【銀座 蔦屋書店】アレックス・ダッジの個展「A Way With Words」を4月26日(金)より開催。デジタルツールとクラシカルな技術を融合しながら、言語とAIの接続性を追求する。
銀座 蔦屋書店(東京都 中央区 GINZA SIX6F)では、アレックス・ダッジの新作個展「A Way With Words」を、2024年4月26日(金)~5月15日(水)の期間にGINZA ATRIUMにて開催します。本展覧会は2部構成となっており、Maki Fine Artsでの展覧会がPart 1、銀座 蔦屋書店での展覧会がPart 2となります。
特集ページ|https://store.tsite.jp/ginza/blog/art/39305-1029290311.html
概要
アレックス・ダッジは、現在ブルックリン(ニューヨーク)と東京を拠点に活動するアーティストです。3Dモデリングを用いて立体的イメージを設計し、レーザーカットステンシルで油絵具をキャンバスに押し付ける独自の手法でキャンバス作品を制作しています。デジタルツールとクラシカルな技術が融合したそれらの作品は、ヴァーチャルとフィジカルの世界を横断します。
本展覧会は2部構成となっており、銀座 蔦屋書店の展示は、Maki Fine Artsでの展示に続くPart 2となります。「言語とAIの接続性」を共通テーマとして、作家が近未来、そして遠い未来を予感、思索しながら制作した新作と、ペーパーにアクリルを用いた過去作品のシリーズを合わせて展示します。
本会場では、期間中に2会場での展示作品全29点を収録した作品集を販売、4月26日(金)には作家によるサイン会を実施します。
プロフィール
アレックス・ダッジ / Alex Dodge
1977年アメリカ合衆国コロラド州デンバー生まれ、現在ブルックリン(ニューヨーク)と東京を拠点に活動している。
近年の主な展示として、個展「Daemon-Haunted World」(2023年/ Klaus von Nichtssagend Gallery)、個展「Personal Day」(2023年 / BB&M)、個展「Laundry Day : It all comes out in the Wash」(2021年/ Maki Fine Arts)、「Programmed: Rules,Codes, and Choreographies in Art, 1965-2018」(2018-19 年 / ホイットニー美術館)など。ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館などに作品が収蔵されている。
作品販売について
展示作品は、会場にて4月26(金)11:00より販売します。
※プレセールスの状況により、会期開始前に販売が終了することがあります。
作品集について
アレックス・ダッジ 作品集「A Way With Words」
アレックス・ダッジによるテキスト収録(英語・日本語)
仕様|全36ページ(図版29点)、25.7×18.2cm
定価|1,500円+税
発売|Maki Fine Arts(2024年)
4月26日(金)は作家が在廊し、作品集購入者を対象にサイン会の実施を予定しています。
時間|18:00~20:00
※予約不要
展示詳細
アレックス・ダッジ「A Way With Words」(Part 2)
会期|2024年4月26日(金)~5月15日(水)
時間|11:00~20:00 ※最終日のみ18:00閉場
レセプション|4月26日(金)18:00~20:00 ※どなたでも参加可能です
会場|銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM
主催|銀座 蔦屋書店
協力|Maki Fine Arts
入場|無料
お問い合わせ|03-3575-7755(営業時間内)/info.ginza@ccc.co.jp
特集ページ|https://store.tsite.jp/ginza/blog/art/39305-1029290311.html
※本展覧会は、Maki Fine Artsでの展示と合わせた2部構成となります。
【関連展示】
アレックス・ダッジ「A Way With Words」(Part 1)
会期|2024年4月6日(土)~5月12日(日)
時間|水曜-土曜 12:00~19:00 / 日曜 12:00~17:00
定休日|月曜・火曜
会場|Maki Fine Arts(東京都新宿区天神町77-5 ラスティックビルB101)
アーティストステートメント
A Way With Words
人間の経験は、ある本質的な矛盾を孕んでいる。私たちの最も深い感情や洞察は、しばしば言葉で表現しがたく、言語の手の届かないところにある。それにもかかわらず、このデジタル時代においては、言語、特にテキストが、私たちをつなぐ不可欠な手段となっているのだ。
言語は拡張可能で共有可能な仮想空間を人々に提供する主要な技術である。印刷された本、歌詞、コンパイルされたコードなどは、どれもその例だ。しかし、言語には限界もある。言語のみでは実現不可能な方法で人間の経験を拡張することを可能にするのが、たとえば絵画といった視覚的形式との融合だ。今回の展覧会では、アレックス・ダッジは自身の作品における確立されたテキストの使用方法を拡張し、独自のユーモアと形式的な遊びを活かしながら、言語が持つ命題性、手続き性、詩性、視覚性、触覚性などの様々な側面を探究している。ダッジは「A Way With Words」において、その表現力を称えると同時に、しばしば滑稽なまでの不十分さをも露わにする方法でテキストを扱っているのである。
今回の展覧会は、私たちの文明が言語とともに新たな未知の領域に踏み出そうとするこの時代に開催される。ChatGPTやGeminiなどのツールに見られるように、計算力、統計モデリング、アルゴリズム処理の進歩は、テキストとの関わり方に革命的な変化をもたらした。本来、視覚的処理のために開発されたGPU(画像処理装置)が、いまやニューラルネットワークや大規模言語モデルを駆動し、私たちの言語世界を抜本的に改変している皮肉な状況だ。この技術的飛躍は、西洋の哲学・言語学の伝統において、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインや言語学者のエドワード・サピア/ベンジャミン・ウォーフらが展開した議論を改めて呼び起こすものである。現実を定義し形作る上で言語が果たす中心的役割という彼らの議論の主題は、私たちがテキストとAIを融合して人間の経験を生成するにつれ、新たな意義を獲得しつつある。一方、東洋思想、特に仏教と道教では、言語は「現実を理解するための限定的な手段」として位置付けられている。仏教における座禅や道教における無為自然の追求に見られるように、言語を超越したより深い直接的な現実理解に到達することを目指しているのだ。銀座 蔦屋書店は、書籍という形で言語を讃える聖域だ。本展の第二章にとって、まさにふさわしい会場と言えるだろう。
ダッジの絵画は、こうした哲学的論争を視覚的に表現したものである。歌詞や詩からの一節がふわふわした布製の枕のような文字へと姿を変え、幾何学的にタイリングされた空間に佇みながら、人体を思わせる存在感を醸し出している。数値的かつ計算論的にシミュレートされたこの空間は、(気怠げでぐにゃぐにゃして不完全な枕という姿をとった)言語が住まう理想的世界の表象なのだ。アルゴリズムによって生成された空間の完璧さと、ダッジの作品に描かれる有機的で自由奔放かつ不完全なものとしての言語との対比は、実に鮮烈だ。
本展では、新しい技術が芸術表現をどのように再定義するかを考察する。写真の登場によって絵画が解放され、新たな次元への挑戦が始まったように、テキストとAIの融合はこれまでにない芸術の地平を切り拓き、創作に刺激を与えている。ダッジの20年にわたる作品は、こうした探究の証であり、バーチャルシステムと絵画の交差点を検証し続けてきた。
「A Way With Words」展は、鑑賞者を言語、テクノロジー、視覚的形式の間の繊細な相互作用についての考察に誘う。ダッジはユーモアや遊び心、思慮深い探究心を織り交ぜながら、鑑賞者にこれらのテーマに向き合うことを促し、私たちと言語、そして言語が描写しようとする現実との間にある、複雑で絶え間なく変化する関係を映し出す鏡を差し出しているのだ。
アレックス・ダッジ
銀座 蔦屋書店
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