メガワット級水電解装置を利用した水素実証実験の実施について
日本政府は2050年までのカーボンニュートラル化を目標と掲げ、年間42万トンを超えるクリーン水素(注)の供給を目指しています。再エネ由来の電力を用いた水電解装置により製造される水素は、製造過程においてCO2を排出しないグリーン水素として、脱炭素社会の切り札とされています。グリーン水素の製造コストの低減や高効率化をめざし、水電解装置の大型化に世界中の注目が集まっています。
本実証は、海外製の大型水電解装置による日本で初めての運転検証となります。住友商事は、水素吐出圧力を本製品標準スペックの2MPaから、日本の国内法規に準拠した1MPa未満に調整した2.0MW級の水電解装置を、2022年6月に東京ガス横浜テクノステーションに納品し、共同実証を開始する予定です。東京ガスは、水電解装置の設置およびさまざまな運転環境下でのオペレーションを実施し、最新の水電解装置の性能を把握するとともに、機器の運転や関連設備の施工などの大型水電解装置導入に向けたノウハウを蓄積します。製造した水素は東京ガス横浜テクノステーション内にて脱炭素化に向けた水素利活用の研究開発に利用します。本実証の成果については両社に共同で帰属するものとし、今後の事業開発に活用していきます。
(注)ライフサイクルにおいてCO2を排出しないグリーン水素や、化石燃料を原料として、製造過程で発生するCO2を回収・活用したブルー水素などの総称
■住友商事 執行役員 エネルギー本部長 エネルギーイノベーション・イニシアチブサブリーダー
森 肇のコメント
「住友商事は、2018年にITM Powerと戦略的パートナーシップを締結し、同社が製造する固体高分子型水電解装置の日本市場への導入に向けて取り組んできました。ITM Powerの持つ先進的かつコスト競争力のある電解技術は、日本での大型電解装置によるグリーン水素製造プロジェクトの推進に大きな貢献を期待されています。住友商事は、2050年カーボンニュートラル化の達成と、持続可能なエネルギーサイクル実現を目指し、今後も水素社会の構築に向けた取り組みを加速させていきます」
■東京ガス 執行役員 デジタルイノベーション本部 水素・カーボンマネジメント技術戦略部長
矢加部 久孝のコメント
「東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」で掲げた「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を実現するために、ガス体エネルギーの脱炭素化に向けた技術開発を強化しています。本実証を通じ、大型水電解装置に関する運用ノウハウを蓄積し、水素の直接の利活用技術やメタネーション技術開発と組み合わせて社会実装を加速化し、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に貢献してまいります」
■ITM Power CEO グラハム・クーリーのコメント
「東京ガスの協力により、日本で初めて水電解装置を導入できることを光栄に思います。 パートナーである住友商事とともに、固体高分子型の水電解が日本の産業とエネルギーの脱炭素化にいかに大きく貢献できるかを実証できることを楽しみにしています。この製品が、東京ガスの研究室で使用されることで、日本市場での当社の知名度が高まることを期待しています」
<本実証で使用する水電解装置の仕様>
機種 : HGas3SP
水電解方式 :固体高分子型
水素製造能力 :30.9kg/h
入力電源: 2.0MW
パッケージ: 40フィートコンテナ
チラー/エアーブラスト
<製品写真>
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