自動運転に要求される測位精度と機能安全に対応した世界初のマルチバンドGNSS測位用ICを発表

STマイクロエレクトロニクス

・マルチ衛星とマルチバンド(L1、L2、L5)を組み合わせた追跡で測位誤差を補正し、高精度なナビゲーション・システムを実現するSTの新しいGNSS測位用IC
・世界初となるインテグリティ・チェック機能を実装し、セーフティ・クリティカルなシステム(ISO 26262 ASIL)に対応
・センサ・データとの組み合わせによる高精度測位技術で、自動運転システムの性能・安全性・信頼性を向上
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、自動運転の安全性を向上させる世界初のマルチバンドGNSS測位用ICを発表しました。同製品は、セーフティ・クリティカルな車載機器や、数十センチから数センチメートルの高い測位精度を持つPPP(高精度単独測位)およびRTK(リアルタイム・キネマティック)向けに最適です。

従来の車載用ナビゲーション・システムは、レシーバと商用衛星サービスを使用し、数メートル以内の測位精度で目的地までのナビゲーションを行っています。現在、車線逸脱警告(LDW)、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、自動駐車、自動操縦といった自動化システムの普及に伴い、安全性と信頼性を確保するためのさらなる高精度化が要求されており、カメラ、レーダー、LiDARなどの近接センサと組み合わせた運転環境の自動モニタリングが必要となっています。また、将来の完全自動運転車の実現に向けて、高精度な測位技術が求められています。

STのGNSS測位用ICであるTeseo APP(Automotive Precise Positioning)は、各衛星システムが使用する周波数バンドを2つ以上同時に受信しながら、すべての衛星システム(1)のトラッキングを行います(その他の製品では、1つの周波数バンドのみを受信)。これにより、PPPおよびRTKの処理アルゴリズムに必要とされる高品位の測位データを提供します。その結果、高精度の測位と収束時間の短縮が世界中で可能になります。

高い精度に加え、衛星データの完全性を監視するインテグリティ・チェック機能を持った業界唯一の測位用ICである同製品は、何らかの理由でデータの正確性が低下した場合にはシステムに通知することができます。これにより、車載機器メーカーは自動車産業における機能安全性規格のISO 26262による最も厳格な自動車安全性レベル(ASIL)に準拠した、セーフティ・クリティカルなシステムを実現することができます。また、Teseo APPはセキュア・マイクロコントローラを搭載し、セキュア・ブートとデータ認証が可能なため、外部の攻撃から重要なデータを保護します。

Teseo APPに加えて、STはTeseo Vも発表しました。この測位用ICは、マルチバンドによる同等の高精度測位技術を搭載し、セーフティ・クリティカルではない機器向けに、インテグリティ・チェック機能を省いたシンプルな製品です。

STのインフォテインメント・ビジネス・ユニット ディレクターであるAntonio Radaelliは、次のようにコメントしています。「高精度衛星測位システムは、自動運転の安全性、快適性、信頼性をさらに向上させます。当社の最新のGNSS用測位ICであるTeseo APPは、非常に高い精度と業界で唯一の完全性検証機能が統合されており、セーフティ・クリティカルな機器に最適です。」

STは現在、高級車向け自動運転システム(2020年/2021年に導入予定)を開発している主要顧客にサンプルを提供しています。

Teseo APPは、バルセロナで開催されたMobile World Congress 2018(2月26日〜3月1日)のSTブース(ホール7、7A61)で展示されました。

(1)GPS、GLONASS(グロナス)、Galileo(ガリレオ)、BeiDou(北斗)、QZSS(みちびき)、およびIRNSS

注記
GNSSによる従来の車載用測位システムやナビゲーション・システムには、商用利用可能なL1周波数帯で動作する、単一周波数のGNSSレシーバが使用されており、マルチパスや電離層での伝播位相遅延といった環境に起因する誤差により測位精度が低下することがありました。Teseo APPは、利用可能なすべてのGNSS信号を、複数の周波数帯(GPS、GLONASS、Galielo、BeiDou、QZSS、IRNSSのL1、L2、L5周波数帯、およびPPPの補強データを含むGalileoのE6信号)で追跡することで、このような誤差をなくし、数十センチメートル・レベルの精度を世界中で実現します。

これまで、高精度測位情報を含むGNSS信号は、商用ならびに政府機関に専有されていました。精度を向上させるその他の技術には、地上基地局の信号と衛星信号を組み合わせた高コストなディファレンシャル・システムや、RTKなどの技術がありますが、一般的には高密度の基準局ネットワークが必要となります。

新しいTeseoは、最大3つの衛星システムで2つの周波数バンドを同時に受信することで、自動運転に適した高い精度を実現します。このようなマルチバンド化により、さまざまな環境における電離層とマルチパスの影響をより高い確度でモデル化することで、タイミング・クリティカルな車載機器において高い測位精度を短い収束時間で実現します。

STマイクロエレクトロニクスについて
STは、私たちの暮らしに欠かすことのできないエレクトロニクス機器に、優れた性能と高い電力効率を特徴とした半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。あらゆるシーンで活躍するSTの製品は、お客様が開発する次世代モバイルやIoT機器の他、よりスマートな自動車、工場、都市および住宅を可能にします。STは、生活をより豊かにする技術革新を通じ、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。STは、10万社を超えるお客様に半導体を提供しており、2017年の売上は83.5億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト( http://www.st.com )をご覧ください。

◆ お客様お問い合わせ先
〒108-6017 東京都港区港南2-15-1
品川インターシティA棟
STマイクロエレクトロニクス(株)
オートモーティブ & ディスクリート製品グループ
TEL : 03-5783-8260  FAX : 03-5783-8216

 

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会社概要

STマイクロエレクトロニクス

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URL
http://www.st.com/jp
業種
製造業
本社所在地
東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟
電話番号
03-5783-8220
代表者名
マルコ・カッシス
上場
未上場
資本金
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設立
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