企業倒産は806件、2023年で最も多く 20カ月連続で前年同月を上回る ― 全国企業倒産集計2023年12月報
負債総額1015億400万円、2カ月ぶりに前年同月を上回る
<概況>
倒産件数は806件(前年同月592件、36.1%増)と、20カ月連続で前年同月を上回った。2023年3月(800件)を上回り、2023年で最多となった。コロナ支援策の縮小に加え、物価高等によるコスト増もあり、年末にかけて倒産が急増した
負債総額は1015億400万円(前年同月687億1400万円、47.7%増)と、2カ月ぶりに前年同月を上回った。負債トップは、美容脱毛サロン「銀座カラー」を展開していた㈱エム・シーネットワークスジャパンの約58億5700万円だった
<主要ポイント>
業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月135件→220件、63.0%増)は過去3番目の高水準。『運輸・通信業』(同41件→49件、19.5%増)も、12月としては2008年12月(52件)に次ぐ2番目の高水準となった
主因別にみると、『不況型倒産』の合計は641件となり、20カ月連続で前年同月を上回った
態様別にみると、「破産」が752件で最も多く、3カ月連続で700件を上回った
規模別にみると、負債・資本金ともに小規模な企業の倒産が多数を占めた
業歴別にみると、「30年以上」が最多。『新興企業』は22カ月連続で前年同月を上回った
地域別にみると、全9地域で前年同月を上回った。『北海道』(前年同月16件→32件、100.0%増)、『東北』(同28件→51件、82.1%増)が2023年で最多件数となった
㈱プロルート丸光(大阪府、会社更生法)が倒産し、1年4カ月ぶりに上場企業倒産が発生
集計期間:2023年12月1日~12月31日
発表日:2023年12月8日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
集計機関:株式会社帝国データバンク
■業種別
7業種中6業種で前年同月を上回る 『サービス業』は過去3番目の高水準
業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月135件→220件、63.0%増)が最も多く、『小売業』(同121件→163件、34.7%増)、『建設業』(同102件→161件、57.8%増)が続いた。『サービス業』は、リーマン・ショック後の2009年6月(242件)、同年7月(227件)に次ぐ過去3番目の高水準。『運輸・通信業』(同41件→49件、19.5%増)も、12月としては2008年12月(52件)に次ぐ2番目の高水準となった。
業種を細かくみると、『サービス業』では、「広告・調査・情報サービス業」(前年同月49件→69件)、「医療業」(同4件→16件)が増加した。『小売業』では、「飲食店」(同48件→65件)と「飲食料品小売業」(同24件→34件)、『建設業』では、「設備工事業」(同20件→44件)の増加がそれぞれ目立った。
■倒産主因別
『不況型倒産』は641件、20カ月連続で前年同月を上回る
主因別にみると、「販売不振」が634件(前年同月450件、40.9%増)で最も多く、全体の78.7%(対前年同月2.7ポイント増)を占めた。内訳を業種別にみると、「サービス業」(前年同月97件→158件)が最も多く、「小売業」(同101件→146件)、「建設業」(同84件→132件)が続く。「業界不振」(同9件→3件、66.7%減)などを含めた『不況型倒産』の合計は641件(同462件、38.7%増)となり、20カ月連続で前年同月を上回った。
「経営者の病気、死亡」(前年同月24件→26件、8.3%増)、「その他の経営計画の失敗」(同15件→27件、80.0%増)は、それぞれ2カ月連続で前年同月を上回った。「放漫経営」(同12件→11件、8.3%減)は5カ月連続で前年同月を下回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計
■倒産態様別
「破産」が3カ月連続で700件超え、「特別清算」は前年同月から倍増
倒産態様別にみると、『清算型』倒産の合計は787件(前年同月580件、35.7%増)となり、全体の97.6%(対前年同月0.4ポイント減)を占めた。『再生型』倒産は19件(同12件、58.3%増)発生し、2カ月ぶりに前年同月を上回った。
『清算型』では、「破産」が752件(前年同月562件、33.8%増)で最も多く、3カ月連続で700件を上回った。「特別清算」は35件(同18件、94.4%増)発生し、前年同月から倍増となった。
『再生型』では、「民事再生法」が18件(前年同月12件、50.0%増)発生した。個人事業主で12件、法人で6件発生した。「会社更生法」は9カ月ぶりに発生した。
■規模別
負債・資本金ともに小規模な倒産が多数を占める
負債規模別にみると、「5000万円未満」が505件(前年同月356件、41.9%増)で最も多く、「5億円未満」が155件(同116件、33.6%増)で続いた。中小・零細企業の倒産が目立つ一方、「50億円未満」が18件(同8件、125.0%増)と、前年同月から倍増した。
資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が574件(前年同月422件、36.0%増)となり、全体の71.2%を占めた。
■業歴別
業歴「30年以上」が最多 老舗企業は前年同月を大幅に上回る
業歴別にみると、「30年以上」が256件(前年同月199件、28.6%増)で最も多く、全体の31.8%(対前年同月1.8ポイント減)を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は14件(同3件、366.7%増)と前年同月を大幅に上回った。
業歴10年未満の『新興企業』[「3年未満」(前年同月24件→32件、33.3%増)、「5年未満」(同37件→64件、73.0%増)、「10年未満」(同120件→159件、32.5%増)]は255件(同181件、40.9%増)と、22カ月連続で前年同月を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同60件→89件、48.3%増)が最多、「小売業」(同41件→51件、24.4%増)、「建設業」(同25件→48件、92.0%増)と続いた。
■地域別
全9地域で前年同月を上回る 『北海道』『東北』が2023年で最多
地域別にみると、全9地域で前年同月を上回った。最も増加率が高かったのは『北海道』(前年同月16件→32件、100.0%増)で、3カ月連続で前年同月を上回ったほか、3月(31件)を上回り2023年で最多。次いで、6月(51件)と並んで2023年で最も多くなった『東北』(同28件→51件、82.1%増)、『中国』(同22件→37件、68.2%増)の順となった。
件数別では、『関東』(前年同月219件→270件、23.3%増)がトップ。「東京」(同106件→134件)、「千葉」(同16件→26件)、「群馬」(同6件→12件)が件数を押し上げた。このほか、『近畿』(同155件→204件、31.6%増)は、3年5カ月ぶりに2カ月連続で200件を超えた。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像