中央アフリカ共和国、いまだ85万人が故郷に帰れず【報道参考資料】
ユニセフ、17日のドナー会合で保健や教育を最優先の復旧・復興計画を強調
※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
※本信の原文は、https://www.unicef.org/media/media_93278.html からご覧いただけます。
【2016年11月15日 バンギ(中央アフリカ共和国)/ダカール(セネガル)発】
本日、ユニセフ(国連児童基金)は、紛争後、安定した国の再建が進まない中央アフリカ共和国では、いまだに85万人以上が移動を余儀なくされ、国内避難民あるいは近隣諸国で難民として暮らしており、その半数が子どもであると発表しました。
2014年に家を追われた92万人のほとんどが、紛争後も治安が回復しないために家に戻ることが出来ていません。現在、38万3,000人が国内で避難を続け、46万8,000人がカメルーン、チャド、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国で難民となっています。中でもカメルーンは難民の半数以上を受け入れています。
「治安が回復し子どもたちが故郷のコミュニティに帰れるようになれば、学校や診療所が必要になります」とユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所の副代表クリスティーン・ムヒガナは述べました。「質の高い保健と教育へのアクセスは、国を建て直し、平和な未来を築いていくための基盤となるものです」
暴力と大規模な避難によって、子どもたちは特に健康面や搾取、虐待の危険が高く、3分の1は学校に通えず、5歳未満児の41%は慢性的な栄養不良に陥っています。また、2013年以降に武装勢力に徴用された子どもの数は6,000人から1万人と推定されます。
「この国の状況は改善しています」とムヒガナは語ります。「しかし、子どもたちにとっては、いまだに世界で最も危険な国のひとつです。そして暴力の再燃により、前進の兆しが打ち消されることが懸念されます」
ごく最近では、度重なる暴力の再燃により、いくつかのNGOは、一部地域での支援活動の大幅な縮小を余儀なくされ、国の復旧・復興計画の遅延に繋がっています。先月のカガ・バンドロ(Kaga-Bandoro)の避難民キャンプ襲撃事件では、ユニセフが支援する研修を受けていた教員を含む37人の市民が亡くなりました。
11月17日にブリュッセルで開催される支援国会合では、復旧の進捗状況の報告およびプログラムを継続するための資金援助要請がなされます。中央アフリカ共和国政府は、EU、世銀、国連などを含む国際社会に対して30億米ドルの支援パッケージを提案します。
ユニセフは中央アフリカ共和国政府と国際社会に対して、公平性を基本概念に置いた均衡のとれた復旧・復興計画のみが平和的な未来の基盤を構築できるということに留意し、復興計画の中で子どもを中心に位置づけ、最も脆弱な人たちに対する保健・教育などの社会サービスの提供を最優先させることを求めます。
経済的不平等が、2012年の暴力と紛争の勃発の主要な原因でした。民族間の緊張と都市部と農村部に住む人々の機会の格差が、今も続く相互憎悪に火をつけたのです。正義、保護や腐敗撲滅という課題への取り組みが、市民を守り法の支配を執行する国家再建の鍵を握っています。
ユニセフは、中央アフリカ共和国政府とパートナー団体と共同して、2016年には1,300人以上の教員に対して研修を実施し172校の校舎の建設または修復を通して教育システムの強化を図っています。プライマリ・ヘルスケア、安全な水へのアクセスの改善および暴力を経験した子どもたちに対する心理社会的ケアの提供を強化すべく、既存のプロジェクトの拡大を図っていきます。
中央アフリカ共和国のすべての子どもたちに手を差し伸べる努力は、資金の獲得状況により大幅に制限されています。2016年に国内の子どもたちに基本的サービスを提供するために必要な予算5,560万米ドルに対して、これまでに2,040万米ドルしか確保できておらず、多くのプロジェクトが資金不足に直面しており、効果の発現が限られています。
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■中央アフリカ最新情報ハイライト(10月末時点ユニセフ情勢レポートより)
- 10月12日~14日にかけて、カガ・バンドロにて武装組織エクス・セレカが1,000人余りの市民とともに、国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)に抗議する旨のスローガンを掲げ、周辺の避難民キャンプを攻撃・破壊し、これによって38名が死亡、15,000人の新たな避難民が発生した。
- 北西部に位置するKouiで発生した激しい戦闘の結果、3,000人もの人々が避難民となった。
- 10月末時点において、中央アフリカ共和国には90か所の避難民キャンプが依然として存在する(バンギ:25か所、他:65か所)。
- ユニセフはカガ・バンドロにおいて、2,650人の子どもを対象に、安全で保護的な学習環境を提供する16カ所の仮設教室(temporary learning space)を整備し、支援している。
- ユニセフの即応チームは、4地域(Basse-Kotto, Mbomou, Haute-Kotto, Ouham)において、水や衛生環境整備のための緊急対応を行い、11,834名が支援を受けた。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金はすべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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