一人二役・松たか子の美声が響く、串田和美演出の愉快なシェイクスピア喜劇「十二夜」がＷＯＷＯＷで放送！

ＷＯＷＯＷで毎週水曜午後5:00放送中の「シアターコクーン豪華4本立て！」の4週目（4月27日）は、今年1月に上演された串田和美演出のシェイクスピア喜劇「十二夜」。音楽劇「上海バンスキング」やコクーン歌舞伎「佐倉義民傳」を手掛けた串田が、松たか子を迎え、ロマンティックコメディに挑む。双子の兄妹の二役を演じる松のほか、石丸幹二、りょう、笹野高史ら個性的な豪華共演陣が揃う。

プロローグでは、影絵の音楽隊の後に続き、絵から飛び出してきたように出演者たちがさまざまな楽器を鳴らしながら登場。松がたて笛、石丸がサックスを吹くと、バイオリン、タンバリンの音が軽快に響くなどシェイクスピアらしい愉快な音楽を奏でる。祭りの行列のような楽しげな光景に観客の目を楽しませると舞台は暗転。船の遭難で消息不明になった双子の兄セバスチャン（松）が死んだと思い、嘆く妹ヴァイオラ（松一人二役）の姿がある。その悲壮感とは反対に、松の透明感のある明瞭な力強い声が舞台を響かせ観客を引きつける。

長い髪を切り、兄と同じ格好で男装をした彼女はシザーリオと名乗り、イリリアの公爵・オーシーノ（石丸）に小姓として仕えることに。星が浮かぶ夜空の下、ギターの調べに乗せてオーシーノを淡い恋の目で見つめるシザーリオ。だが、オーシーノは伯爵の娘・オリヴィア（りょう）に恋をしていた。さらに、オリヴィアは、オーシーノの使いでやってきたシザーリオに心を奪われて・・・。
舞台上に設置された舞台小屋で繰り広げられる演技は、セリフと共に奏でられる古典音楽やカラフルな衣装と共に、劇中劇のようなファンタジー感を与える。また、甘美な歌声を披露する石丸と松のデュエット曲は、2人の純粋な愛と片思いの切なさを増幅させていく。

第2幕では、彼らの前に本物のセバスチャンが現れ、複雑に絡み合う片思いの糸が解け始める。同じ衣装で、声色と口調、立ち居振る舞いだけで兄妹の二役を交互に演じ分ける松は見事。また、シェイクスピア喜劇にシニカルさと客観性を加える道化役・笹野のベテランの演技力、高貴ながら恋に一直線な女性というこれまでにない演技の幅を広げたりょう、歌唱力を見せつける石丸など、本舞台ではそれぞれの魅力が存分に楽しめる。（文・長谷亜紀子）

「シアターコクーン豪華4本立て！」（毎週水曜午後5:00）の第４弾、「十二夜　串田和美×松たか子」は、4月27日（水）午後5:00にＷＯＷＯＷで放送。

画像クレジット：（ｃ）細野晋司