構想や、AIエージェントが最適なニュースを届ける機能など、マルチモーダル化を見据えた開発が進行中であることも共有。これらの機能に連動する新たなパートナープログラムの提案や企画も予告され、テクノロジーと良質なコンテンツが共生するエコシステムのさらなる拡大を目指す姿勢を示しました。
トークセッション:AIエージェントが変える「知の産業」の組織と制作プロセス
本カンファレンスの後半では、「AIエージェントが変える『知の産業』の組織と制作プロセス」と題された、株式会社レクター代表取締役 広木大地氏とホン ランドンによるトークセッションが行われました。広木氏は著書『AIエージェント 人類と協働する機械』の議論をベースに、AIをツールではなく「自律した部下」として育成し、マネジメント業務を効率化すべきだと提言しました。


広木氏は、現場の「足で稼ぐ経験」等の暗黙知とAIの融合には、「アンラーニング(学び直し)」が必要であること、そして暗黙知を言語化しAIに教え込むプロセスが今後の組織づくりに不可欠だと指摘しました。また、AIに一定の自律性を持たせた業務設計へとマネジメントをシフトし、浮いた時間を「真に価値ある仕事」へ再配置することが、本質的な生産性向上に繋がると結びました。

AI普及でより高まる記者の存在意義
カンファレンスの締めくくりとして、スマートニュース メディア研究所 所長の山脇 岳志が「AI時代におけるメディアの役割」についてプレゼンテーションを行いました。 記者も、情報収集や記事の編集などでAIを使って仕事を効率化することができる時代だからこそ、記者にしかできない「現場に行って五感で得た情報を表現する」「取材源から話を引き出す」「自ら問いを立てて調査報道する」といった仕事の重要性や意義が高まっていることを共有しました。

一方で、若年層のニュース回避、メディアへの不信感の高まりといった課題も指摘されています。山脇は、2025年に実施した埼玉県戸田市の中学校での新聞閲読調査で「実際に現物のメディアに触れ、記者の地道な仕事を知ることで信頼度が向上した」という結果が得られたことを紹介。AIを使いこなしつつも、人間だからこそできる「現場へ行くこと」や「読者・視聴者との直接の交流」が重要になってくるとの見方を示しました。

セッション終了後には、スマートニュースのメンバーとパブリッシャーの皆様が垣根を越えて交流する懇親会が開催され、会場が活気ある雰囲気に包まれる中、イベントは幕を閉じました。AIという大きな波の中で、良質なコンテンツとテクノロジーが共進化していく未来への期待を共有する、示唆に富んだカンファレンスとなりました。スマートニュースはこれからもパートナーの皆様との対話を大切にし、メディアの新たな可能性を共に切り拓いていく考えです。
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