アートと社会を捉える2つの講座を開講。受講生募集開始!

新たな視点で社会にアプローチする手法を学ぶ

 

「新たな航路を切り開く」ビジュアルイメージ Photo: Chihiro Minato

公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京は、東京都とともに、地域社会を担うNPOと協働しながら、社会に対して新たな価値観や創造的な活動を生み出すためのさまざまな「アートポイント」をつくる事業「東京アートポイント計画」を実施しています。また、その一環として、アートプロジェクトの現場の課題に応じたプログラムやコンテンツの開発、ウェブサイトなどプラットフォームの運営を通じて、社会におけるアートプロジェクトの可能性を広げる「Tokyo Art Research Lab(TARL)」を運営しています。

TARLのプログラム「新たな航路を切り開く」は、2011年以降に生まれたアートプロジェクトと、それらを取り巻く社会状況を振り返りながら、これからの時代に応答するアートプロジェクトのかたちを考えるシリーズです。本シリーズではこのたび、自治体職員・自治体文化団体職員向けの講座「パートナーシップで公共を立ち上げる」と、これからアートプロジェクトを立ち上げる実践者に向けたゼミナール形式の演習「自分のアートプロジェクトをつくる2025」を開催いたします。それぞれの講座を通して、地域や社会を考えるための新たな視点と社会にアプローチする手法を学び、これからの新たな航路を見出すことを目指します。

講座ラインアップ

  • 「パートナーシップで公共を立ち上げる」
    新たな視点で地域課題にアプローチする手法を知る、自治体職員・自治体文化団体職員向けの講座

  • 「自分のアートプロジェクトをつくる2025」
    自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトをつくる力を身につける、これからのアートディレクターやプロデューサーを目指す方へ向けた講座

ナビゲーター

「新たな航路を切り開く」全体のナビゲーターは、人と環境の相互作用に焦点をあてながら、社会状況に応答するアートプロジェクトをつぶさに見続けてきた芹沢高志さん。都市型の大規模芸術祭から地域のなかでのアートプロジェクトの運営や人材育成まで、アートに関わるさまざまな経験をもとに、本講座をナビゲートします。

撮影:忽那光一郎

芹沢高志|P3 art and environment 統括ディレクター

1951年東京生まれ。神戸大学理学部数学科、横浜国立大学工学部建築学科を卒業後、(株)リジオナル・プランニング・チームで生態学的土地利用計画の研究に従事。1989年にP3 art and environmentを開設。1999年までは東長寺境内地下の講堂をベースに、その後は場所を特定せずに、さまざまなアート、環境関係のプロジェクトを展開している。著書に『この惑星を遊動する』(岩波書店)、『月面からの眺め』(毎日新聞社)、『別府』(ABI+P3 共同出版プロジェクト)など。

>プレスリリース(PDF)

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新たな視点で地域課題にアプローチする手法を知る、自治体職員・自治体文化団体職員向けの講座

「パートナーシップで公共を立ち上げる」

秋田・東京・沖縄の事例をもとに、新たな視点で地域課題にアプローチする手法を知る

近年、各地でさまざまなアートプロジェクトが実施されるようになり、まちなかでの芸術文化活動がさらに広がっています。多様な分野を横断し、地域の暮らしに変化を生み出すこのような取り組みは、地域を支える行政と、民間の主体が協働することによって、さらに発展し広がっていくのではないでしょうか。

本講座では、行政と民間の多様な主体がパートナーシップを組み、文化事業に取り組むことの可能性とその方法を学びます。文化を通じた領域横断的な取り組みを行うことで、地域の課題に対してさまざまなアプローチを仕掛けている秋田と沖縄、東京の事例を通して、どのように行政と民間とのよりよいパートナーシップを実現するのか、自治体の政策と現場をどう紐づけていくのか、それらの方法が、これからの「公共」を立ち上げるために果たす意義について、参加者のみなさんと考えます。

  • 職位や担当部署を問わず、どなたでもご参加いただけます。文化事業を担当する部署以外の方のご参加も歓迎します。

  • 自治体の抱える政策的な課題に芸術文化の視点でアプローチしたい方、新規事業を検討中の方にもおすすめです。

  • 他地域の取り組みを知り、講師や参加者間のネットワークづくり、ご自身の業務の問題意識を明確にする場としてご活用いただけます。

開催概要

開催日時|2025年7月31日(木) 13時~17時/8月1日(金) 10時~15時 ※2日間連続での受講をお願いいたします。

開催場所|アーツカウンシル東京〔東京都千代田区九段北4-1-28 九段ファーストプレイス5階〕

参加費|無料

定員|30名 

対象|地域課題への新しいアプローチを検討している自治体職員、自治体文化団体職員など

申込方法|TARLウェブサイト(https://tarl.jp/opencall/newroute-lecture2025/)より申し込み

※定員に達した際は締切日より前に募集を終了する場合があります。

申込締切|2025年7月14日(月) 17時まで

主催|東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

運営|P3 art and environment

>チラシデータ(PDF)

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【1日目】7月31日(木)13時~17時

13:00~14:00 趣旨説明・参加者自己紹介

オープニング  

「地域の多様な連携から、活動を育む」

話し手:佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

14:00~15:00 セッション1

「アートプロジェクトの広がりとパートナーシップの課題」

話し手:芹沢高志(P3 art and environment 統括ディレクター)

15:15~16:45 セッション2

「市民の創造的な場を、二人三脚でつくる」

話し手:齋藤一洋(秋田市企画財政部 部長)

三富章恵(NPO法人アーツセンターあきた 事務局長)

16:45~17:00 クロージング

【2日目】 8月1日(金)10時~15時(昼休憩あり) 

10:00~10:15 オープニング

10:15~11:45 セッション3

「ジェネラリストと専門性:補完しあう関係性をつくる」

話し手:上地里佳(沖縄アーツカウンシル チーフプログラムオフィサー)

林立騎(那覇市市民文化部文化振興課主幹、那覇文化芸術劇場なはーと 企画制作グループ統括)

11:45~13:00 休憩

13:00~14:30 振り返り・ディスカッション

「パートナーシップで公共を立ち上げるには」

14:30~15:00 クロージング

【受講後】レポート提出

講座終了後2週間を目安に、講座のテーマについての課題レポート(1600字程度)を提出していただきます。

ゲスト

齋藤一洋(秋田市企画財政部 部長)

1988年秋田市役所入所。2005年から市民協働・都市内地域分権推進室にて住民自治と市民協働を経験。2009年市民サービスセンター、2010年企画財政部企画調整課配属、2013年から県市連携文化施設整備と芸術文化ゾーンを担当。2016年企画調整課長、市民力による文化創造プロジェクトを進める。2021年デジタル化推進本部長、2022年より現職。

三富章恵(NPO法人アーツセンターあきた 事務局長)

1981年静岡県生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科修了。2006年より、独立行政法人国際交流基金に勤務し、東京およびマニラ(フィリピン)において青少年交流や芸術文化交流、海外における日本語教育の普及事業等に従事。東日本大震災で被災経験をもつ高校生・大学生や児童養護施設に暮らす高校生のリーダーシップ研修や奨学事業を行う一般財団法人教育支援グローバル基金での勤務を経て、2018年より現職。

上地里佳(沖縄アーツカウンシル チーフプログラムオフィサー)

1988年沖縄県宮古島市生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了後、2013年東京アートポイント計画「三宅島大学」のアートマネージャーとして携わる。2014年より富山県氷見市を拠点とするアートNPOヒミングのアートマネージャーとして、市民とアーティスト、行政との協働のかたちを模索しながら、アートプロジェクトの現場運営を担う。2016年からはアーツカウンシル東京にて、東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Labを担当。2021年より現職。

林立騎(那覇市市民文化部文化振興課主幹/那覇文化芸術劇場なはーと 企画制作グループ統括)

翻訳者、演劇研究者。現在、那覇文化芸術劇場なはーと企画制作グループ統括、沖縄アーツカウンシルアドバイザリーボード。演劇ユニットPort Bで国内外のアートプロジェクトに参加し、東京藝術大学大学院特任講師(2014-17年)、沖縄アーツカウンシルプログラムオフィサー(2017~19年)、ドイツの公立劇場ドラマトゥルク(2019-21年)を経て、22年より現職。


自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトをつくる力を身につける

「自分のアートプロジェクトをつくる 2025」

「自分のアートプロジェクトをつくる」ビジュアルイメージ photo: Chihiro Minato

本演習では、参加者それぞれが自分の中の問いに向き合い、それをどのようにアートプロジェクトとして形にしていくのかを考えていきます。参加者は対面でのディスカッションや各自の発表のほか、講座以外の時間にもオンラインツールを利用した受講生同士やナビゲーターとのやりとりを通じて、自分の中にある問いと向き合い、「自分が本当にやりたいことは何か、なぜやりたいのか、アートプロジェクトを通して大事にしたいものとは何か」を考え、自分のアートプロジェクトを構想します。

昨年度の演習の様子

演習には実践を続ける3名のゲストを招きます。それぞれのゲストから、活動をはじめた当初のモチベーションや活動の中で大事にしていること、現在探求していることなどについて伺い、ディスカッションを通して、これからアートプロジェクトを構想し動かしていくための方法について、学びとる機会を設けています。

これらの講座を通して、これからの社会に対して必要なアートプロジェクトとは何なのか、参加者自身が今後どう活動していくのかを考え、実践につなげていきます。

開催概要

開催日程|2025年10月5日(日)、10月18日(土)、11月8日(土)、11月15日(土)、12月6日(土)、12月20日(土)、2026年1月17日(土)、1月31日(土)・2月1日(日)の全8回 ※最終回は2日連続で実施します。

開催時間|13時~17時30分 ※1月31日・2月1日のみ18時まで

開催場所|アーツカウンシル東京〔東京都千代田区九段北4-1-28 九段ファーストプレイス5階〕

参加費|32,000円(税込)

定員|14名 ※書類選考・面接があります

申込方法|TARLウェブサイト(https://tarl.jp/opencall/newroute-seminar2025/)から申し込み

申込締切|2025年7月23日(水)13時まで

主催|東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

運営|P3 art and environment

ナビゲーター(芹沢高志)メッセージ

今、私たちは混迷の時代を生きている。そんななか、問題を発見するというアートの根源的な力に再び注目が集まってきているように思う。一方、アートもこれまでのかたちのままではいられない。時代や社会との応答のなかで、アートはその様相を大きく変容させつつある。アートプロジェクトという概念も急速に認知されてきた。

しかし考えてみれば、「アート」と「プロジェクト」はそれぞれに相反する性向を内在させている。問題発見的な性向と問題解決的な性向の両者を、いかに相殺せず、メタレベルでバランスを取っていくのかが、アートプロジェクトの醍醐味でもあると考えられるし、そのためには数々の経験知、集合知も必要になるだろう。

この演習ではもう一度「わたし」に立ち戻り、「わたし」が本当に大切であると思う「自分のアートプロジェクト」を構想した上で、皆で話し合い、相互に刺激を受け合っていくプロセスで展開していく。着地すべき正解があるわけではない。この動的な対話の航海を通して、新たななにか、来るべきアートプロジェクトのプロデューサー、ディレクター、コーディネーターたちに求められる姿勢が立ち上がっていくはずだと考えている。

ともに舟を漕ぎ出そうとする方々の参加を心待ちにしている。 

ゲスト

武田知也(舞台芸術プロデューサー/一般社団法人ベンチ 代表理事)

1983年、横浜市生まれ。舞台芸術プロデューサー。一般社団法人ベンチ代表理事。2006年~14年までNPO法人アートネットワーク・ジャパン所属。2008年から国際舞台芸術祭「フェスティバル/トーキョー」の立ち上げに事務局スタッフとして関わり、2011年〜13年に制作統括。2014年冬からロームシアター京都開設準備室。同劇場で事業・企画担当。2018年~20年までフリーランスとしてロームシアター京都事業・企画担当、「さいたま国際芸術祭2020」キュレーターなど。舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)理事長。埼玉県川越市にてまちづくり・場づくりを手掛ける合同会社オンドメンバー。玉川大学芸術学部演劇・舞踊学科非常勤講師。

小沢剛(美術家/東京藝術大学教授)

1965年東京都生まれ。ユーモアを交えながら歴史や社会を鋭く批評する絵画、写真、映像、インスタレーションといった多様な手法の作品で知られる。東京藝術大学在学中から、風景の中に自作の地蔵を建立し、写真に収める《地蔵建立》を開始。1993年から牛乳箱を用いた超小型移動式ギャラリー《なすび画廊》や《相談芸術》を開始。1999年には日本美術史の名作を醤油でリメイクした《醤油画資料館》を制作。2001年より女性が野菜で出来た武器を持つポートレート写真のシリーズ《ベジタブル・ウェポン》を制作。2004年に個展「同時に答えろYesとNo!」(森美術館)、2009年に個展「透明ランナーは走りつづける」(広島市現代美術館)、2018年に個展「不完全―パラレルな美術史」(千葉市美術館)を開催。2013年には「光のない。(プロローグ?)」(作:エルフリーデ・イェリネク)において、初めて舞台演出、美術を手がける。2013年より、歴史上の実在する人物を題材に、事実とフィクションを重ね合わせ、物語を構築する「帰って来た」シリーズを制作。第69回芸術選奨文部科学大臣賞受賞(2019年)。

野田智子(アートマネージャー/Twelve Inc. 取締役)

1983年岐阜県生まれ、京都府在住。2020年よりアートマネジメントとメディアプロデュースを軸にしたアーツプロダクション「Twelve Inc.」を美術家の山城大督と共同設立し、アートの環境創造とアーティストとの協働を行う。アーティスト・コレクティブ「Nadegata Instant Party」メンバー。現代美術作品の販売、国際美術展の広報等を経験したのち、2013年〜2019年アートマネジメントを専門とした個人事務所「一本木プロダクション」を主宰。

2015年〜2017年Minatomachi Art Table, Nagoya[MAT, Nagoya]共同ディレクター。2018年〜2019年「あいちトリエンナーレ2019」ラーニングセクションマネジメント、2021年〜国際芸術祭「あいち」ラーニングコーディネーター。2023年〜名古屋城を舞台にしたアートプロジェクト「アートサイト名古屋城」のプロデューサー、2024年〜「かめおか霧の芸術祭」プロデューサーをつとめる。

昨年度参加者のコメント

  • 言い訳の出来ない自分と向き合う時間を得られました。

  • アートという広義な言葉を、さまざまな文脈の関係性を通し、その根本的な意味から捉え直すことで、広義を保ったまま行為やその目的としてアクティブに考えることができた。

  • アートプロジェクトといった時に、芸術祭のような大掛かりのものをイメージしていましたが、そのようなものばかりではなく、自分の関心を育てる中でアートプロジェクトになっていくということもあり得ることを知りました。アートプロジェクトを自分に引きつけて考える機会になりました。

  • 演習の中では、話す時間がたくさん設けられていたため、自分が日頃考えていることを言語化し、人に伝え、それに対してフィードバックをもらえる貴重な時間だった。

スケジュール

10月5日(日)第1回 イントロダクションと自己紹介

主催者・スタッフ挨拶/参加者自己紹介と企画構想共有/イントロダクション「アートプロジェクトとは?」

10月18日(土)第2回 グループワークとディスカッション

グループワーク「自分の立ち位置を確かめる」/ディスカッション

11月8日(土)第3回 プレゼンテーションとディスカッション

武田知也によるプレゼンテーション/ディスカッション

11月15日(土)第4回 プレゼンテーションとディスカッション

小沢剛によるプレゼンテーション/ディスカッション

12月6日(土)第5回 中間発表

構想中のプロジェクトの中間プレゼンテーション/フィードバック/プロジェクトを深める

12月20日(土)第6回 プレゼンテーションとディスカッション

野田智子によるプレゼンテーション/ディスカッション

2026年

1月17日(土)第7回 ディスカッション

構想中のプロジェクトについてディスカッション/最終発表へ向け準備

1月31日(土)/2月1日(日)第8回 最終発表

自分のアートプロジェクトをプレゼンテーション/講評/これからのアートプロジェクトについて


[参考]東京アートポイント計画

社会に対して新たな価値観や創造的な活動を生み出すためのさまざまな「アートポイント」をつくるために、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京が、地域社会を担うNPOとともに展開している事業です。実験的なアートプロジェクトをとおして、個人が豊かに生きていくための関係づくりや創造的な活動が生まれる仕組みづくりに取り組んでいます。また、自治体と文化事業を共催する「東京都・区市町村連携事業」を実施しています。

[参考]Tokyo Art Research Lab(TARL)

アートプロジェクトを実践する人々にひらかれ、共に作り上げる学びのプログラムです。現場の課題に応じたプログラムやコンテンツの開発、ウェブサイトなどプラットフォームの運営を通じて、社会におけるアートプロジェクトの可能性を広げることを目指しています。 https://tarl.jp/

アーツカウンシル東京

世界的な芸術文化都市東京として、芸術文化の創造・発信を推進し、東京の魅力を高める多様な事業を展開しています。新たな芸術文化創造の基盤整備をはじめ、東京の独自性・多様性を追求したプログラムの展開、多様な芸術文化活動を支える人材の育成や国際的な芸術文化交流の推進等に取り組みます。 

https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja

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会社概要

URL
https://www.rekibun.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都千代田区九段北4-1-28  九段ファーストプレイス8階
電話番号
03-6256-9967
代表者名
堤 雅史
上場
未上場
資本金
-
設立
1982年12月